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香りは、空間を記憶に変える

実家の匂いを覚えていますか?

玄関を開けた瞬間の空気。
柔軟剤なのか、料理なのか、木の匂いなのか。
説明はできないのに、

「あ、帰ってきた」と分かる、あの感覚。

友達の家にも、それぞれ匂いがありました。

なんだか落ち着く家。
少し緊張する家。
おしゃれな空気が流れている家。

たぶん私たちは、景色より先に
“空気”を記憶しているのだと思います。

家族でよく行くホテルの香りも、
すぐに思い出せます。

わたしの大好きな香りです。

扉が開いた瞬間にふわっと香る、
少し百合のような上品な匂い。

その香りを嗅ぐと、
「これから特別な時間が始まる」
という感覚になりました。


化粧品売り場の匂いを嗅ぐと、
子どもの頃の授業参観を思い出します。

いつもより少しだけおしゃれをした
お母さんたち。

少し緊張感のある空気。
来てもらえて嬉しいのに、
なんだか少し恥ずかしいあの感じ。

香りって不思議です。

記憶だけじゃなく、

その時の感情まで一瞬で連れてくる。

だからわたしは、空間づくりにおいて
香りはとても重要な要素だと思っています。

特に、サロンやホテルのようなブランド空間。

視覚的に素敵な場所はたくさんありますが、
「また行きたい」と身体が覚えている場所には、
空気の記憶がある気がします。


実は、
わたしが一人暮らしをしていた頃の部屋も、
それぞれ香りが全然違いました。


はじめての一人暮らしの部屋は、
右も左も分からず、
必要最低限のものしかない空間でした。

インテリアにこだわる余裕なんて
全然なかったけれど、
お気に入りのキャンドルだけは置いていて、
夜にその香りの中で本を読む時間が好きでした。

次の部屋は、
一転してとにかく“女子の部屋”でした。

白い家具にレースのカーテン。
一部だけピンクにした壁紙。
香りも、
いかにもモテそうなホワイトムスク系。笑

今思うと、この時期は完全にそういうモード
で生きていたかったのだと思います。

最後に一人暮らしをした部屋は、
逆にかなりメンズライクでした。

インダストリアルな雰囲気に、
ウッディやシトラス系の香り。
イソップのような、少し落ち着いた空気感。

その頃には、
「次に付き合う人とは、
一緒に暮らせる関係がいいな」と思っていて、

男の人でも長く過ごしやすい空間を、
無意識に作っていました。

いま考えると、ちょっと怖いですね笑

だけど、実際にこの部屋で同棲して、
そのまま結婚したことを考えると、
空間づくりって、
やっぱり侮れないですよね。


こうして振り返ると、私はずっと、

“その空間でどんな自分として過ごしたいか”を、香りまで含めて選んでいたのかもしれません。


でも今は、また少し感覚が違います。

今の家は家族みんなで過ごす
ワンフロアの空間なので、
強い香りを固定しすぎない方が心地いい。

料理の邪魔をしないこと。
生活感を消しすぎないこと。
誰か一人の「好き」で空間を支配しないこと。

今は、気分転換にふわっと使う
ルームスプレーくらいが、
ちょうど良い気がしています。


一方で、ブランド空間や一人暮らしの部屋は、
“ひとつの世界観”をつくる場所です。

だから香りも、
ある程度統一されていた方が
記憶に残りやすい。


でも家族の空間は、
必ずしもそうではありません。

それぞれ違う人が、
それぞれ違う気分のまま、
無理なく一緒に過ごせること。

今の私は、
そんな空気感の方が好きなのかもしれません。


香りは、空間を“記憶”に変える。

あなたはこの記事を読んで、

どんな香りを思い出しましたか?

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