美味しんぼ/山岡士郎と面前DV
ご興味を持ってくださり、
ありがとうございます🙇
この記事では、恐らく
《誰も書かない山岡士郎》
を語りました。
─────────
山岡士郎と面前DV
雄山の面前DV①
山岡士郎は、幼少期に父・海原雄山による「面前DV(※1)」に晒されていたと考えられる。
(面前DV:家庭内暴力を子どもの前で行うこと)
特に、母・とし子が食事を作っても「なんだ、この料理は!」と怒鳴られ、皿を投げつけられる場面は、士郎の心に深い傷を残す。
とし子は泣きながら何度も料理を作り直し、その様子を幼い士郎は繰り返し目撃した。
母は心労から早世し、士郎は雄山の作品をすべて破壊して家を出る。
この一連の描写は、現代の視点から見ると明らかに「面前DV」に該当する。
雄山の面前DV②
第121話:《命と器》
海原雄山が、妻に暴力。
《物の価値も解らぬ貴様が何を言うか》
と、妻に怒鳴る。
これも、士郎にとって面前DV。
面前DVという概念と時代背景
「面前DV」という言葉が社会的に認知されるようになったのは2000年代に入ってからである。
児童虐待防止法が成立したのは1999年で、2004年の法改正でようやく「心理的虐待」が明記されるようになった。
さらに「面前DV」という用語が行政やメディアで広く用いられるようになったのは2010年代に入ってからである。
一方、《美味しんぼ》のアニメ放送は1988年から1992年まで。
つまり、面前DVの社会的認知より10年以上も前に、作品はその実態を描いていたことになる。
雁屋哲は面前DVを意識していた?
作者の雁屋哲が、当初から「面前DV」という概念を意識していた可能性は低い。
当時、そのような用語や法的枠組みは存在しなかったからだ。
しかし雁屋氏は社会派の作家として知られ、家庭内の理不尽や権威への反発を物語に織り込んでいる。
したがって、「家庭内での父親の暴力や支配が子どもに及ぼす影響」を直感的に捉え、批判的に描いたと推察される。
雄山の言動は、単なる厳格さや威厳としてではなく、芸術家の名を借りた暴力的支配として描かれており、物語はそれを正当化していない。
雄山の面前DVが士郎に与えた影響
山岡士郎は、大人になってからも
「アダルトチルドレン(※2)」
のような特徴を見せる。
たとえば、
・父性への強い反発
・怒りっぽさ
・愛情への飢え
・根底にある自己肯定感(※3)の低さ
である。
彼の対人関係の不器用さや、父・雄山との確執は、まさに面前DVによって形成された心理的傷(PTSD)の表れである。
彼の成長物語は、
・「旧時代の暴力的父性」
・「新しい個人の価値観」
の対立として読むことができ、家庭の問題が社会的・精神的な問題へとつながっていくことを示唆している。
結論
《美味しんぼ》は、面前DVという概念がまだ存在しない時代に、その実態と影響を先駆的に描いた作品である。
雄山の家庭内支配と暴力は、当時としては珍しく、否定的かつ問題提起的に表現されており、山岡士郎の苦悩を通して、機能不全家族(※4)の実相に迫っている。
現代の視点で作品を再評価することで、「家族」という場に潜む暴力の本質に改めて気づかされるのである。
そんな人間になりたくない
第2話で辞表を提出し、重い口を開いた山岡士郎。
《反面教師(※5)》としての
海原雄山を指し、
そんな人間になりたくない
アダルトチルドレンに特徴的な感情だと
思います。
(まさに私もそうでした)
《価値がない》と罵られた
第121話:《命と器》で、雄山が大事にしているお皿を割ってしまった士郎。
雄山は、
《この皿ほどの価値もないお前が!》
と、士郎を罵る。
※1 面前DV(厚生労働省)
厚生労働省は、児童虐待防止法の2004年改正により、子どもの目の前で配偶者に対して暴力を振るう行為(面前DV)を「心理的虐待」の一形態として明確に位置づけています。
詳細は、厚生労働省の「児童虐待防止対策の取組状況について」資料(PDF)をご参照ください。
厚生労働省「児童虐待防止対策の取組状況について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000349144.pdf
また、内閣府男女共同参画局のウェブサイトでも、DVと児童虐待の関係について詳しく解説されています。
内閣府男女共同参画局「DVと児童虐待」
※2 アダルトチルドレン(AC)
「アダルトチルドレン(Adult Children)」は、もともとアルコール依存症の親のもとで育った成人を指す言葉でしたが、現在では、機能不全家族で育ち、心的外傷(PTSD)の影響で生きづらさを感じる成人全般を指す概念として広く用いられています。
この概念は、1970年代にアメリカで提唱され、日本でも1990年代から浸透し、カウンセリング現場などで広く認知されています。
※3 自己肯定感
※4 機能不全家族
※5 反面教師
放送ごとに、心理学的分析
放送ごとに、山岡士郎の
心理学的分析をします。
気持ちの変化、親子関係の変化、など。
Please return to….
──────────
