原作者の同意を得た映画が差止めされた理由【あなたもまた虫である事件(知財高判平成28年12月26日)】
こんにちは。
体験記が映画になった、その先で起きたこと
自分が経験した出来事を本に書き記すことには、大きな意味があります。
特に被害体験を記録し社会に伝えることは、当事者にとっても読者にとっても重要な営みです。
小林美佳さんは、自身が経験した性犯罪被害をありのままに綴った書籍『性犯罪被害にあうということ』(朝日新聞出版)を出版していました。
あるテレビディレクターはこの作品に注目し、小林さんの同意を得て映画化を進めました。
橋本マナミさん主演の映画「あなたもまた虫である」として、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭への出品を目指して制作されました。
しかし映画祭の直前、ディレクターから「脚本を変更した」という連絡が入ります。
変更後の映画を確認した小林さんと朝日新聞出版は、事前に「小説に書かれた場面・セリフは使用しないように」とお願いしていた部分がそのまま使われていることに気づき、上映中止を要請しました。
要請が受け入れられなかったため、著作権侵害を理由に映画の差止めと損害賠償を求める訴訟を提起しました(知財高判平成28年12月26日)。
この裁判で問われたのは、「体験記に書かれた『事実』はどこまで著作権で守られるのか」という問いです。
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