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なぜわたしはペンネームを用いるに至ったか

坂村史帆(「ふみほ」でも「しほ」でも好きなほうで読んでください)という名前は、自己紹介にも書いているけれど、ペンネームである。実はこの春から、色々なプロジェクトにこの名前で関わっていくことになりそうなのだが、そのたびに「なんでペンネーム?」と聞かれる。一応、理由なきことではないので、言い訳を書いておく。

ロー・プロファイルを保つため

プロフィールに書いている通り、わたしは危機管理とリスク分析を専門とするアナリストである。ある外資系ファームのパートナーに目をかけていただいたのだが、いわばわたしの「メンター」に当たるその人に言われたのが、この業種は「ロー・プロファイル」じゃないといけない、ということだ。つまり、低姿勢で目立たないようにしなさいね、と。

なぜロー・プロファイルじゃないといけないか。理由はいくつかあるのだけれど、一番わかりやすいのは、海外に出張する際に、ビザ(査証)の申請などで困った、などということになりかねないからだ。

たとえば、トランプ政権は今年から、ESTAの申請にSNSアカウントの記載を義務付けている。おそらく政権に批判的だったり「反米的だ」と思われる人物の洗い出しに使っていると思うのだが、実名でトランプ批判を書いてESTAの更新ができなかったら困る。米国だとそこまではないかもしれないが、中東諸国などにもわたしは行くことがあるので、実務的にも悪目立ちは極力避けなければいけない。

「だったらこんなの書くなよ」と言われそうだが、それでもねぇ、仕事では使わないアイディアだけれど言いたいことがあったり、メディアから依頼をいただいたりするわけですよ。じゃあペンネームでワンクッションはさんでおくほうがいいよね、ってことなのです。

実名で困惑したことがある

実は、その「メンター」に出会う前に、わたしは一度、実名である漫画制作に関わっていた。「ちょい役」もちょい役だったのだが、世の中には細かく見ていらっしゃる人がいるものである。

数年経ったある日のこと。本業のプレゼンで某社に出向き、すっかり「コンサルタント・モード」でいたのだが、やおら、「〇〇さん![某漫画]読みましたよ!」とクライアントに言われてしまった。

するとどうしたことか、急に恥ずかしいやら、何か場違いなところにいるような気分になり、すっかり動転してしまった。プレゼンをやるつもりが、どうにもテンションがちぐはぐ。目立った欠陥はなかったのだが、本人としては不意を突かれてしまったのだ。

という自分自身での教訓により、本業とモードを分ける必要性を大いに実感したのである。なので、ペンネームを名乗っている。別に「身バレ」が怖いとか、そういうことじゃないんだ。違うんだ。

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