「ゲーム機の恐怖」第二話
不登校
涙の理由
中学ん時だったかなぁ、裕哉が。おぃ、アルバム?覚えてるか?
見せてくれ。おぅそうだよ、そうそうそう!その頃の顔だよ。良い顔してやがんな、やっぱり。
お前は良いな。写真があるからいつでも思い出せる。俺なんかあれだよ?記憶力ねぇからすぐ忘れちまう。秘書頼みだよったく、こっちはよ。
それまで普通に楽しそうに学校に行ってたんだけどよ。そうそう、友達とか連れてきて俺と遊んだもんよ。
だけどよ、ある日よ、中学時分。学校から帰ってくるってぇと急に布団に入って出てこねぇ。そしたら泣いてやがんだよ。”雨は天から、涙は目から”って言うけどよ。あんなに静かに泣けるもんなんだな。
俺はなんか廃熱パネルがよ(下っ腹)がキューってなっちまって。こっちもどうして良いか分からねんだよ。
よぉーく耳を澄まして聞いたらよ。裕哉が「分かんないよ」「分かんないよ」って。よっぽど理不尽な目に遭ったのかね。こっちもてんで分かんねぇから、やっぱり声かけれなくてよ。
そしたら母親が入ってきて言うんだ。どした?って。
裕哉の野郎、なんも言わねぇ。
母親がまた言うんだ。泣いてんのかい?って。
裕哉は、泣いてねぇって。眠いだけって。
そうかいって母親は部屋から出てっちまった。俺はそれをただ見てるだけだった。今思うとよ、一言伝えれたらなって思うよ。しっかり看てくれって。
不登校
その後からよ、学校に行かなくなったの。そりゃあ、たまによ父親がガーってやってきて無理矢理連れて行ってたけどよ。多分、裕哉、学校に行くフリしてすぐ帰ってきてたな。
あああ、俺は分かんだよ。匂いで!学校の匂いがすぐに分かんだよ!なんで?って聞くなよ、バカ野郎。だからお前はいつまでも過去にすがってんだよ。
なんだよ、そりゃ仕方ねぇだろ、俺だってソフト次第なんだからよ!あああ悪かったよ、言い過ぎたよ。俺が悪かったよ。なぁアルバムすまねぇって。言い過ぎたよ。痛ぇとこついてきやがんなったく。
お前と話してると、話が前に進まねぇよ、もう。
んでよ、ある日学校行くフリして出てったけど、ちょいとしたら誰もいない家に帰ってきてよ。あらあら、今日もまた泣いちまうのかぃと思ったら、その日はよ、久しぶりに俺んとこにきてよ。嬉しかったなぁ、あれは。えぇ?嬉しい。あぁ、嬉しい。またあの笑顔見れるんだよ、俺はよ!
なにやるか楽しみに口開けて(ディスクトレー)待ってたらよ。なんにも入ってこない。うっすら目を開けてチラっと見たら、裕哉の野郎、ボーッとしててよ、なんにも写ってないTV画面観てんだよ。
おーい、早く入れてくれ!
おぃ、無反応だよ。早く始めてくれよぉってもんだよ。
そしたらそのまま、ごろーんって布団に入っちまったよ。
俺はどうしようもねぇからよ、それでも口開けて待ってた。うん、待ってた。
学校で何があったのか分かんねぇけどよ、よっぽどひでぇ目にあったに違いないね。泣いてるかどうかは聞き取れなかったけどよ。
そっからよ、家にいるのはよ。
消える
まぁ、それでも良いかってなもんでよ。俺も必死にアピールして遊んだんだよ。RPGだっけか?そうそれ!たまにそのソフトを入れて遊んでたよ。
裕哉のやつも小学生ん時とはえらい違うな。迷いがなくなるっていうのか、バシってやること決めてよ。冒険をするんだよ。あれが勇者様ってやつかね。俺ぁ、あんなに志高くねぇから分かんねぇけどよ。勇者様ってそういうもんなんだろうな。
どんどんうまくなって、勇者も成長するんだよ。裕哉だって成長するんだよなって思ってチラっと裕哉の奴を見たらよ。
な。
あの時の笑顔じゃねぇんだよ。
な?
ボーッとしてやがる。
なんでぇ、チクショー。そいでよ、ちょっと意地悪してやろうって”読み取れません”ってしたら電源ボタン押してどっか行きやがった。
昔だったらよ、困った顔してよ、俺の体(本体)触って拭いたり、背中撫でたりしてくれたけどよ。そん時ゃ叩くように電源ボタンを押してどっか行きやがった。
悲しかったね。
なに、叩かれたのが悲しいわけじゃねぇよ。俺ぁ、そんなヤワじゃねぇんだよ。見ろこの鍛えられたサイドパネルを!な?違うんだよ。違うんだよ。
あの頃の笑顔が消えてんだよ。それが一番こたえたね。
あの頃の顔、見せてくれねぇんだよ。
あぁ、そうだよ、一番悲しかったね。
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