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Ozora Festival——ハンガリーの谷で3万人が「生まれ変わる」7日間


月曜日の夜8時。

ハンガリーの小さな谷に、静寂が訪れます。
3万人が息を止めて、同じ方向を見つめています。

やがて、遠くから太鼓の音が聞こえ始めます。
馬に乗った4人がメインステージの周りを駆け抜ける——

Ozora村の建村を象徴する儀式です。
フロア中央に火が灯され、待ちきれないオーディエンスが雪崩れ込む。

オゾリアン(Ozorian)——
一度でもOzoraに参加した人々が自らをそう呼びます——
オゾリアンにとって、この瞬間から新しい1年が始まります。
そして7日間ノンストップの旅が幕を開けます。

これがOzora Festival。世界中から「人生が変わった」という声が上がる、地球上で最も特別なフェスティバルの一つです。


「21世紀のウッドストック」——世界のメディアが絶賛する理由

ベルギーの新聞La Dernière Heureは、Ozoraをこう表現しました。

「エコロジカルなTomorrowland。21世紀のウッドストックのPeace & Loveな雰囲気を持つフェスティバル」

フランスのTrax Magazineは「ヨーロッパにおけるサイケデリックトランス文化の中心地」と評し、世界の主要フェスティバルの一つとして認知されています。

世界には数多くのフェスティバルがあります。
ポルトガルのBoom Festival、
アメリカのBurning Man、
ドイツのFusion Festival——

いずれも4万人以上を集める巨大イベントです。
その中でOzoraは、サイケデリックトランスに特化したフェスとして世界最大級の規模を誇ります。

でも、規模だけでは説明できない「何か」がOzoraにはあります。


一般的なフェスとは、すべてが違う

VIP席がない

Tomorrowlandには数十万円のVIPパッケージがあります。
Ozoraにはありません。

アーティストも一般参加者も、同じ地面の上で踊ります。
Astrix、Ace Ventura、Infected Mushroom、Shpongle——

世界トップクラスのアーティストがフードスタンドの列に並んでいることも珍しくありません。「全員が平等」という思想が、このフェスティバルの根幹にあります。

企業スポンサーがない

一般的なフェスでは、巨大な企業ロゴがステージを囲みます。
Ozoraには一切ありません。

商業主義を徹底的に排除することで、独特の「聖域」としての空気が保たれています。RedBullの看板も、ビール会社のテントもない。
ここにあるのは、音楽と人だけです。

音楽が止まらない

文字通り、7日間24時間、どこかで音楽が鳴っています。

深夜3時にメインステージで踊り疲れたら、チルアウトのDomeに移動して体を休める。朝6時、太陽が昇り始めると、また違う音楽が体を動かし始める。このサイクルが1週間続きます。

「フェス」ではなく「ギャザリング」

Ozoraは自らを「Psychedelic Tribal Gathering(サイケデリック・トライバル・ギャザリング)」と呼んでいます。

単なる音楽フェスではなく、「変容のための場」。
毎朝ヨガや瞑想のクラスが開かれ、ヒーリングテントでは世界中から集まったセラピストがマッサージやサウンドヒーリングを提供しています。
哲学や意識についての講義が行われ、陶芸や木工のワークショップで手を動かすこともできます。

音楽は「入口」に過ぎません。


皆既日食から始まった物語

1999年8月11日。

ヨーロッパを横断する皆既日食が、ハンガリーの空を暗くしました。

その日、この谷には人々が集まっていました。Zimanyi家が所有する土地。森に囲まれた静かな谷で、人々はゴアトランスの音楽とともに、太陽が月に飲み込まれていくのを見守りました。

「Solipse(ソリプス)」と名付けられたこの祭典は、参加者たちの人生を変えました。多くの人が「あの瞬間、何かが永遠に変わった」と語っています。

2001年、Solipseの続編がザンビアで開催されました。
しかしハンガリーでの再開は2004年まで待たなければなりませんでした。
翌2005年から「O.Z.O.R.A. Festival」として成長を続けます。

2015年には参加者数が6万人に達し、世界で最も急成長するサイケデリックトランス・フェスティバルと呼ばれるようになりました。

2018年、フェスティバルのプロデューサーであり土地のオーナーでもあったDaniel Zimanyiが急逝。「Danibácsi(ダニおじさん)」の愛称で呼ばれた彼の遺志は、家族と元々のチームが継ぎ、Ozoraの精神は今も生き続けています。

2020年と2021年はコロナ禍で中止を余儀なくされましたが、2022年に完全復活しました。


谷で起きていること——6つのステージ

Ozoraの会場には、それぞれ異なる「世界」が存在しています。

Main Stage——心臓

フェスティバルの中心。
Astrix、Ace Ventura、Infected Mushroom、Liquid Soul、Vini Vici、Shpongle、Juno Reactor——
世界トップクラスのサイケデリックトランスアーティストが出演し、
数万人を収容する巨大なダンスフロアが広がります。

木と布で作られた巨大な装飾構造物。
フラクタル模様の映像。
レーザーが夜空を切り裂く。
そして何より、地面から這い上がってくるような重低音。

ここでの体験を、多くの参加者が
「地球上で最も強烈なダンスフロア」と表現しています。

Ozora Festival official


The Dome——子宮

砂で覆われた床。
裸足で踊れる空間。
ダウンテンポ、アンビエント、ダブが24時間流れ続けます。

2022年にはTipperのダウンテンポセット、Shpongle、Aes Dana、Carbon Based Lifeformsのライブバンド(世界初披露)、Mad Professor & Gaudiのダブセッションが行われました。2018年にはTangerine Dreamも出演しています。

メインステージの激しさに疲れた体を、この空間が優しく包み込みます。
ハンモックで揺られながら音に身を委ねる人。
砂の上で眠っている人。
朝、コーヒー片手にゆっくり目を覚ます人。

多くの参加者が「Domeが一番好き」と語ります。

かつては伝説のゴアトランスDJ、Goa Gilが24時間セットを行っていたのもこのステージでした。Goa Gilは2023年10月、72歳でこの世を去りましたが、彼が残したスピリットはOzoraに生き続けています。

Ozora Festival official
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Pumpui——ルーツ

1999年のSolipseから続く、最も歴史あるステージ。
テクノやディープハウスを中心に、メインステージとは異なるグルーヴを提供します。

フェスティバル開始前の「プレパーティー」から音楽がスタートし、最後まで止まりません。DJ Hatta、Groovebox、DJ Takuら日本のアーティストもOzoraのステージに立っています。

Ozora Festival official


Dragon Nest——静寂

丘の上にある、ライブパフォーマンス専門のステージ。

電子音楽ではなく、アコースティック、ワールドミュージック、バンド演奏。レゲエ、ワールドミュージック、サイケデリックロック。

観客のほとんどは座って聴いています。
ここでは、踊らなくてもいい。
ただ、音に耳を傾ける。

Ozora Festival official




Ambyss——深淵

湖の近くに位置する、最も静かなステージ。瞑想的なアンビエントが流れ、多くの人がヨガマットの上で目を閉じています。

「完全なチルアウトとリラクゼーション」がコンセプト。
音楽というより、音の風景。

会場内には湖があり、毎日8時から20時まで泳ぐことができます(一度に100人まで)。35〜40度になることもあるハンガリーの夏、この湖の存在は貴重です。


Cooking Groove——共同体

フェスティバルで最もユニークな空間。
共同キッチンに隣接し、料理の香りと音楽が融合しています。

木とリサイクル素材で作られたキッチンで、参加者は自分で料理を作ることができます。古代の調理法、世界各地の料理、食品保存技術など、毎日異なるテーマで料理ワークショップも開催されています。

見知らぬ人と鍋をシェアし、レシピを交換する。
ここにOzoraの「トライブ(部族)」精神が最も純粋な形で現れています。

Ozora Festival official
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踊るだけじゃない——心と体のプログラム

Ozoraの真髄は、音楽だけではありません。

Pyramid(ピラミッド)

木造のピラミッド型建物。日の出から日没まで、ヨガ、瞑想、呼吸法、ダンスムーブメントのクラスが開かれています。

朝日を浴びながらのヨガ。夕暮れ時の瞑想。1週間、毎日続けると、体が変わっていくのを感じると言います。

Ozora Festival official
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Healion(ヒーリオン)

世界中から集まったヒーラーたちが、様々な手法を提供しています。
タイマッサージ、クリスタルセラピー、チベタン・シンギングボウル、サウンドヒーリング、ガイデッド・リラクゼーション。

踊り疲れた体を、ここで癒すことができます。

Ozora Festival official


ARTibarn(アーティバーン)

アートワークショップスペース。
木工、陶芸、ガラス細工、バスケット編み。

見知らぬ人と隣り合わせで、手を動かしながら何かを作る。
言葉が通じなくても、一緒に作業していると、いつの間にか友達になっている。そういう場所です。

Ozora Festival official
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Chambok House(チャンボク・ハウス)

講義やトークセッションの会場。
哲学、神秘主義、占星術、パーマカルチャー、サイケデリック研究、持続可能な生活など、多様なテーマが取り上げられています。

Circus(サーカス)

アクロバット、ジャグリング、エアリアルシルク。
プロのパフォーマーによるショーだけでなく、参加者自身がスキルを学べるワークショップも開催されています。

Wheel of Wisdom

「意識のプログラム」と呼ばれる、Ozora独自の取り組み。
内なる探求をテーマにしたセッションが行われています。


日本とOzoraの深い繋がり

Ozoraには毎年、多くの日本人が参加しています。

2015年から2022年まで、東京・新木場のageHaで「Ozora One Day in Tokyo」が開催されました。本国ハンガリーのオーガナイザーやステージマネージャーが来日し、Main Stage、Pumpui、The Domeという本国と同じステージ構成を再現。Ozoraそのものを味わえるスペシャル・ギャザリングとして、日本のサイケデリックトランスシーンを大きく盛り上げました。

Ozora Tokyoのプロデューサーはこう語っています。
「私にとってOzoraは『約束の場所』。最初に参加したとき、5年以上仕事漬けだった日々が、あの1週間で完全に変わった。毎日、感動と感謝で胸がいっぱいだった」

東京、パリ、メキシコ、サンパウロ——
世界各地で「Ozora One Day」が開催されているのは、それだけ多くの人がこのフェスティバルに魅了されている証拠です。



数字で見るOzora

開催地:ハンガリー・Dádpuszta(ブダペストから南西約130km、車で約2時間)

開催時期:毎年7月下旬〜8月上旬

期間:約10〜12日間(ゲートオープンからクローズまで)。本祭は月曜日の開幕セレモニーから翌週日曜日までの7日間

参加者数:公式30,000〜35,000人。実際には50,000〜60,000人とも言われる

ステージ数:6つ(Main Stage、The Dome、Pumpui、Dragon Nest、Ambyss、Cooking Groove)

チケット価格:190〜290ユーロ(購入時期により変動。早期購入がお得)

チケットに含まれるもの:キャンプ、駐車場、全施設・全プログラムへの参加

年齢制限:なし。14歳以下は無料(要登録)。18歳未満はチケット保持者の同伴が必要

設備:シャワー、トイレ、湖(遊泳可)、医療施設、多数のフードスタンド、マーケット

気候:夏のハンガリーは日没が20時過ぎ。日中は35〜40度になることも。夜は涼しくなる


他のフェスとの比較

vs Boom Festival(ポルトガル) 隔年開催。
Ozoraと並ぶ世界二大サイケデリックトランス・フェスティバル。
Boomはより「アート」寄り、Ozoraはより「コミュニティ」寄りと言われることが多い。どちらも「Transformational Festival(変容フェスティバル)」を標榜している。

vs Burning Man(アメリカ)
「何も売らない」「自給自足」という点で思想が近い。
しかしBurning Manは砂漠、Ozoraは緑の谷という環境の違いがある。Burning Manは参加者が全てを持ち込む必要があるが、Ozoraにはフードスタンドや設備が整っている。

vs Tomorrowland(ベルギー) 商業フェスの最高峰。
VIPパッケージ、企業スポンサー、豪華な演出。
Ozoraとは対極にあるが、どちらも「非日常」という点では共通している。
Tomorrowlandが「エンターテインメント」なら、Ozoraは「体験」。

vs Fusion Festival(ドイツ) 同じく商業主義を排除し、コミュニティ重視。音楽ジャンルはFusionの方が幅広い。
Fusionは「社会実験」的側面が強く、Ozoraは「精神的探求」の色が濃い。



音楽が止まった後に残るもの

Ozoraから帰ってきた人たちは、しばしば同じことを言います。

「言葉では説明できない」

7日間、電波の届きにくい谷で過ごすこと。
見知らぬ人と踊り、語り、食事を共にすること。
朝日を見ながら瞑想し、夜は星空の下で音に身を委ねること。

その体験は、日常に戻った後も、何かを変え続けます。

ある参加者はこう語っています。

「Ozoraで学んだのは、人間は本来、もっとオープンで、もっと優しく、もっと自由でいられるということ。あの谷で1週間過ごすと、『普通の生活』が実は全然普通じゃなかったことに気づく」

別の参加者はこう言いました。

「フェスが終わって日本に帰ってきたとき、満員電車に乗って思った。みんな下を向いてスマホを見てる。Ozoraでは誰もがお互いの目を見て、笑って、踊ってた。どっちが『普通』なんだろうって」


ハンガリーの谷は、あなたを待っている

Ozora Festivalは、単なる音楽フェスティバルではありません。

1999年の皆既日食から始まった物語。
企業スポンサーを排除し、VIP席を作らず、「全員が平等」という思想を貫いてきた場所。音楽とヨガと瞑想とアートが溶け合い、参加者が「変容」していく7日間。

毎年、世界中から集まった人々が、ここで出会い、踊り、笑い、泣き、そして何かを持ち帰っていきます。

世界中から「人生が変わった」という声が上がる理由は、行ってみないと分からないかもしれません。

でも、もしこの記事を読んで何かが響いたなら——ハンガリーの谷は、あなたを待っています。


📍 公式サイトozorafestival.eu

📻 RadioZora:フェスティバル公式ラジオ。Ozoraの音楽を年中楽しめます radiozora.fm

➡️ 行ってみたいと思った方へ:[Ozora Festival 行き方完全ガイド——チケット・アクセス・持ち物・予算](準備中)

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