コンクリートの隙間から
道端に、白いタカサゴユリが咲いていた。
コンクリートとコンクリートの継ぎ目の隙間から、茎を伸ばして。
なんという生命力なんだろう。
あの小さな、土ともいえないような場所から、こんなにも艶やかで美しい花が開いた。
人間は、植物を切り花にしたり、草を刈ったり、木を切ったりする。
だから勘違いしているのだと思う。
植物より、力があると。
だけど植物は、
私たち人間が作った文明なんか、気付かぬうちに覆い尽くしてしまうほどの力がある。
散歩をしていると、しばらく前に行政が刈ってくれた場所も、夏を迎える頃には鬱蒼としはじめる。
蔓草が木々に絡まり、下草は人の背丈ほど伸び、そのうち人を隠してしまうくらいになりそうだ。
感じ取れるエネルギーは、とても繊細なのに。
植物の生命力は、計り知れない。
人の気配がなくなった家には、10年もすれば蔓草が巻きつき、家を飲み込んでいく。
もし、人類がいなくなって100年もしたら、私たちの痕跡はいったいどれだけ残っているだろう。
いま、私たちが残せるものなんて、たかが知れている。
それなら、すべて消えてしまうつもりで、自分のために自分らしく生きたっていい。
誰かの記憶に残っても残らなくても、
私たちはもともと、自然の一部なのだから。
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