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アフリカの市場で求婚される(ザンビア) 2009年9月4日

2009年9月4日
ザンビア、ルサカにて

 僕は市場に行くのが好きだ。コンビニやスーパーのない都市で住民の食を賄うのは市場である。そこにはありとあらゆる食品が売っているし、小さな食堂もたくさんある。どこに行っても食は人間が生きるために必要不可欠なものだし、それゆえ市場には毎日多くの人が行きかう。都市に大きな市場がある場合、その都市の中で最も活気がある場所が市場だ。

 ここルサカでも市場に寄ってみた。南米ではたいていどこの町にもあった市場だが、アフリカに来てからはあまり目にしなかった。見逃していただけかもしれない。そんなわけで、ここがアフリカで訪れた初めての市場だ。

 木で作られた露店が、ぎりぎり人の通れる幅を残し、ぎっしりと四方に詰まっている。木で作られた、といっても切り出した真っ直ぐな木ではなく、その辺りに落ちていそうな曲がった枝を、うまく組み合わせて作られていた。

 靴や服を売る店、明らかに違法コピーのDVDを売る店、なんだかわからないサビついた金具を売っている店がひしめく。靴屋の靴は売られているのが信じられなくらい完全に履きつぶされたものが多く、どこかのゴミ捨て場から拾って来たんじゃないかと思われるものが普通に商品として売られている。というか、そんなものが大半を占めていた(のちに、それはアフリカでは普通だということに気づく)。

 さらに奥へ入っていく。なんだか迷路に迷い込んでしまったように感じる。色んな料理が入った小さな鍋がいくつも並ぶ、食堂が見えてきた。市場の食堂のあるエリアは僕が最も大好きなところだ。こういうところではその土地の味をかなりお手頃な価格で楽しむことができる。しかしその時は朝食を食べた直後だったので、腹が減っておらず、とりあえずただ眺めさせてもらった。

 店のおばちゃんたちはしきりに、これはどうだ、と声をかけてくれるが、ただ見ているだけだ、と伝えると「ウィンドーショッピングかよ」と鼻で笑われた。それを聞いたまわりのおばちゃんたちが空に向かって高らかに笑う。彼女らの笑い声は、何というか現実離れしていて、日本にいては絶対に聴くことのできないタイプの笑いだ。

 一つの店の前でおばちゃんに「国はどこだ」と尋ねられた。日本だ、というと、そこから会話が始まる。「妻はいるのか」と聞いてくるから、まだいないと言うと「まだいない!?何で?」と、どう答えたらいいのかわからない質問をぶつけてくる。適当に答えていると、そういう話になった時のおばちゃんの常として「私をもらってくれないか」と言ってきた。笑ってごまかしていると「わたしはかわいい?それともブス?」と聞いてくるので、もちろんかわいい。Why not?と気の利いたお世辞で返すと、そこらじゅうの店のおばちゃんたちが「オーゥ!!」とかいって騒ぎ始める。

 するとそのおばちゃんは真剣な顔をして「あなたの連絡先を教えてくれ」と言ってきた。本当はあなたと結婚したいけど親が…とか色々適当なことをジョークのつもりで言っていたが、彼女は真剣な顔で「ケータイはないのか」「いつ私を迎えに来てくれるのか」と質問をぶつけてくる。こいつはまいった、もしかしたら本気なのかも、と少し困っていると、まさに青天のへきれき、あの空を切り裂く悲鳴のような高笑いが僕を貫いた。ちくしょう、かつがれた。

 食堂を離れ(これ以上つきあってられない)、目的もなく相変わらず市場をぶらぶら歩いていると、カタカタカタ…と何か機械が動く音が聞こえてきた。ミシンだった。年季の入った鈍く光るミシンは、足漕ぎ式のもの。小さな店に押し込まれたミシンと人が、カタカタカタと忙しい音を立てている。

 アフリカ人は、そこにあるもので何とかしてしまう、という能力に優れている。段ボールを縛るプラスチックの平たいひもを編んで籠を作ったり、王冠と針金を使いバッグを作ったり。そういうものを見ると、なるほど、と感心してしまう。僕らにとってのゴミも、彼らの手にかかれば材料となる。だから町のいたるところにゴミがばらまかれていて、誰も片付けようとしないのだろうか?それらは材料だから、と。まさかね。

 最初、チャチャチャ・バックパッカーズという宿のキャンプサイトにテントを張って寝ていたが、なぜか追い出されたため、別の宿に移動してこの日記を書いている。近くであの高笑いが聞こえる。宿に併設されたバーで現地の人が飲んでいるようだ。この人たちは本当に楽しむのがうまい。音楽と酒さえあれば、あの笑い声が途切れることはまずない。


冬山登山

コロナ禍,半地下のアパートの一室で弾き語りと曲作りを始める.
2023年5月ライブ活動を開始.
2024年3月HIP LAND MUSICによる「FRIENDSHIP.」のサポートを受け1st Single「千の丘の国」をデジタルリリース.
2025年5月初のワンマンライブを開催.

★Apple Music、Spotifyほか各種サブスク音源はこちら⇒https://friendship.lnk.to/MaybeItsADuck (2nd Single「カモかもね」)

★ライブ情報はHP下部へ
https://tozanfuyuyama.studio.site/

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