神戸北野の新ブランドと取り組んだ高価格帯レディースコートOEM製作実録

神戸市北野で新しく法人化を準備しているアパレルブランドの方から、ダブルフェイス・ウールコートのOEM製作についてご相談をいただきました。販売価格は2.5万〜8万円を想定し、“百貨店に並ぶ品質をどう実現するか”というテーマでした。
🛠️ 理想と現実のギャップ
専門家として見ると、この製品(Super120sウール・カシミヤ混紡コート)の難所は『生地の繊細さとリバー縫製の両立』にあります。手まつりによるリバー縫製は一針ずつが表面に響くため、糸締めの強さだけで仕立ての印象が変わります。加えて、法人設立前後で契約名義や支払手続きが変わるタイミングにあり、技術面と事務面の両方で“揺らぎやすい時期”でした。
💡 私たちが提案した「答え」
そこで私たちは、製品の検品体制から再設計しました。一着ごとに針検査を行い、縫い代の厚み・裏地の落ち感・水牛ボタンの取り付けトルクまで記録。『百貨店基準』と呼ばれるのは設備の話ではなく、“現場での再現精度”だと考えています。また取引面では、法人化までは親会社名義で契約し、登記完了後に新法人へ切り替える二段階フローを提案。生産ラインも30〜50着単位で調整し、在庫リスクを抱えずにブランドの立ち上げを支えました。
【プロの視点】
高単価コートのOEMでは、「高級素材=扱いが難しい」ではなく、“素材の特性に合わせた設計”が鍵になります。リバー縫製では縫い止まり位置を最初に決める。Super120sのような極細ウールは過熱スチームを避け、縮絨を防ぐ。小さな注意が、数万円の価格差につながります。


📝 制作現場からのメモ(Q&A)
今回の制作を通じて、クリエイターの皆様と共有したいポイントです。
📌 小ロット生産の壁について
高価格帯のアイテムでも、初期は30〜50着からのスタートで十分です。重要なのは数量ではなく、次の展示会までに“再現性のある工程”を作ること。私たちは色ごとに生産記録を残し、次シーズンのPDCAを回せるようデータ管理をしています。
📌 百貨店品質の“検品報告書”とは何か
報告書とは単なるチェックリストではなく、現場の目線を見える化した記録です。糸処理・形状の歪み・仕上げプレスまで一件ずつ確認し、展示会前に共有します。バイヤー審査時に『ここまで見てくれている安心感』が伝わる、とよく言われます。
📌 素材調達の現場メモ
カシミヤやSuper120sウールは、同じ規格でもロットによって風合いが異なります。仕入れ先が日本かイタリアかよりも、“どのミル(工場)がどんな工程で仕上げているか”を理解しておくこと。私たちはブランドの世界観に合わせて、色の深みと光沢を比較しながら提案します。
📌 法人設立前後の契約トラブルを防ぐには
法人登記前後の切り替え時期は、支払口座や請求書の名義で混乱しやすいものです。初期段階で『契約主体をいつ切り替えるか』を明文化しておくことで、納品タイミングとのズレを防げます。ものづくりが止まらないよう、事務フローも設計の一部と考えています。
呂 欣 (Lokin) | TransMoko 代表
日本品質を熟知したサプライチェーン管理のプロ。
アパレルからグッズまで、中国の生産現場で「全数検品」を徹底し、小ロットからのブランド作りをサポートしています。
さいごに
モノづくりには悩みがつきものです。品質、数量、契約――どれも正解はひとつではありません。もし今、同じような壁に立っているなら、一度お話ししましょう。
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