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kawachinbooklog
本の山から、あの夏を見つけて。
小学校が終わると、
別の方角に住む友人宅へと向かう。
夏の午後。
アスファルトの熱が残り
ランドセルを揺らして歩くたびに、
むっとした空気が
足元から立ちのぼる。
歩道橋を渡り
大通りから細い路地へ。
学校であった出来事を
話しながら歩くその時間は
毎日の放課後の楽しみだった。
友人の自宅付近まで近づくと、
漫画や小説が
いくつも山になって積まれた
駐車場が見えてくる。
夏の強い日差しを浴びて
色あせた背表紙や折れたページは
どこか灰色の光を放っていた。
お小遣いを持たないわたしたちにとって、
宝の山のようなその一角は
どれを読もうかと
眺めるだけで胸が弾む。
気に入った数冊を抱えて
玄関で靴を脱ぐと、
「ただいま」も言わずに二階へと
一気に駆け上がる。
そこにいたのは、子どものわたしたちだけ。
一階からも二階の別の部屋からも、話し声はいつも聞こえてこない。
窓から差し込む光だけが、
蒸し暑さと不安を少しやわらげていた。
夢中になってページをめくり
読み終わると交換して、良かった場面を話す。
そうしてまた、静かに読む…。
夕立の気配を含んだ
湿った風が吹き始めると、
別の家のあちこちから夕飯の匂いが漂ってくる。
駐車場に積まれた宝の山。
静かな家中の空気。
本をめくる音と、窓の外で鳴き続ける蝉の声。
そんなあの頃を思い出すのは、
本のタイトルよりも、あの部屋に流れている
鍵っ子だったわたしたちの読む時間。
今でもページを開くたびに
あの夏が、そっと 顔をのぞかせている。
『教えて!あなたの夏の思い出』企画に参加して、えぇ汗をかかせていただきました。
片桐 みかんさん
#天空のマンション夏祭り こちらの企画にも、合わせて参加させていただきます。
のぞみんさん
片桐みかんさん
企画の主催ありがとうございました…🪷
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