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cast25
就活中のわたしと東京。「東京は遠くから見れば夢に似て、近くで見れば、ためらいまで明るく照らした。」
新卒就活で向かうその街は、地図の上では何度も見ていたのに
近づくほど輪郭を失い、かえって巨大な気配だけを膨らませた。
#わたしと東京
東京は遠くから見れば夢に似て、近くで見れば、ためらいまで明るく照らした。
「東京が世界に見ゆる霧の朝」といった言い回しでは足りない。
東京はむしろ、発達した公共交通機関の正確さと利便性として、まず私の前に現れた。
新卒就活で語られがちな「潤滑油」という言葉よりも
必要な場所へ過不足なく気を配り、人々の動きを円滑にする役割を
東京の公共交通網になぞらえて提示するほうが、自己PRとしては有効なのではないかと思った。
駅は次々に現れ、そのたびに別の生活圏が広がっているはずなのに、面接に向かう私には、それらがただ流れていく名前にしか見えなかった。
東京での就活の予定は、できるだけ詰め込んだ。面接を受け、内定先を見学し、また別の面接にも向かった。
就活の早期化が言われて久しいが、企業ごとに日程はばらばらで、説明会まで入れると、1泊2日なのにひと通り味わったような気分になった。
無人レジを見ようとしたとき、テレビか何かの取材で入れなかった。
少し拍子抜けした。
けれど、その一歩手前で拒まれる感じさえ、この街にはよく似合っていた。
企画がなければ、東京での新卒就活の記憶を書くことはなかった。
東京を語ることばに身を寄せて、自分の感覚の影を広げることに何があるのか。そう思っていた。
就活中のわたしと東京。
それは結局、東京をわかったということではなく、わからなさのまま、自分の眩しさと怖さをいっしょに抱えて帰ってきた、その記録なのだと思う。
