noteに初めて投稿したショートショート「きみの星にすみたい」
書いた当初は出すのも恥ずかしかったし、誰からも見向きもされなかった。
でも、フォロワーさんが掘り起こして読んでくださり「紙の本で欲しい」と物書き泣かせな一言を伝えてくださった物語です。
書いてよかった、出してよかった、この人に会えてよかった、私が一番救われた話です。
名前や住所を書かないで手紙を郵便局にそのままもって行くと、どこか知らない星の誰かに届くサービスがある。
緑の星に住む「ぼく」が書いた手紙は、赤い星で独りぼっちで仕事をしている「メイジ」の元に届いた。
『きみの星にすみたい』
宇宙がまだ神さまのものだったころ、世界は宇宙にうかんでるたくさんの星だった。
国は1つ1つのちがう色の星で、ロケットにのってぼくらは星から星へと、くにざかいをいどうする。
ぼくはまだロケットにのったことがないから、それが本当かしらない。
だから海の青さはお日さまのひかりだと先生からきいた日、ぼくはどこかの星のだれかに手紙をかいた。
『ぼくはまだロケットにのったことがありません。
ぼくが生まれたみどりの星しかしらないです。
あなたの星はどうですか?どんな色ですか?
ぼくの星は今日もみどりがきれいです』
宇宙ゆうびんではたらくお父さんがおしえてくれたんだ。
名前やじゅうしょを書かないで手紙をゆうびんきょくにそのままもって行くと、どこかしらない星のだれかにとどくサービスがあるんだって。
へんじがあるかもしれないし、ないかもしれない、小さな小さなサービスがあるんだって。
ぼくは白いふうとうに手紙をいれて、お父さんにわたした。
「広い宇宙のだれかに届くといいな」
うん、とうなずいてぼくは青い空をみあげた。
お日さまは7色にひかっていて、ほかの色は海にきゅうしゅうされるけど、青いひかりだけはそのまま海の底までいける。
青いひかりは1ばんとおく長くひかる、だから海は青いと先生がいっていた。
ぼくは思う、空が青いから海が青になるなら、お日さまがある宇宙も青かもしれない。
それはもしかしたら宇宙はおおきい青い星かもしれないってことだ。
そしたら、宇宙も星の1つで世界の1つだとゆうことになる。
とゆうことは、青い星がういているそこもいっぱい星があって、そんなのがずっといっぱいつづいてるんだとぼくは思う。
でもだれにいっても「宇宙は青い星じゃないし、全てには限りがあるからそんな永遠は存在する訳がない」という。
本当のことをみんな見てないのに、どうしてないっていえるんだろう?
行ってちゃんと見たらあるかもしれないのに。
手紙をだしてから10回学校へいった。
家にかえったら母さんが「あなたによ」って、おやつといっしょに赤いふうとうをわたしてくれた。
おもてには「緑の星の君へ」とかいていて、うらにはABCでじゅうしょがかいていた。
なまえは「メイジ」カタカナだ、それいがいはちゃんと読めない。
ぼくはそうぞうする。
メイジはずっと大人かもしれない。
だってぼくはまだこのかんじをかけないし、ABCもわからない。
『手紙を読みました。
俺は君と同じ緑の星の出身で、ロケットに乗って遠くの星に渡って今は住んでいます。
この星は楽しいし、友達もたくさんいる。君は知っているかな?少し遠くの赤い星です。
故郷である緑の星が懐かしくて手紙を書きました。
仲良くして下さい。
赤い星のメイジ』
むずかしいかんじはしらべて、いそいでぼくはメイジに手紙をかいた。
『メイジへ。ありがとう。
ぼくも赤い星のはなしがしりたいです。
赤い星はABCではなすんですか?
みどりの星は、もみじが赤くて赤い星みたいになってます。
今年はうんとさむくなって雪がふるかもしれないから、白い星になるかもしれないと父さんがいっています』
手紙をポストにいれて10回学校へいくとメイジから手紙がくるようになった。
きたらすぐによんで、たくさん手紙をかいた。
そしてメイジのことをたくさんしった。
メイジは赤い星でおきている大きなたたかいの、本当のことをぜんぶの宇宙につたえる仕事をしている。
いろんな星の言葉をはなせる、コーヒーがにがくない、いどうゆうえんちのカルーセルがすき。
秋が秋をやめてやっと雪がふった。
ぼくはそれをメイジにおしえたくて手紙をまったけど、こない。
学校がやすみだからメイジもわからなくなったかもしれない。
いつもより長くてむずかしい手紙が届いた3回おくれた朝。
ぼくはメイジにとても会いたくなった。
『緑の星の俺の友達へ。
悲しい事が起きた時、君は何を大切にしている?
俺は赤い星に来る前に黒い星にいて、恋をした。奥さんと子供が出来て幸せだった。
でもその星は戦いが起きていて、俺は取材の為に町に出た。すると言葉が伝わらない怖い人たちに捕まって、2ヶ月くらい拘束された。
やっと逃げ出して帰ったら奥さんと子供は天国にいってしまっていた。
俺は今でも星がぐるっと回って、2人が天国に行った日が来る度に思う。
正しい事を伝えることは、とても大事で素敵な仕事と人は言うけれど、正しい事をしているはずの俺はどうしてこんなに辛いんだろうか。
大切な人の人生を奪ったこの仕事を俺はまだ続けている。
本当に大切な事はなんだろうか?
君がいる緑の星の方向を見ながら俺はずっと悩んでます。
君の友達、メイジ』
とてもむずかしかったけど、うんと時間をかけてよんだ。
わからないところもあるけれど、ぼくはメイジが泣いている気がする。
そう気づいたらむねがぎゅってあつくなって、のどかきゅっとした。
何かがつまって、これからずっとジュースものみこめないんじゃないかとヒヤヒヤするくらい。
おねがいどうか泣かないで、とおい星のぼくの友だち。
『ぼくは本当に正しいことがなにかまだわからないけど、それがメイジの思う正しいことなら、それが1ばん正しいんだと思う。
メイジの正しいことが、おくさんと子どももきっと1ばん大切だったから、ぜんぶぜんぶメイジにあげたんだと思う。
だから、メイジの1ばんの正しいことを大切にしてください。
大切なメイジの友だちより』
赤いポストに白いふうとうをいれた。
その日の夜に宇宙ニュースが赤い星のことをいっていた。
むずかしいけど、がんばってきいた。
そしてねがった。
メイジの正しいことをすべての星のみんなが大切におもえますように。
かなしい気もちにメイジのむねがぎゅっとかたくなって、正しい気もちがすりへって、だんだん小さなこなになって、赤い星がどうかもっと赤くなりませんように。
それから10回学校にいっても、また10回いってもずっと手紙はこなかった。
夏がきた。
プールからもどると家のまえに父さんと父さんの友達と、はじめて見る人がいた。
ぼくはきっとその人がメイジだとわかって、おもいきりはしった。
「はじめまして、あなたはぼくの友達のメイジですか?」
「そうだよ。初めまして、緑の星の俺の友達」
メイジはお父さんと同じくらいの年で、顔がはんぶんなかった。
笑うとピンクになったかわがひっぱられて線みたいにシワシワして、なんだかかゆそう。
「俺の顔、怖くないか?」
ジージーいっぱいないてたセミがなきやんで、メイジの顔がさみしくなった。
メイジがぼくの前にしゃがんだのとおなじ早さだった。
「こわくなんかないよ。メイジがやさしくて正しい人だってぼくはしっているもの」
「本当に?」
「みんなとちがうのは、こわいことじゃない。ぼくは目で見て友だちをつくらない、こころが大切」
しずかな時間はおわってまた大きな声でセミがなきだした。
「そうだな、うん。皆見た目は違うし、心が一等大切だよな。ありがとう」
いっしょにメイジもないていた。
メイジはたくさん言葉をしっていた。
いろんな星のおもしろいこともしっているし、悲しいことも悪いことも、ぜんぶぜんぶおしえてくれた。
パンケーキをやいてくれた。
甘いコーヒーもいれられるし、ちっちゃいギターもひける。
大きな声でわはははってわらって、楽しいときはぼくのかたをぎゅってだいて、2人でゆれながらドンドン肩をぶつけてわらった。
セミの声がかわった、かわってもいいけどずっとないててほしい。
だってセミがみんな木からおちたら、メイジが赤い星にかえってしまう。
月が食べられる夜がきた。
「月蝕だよ」とメイジはいうけれど、ぼくは月は大きなふかふかのパンケーキで、本当はアリがたべちゃうんだって信じている。
この日はなんびゃく年に1回のアリの星と月が1ばんちかくになるチャンスの日なんだ。
「本当はアリの星から夜をわたって、パンケーキの月をたべちゃうんだよ」
「学校で月蝕って習わなかったか?」
メイジはぼくの話をきいてあごに手をあてて、顔をよこにした。
たしかに学校でおしえてくれたかもしれない。
でも大人だって本当のことのぜんぶなんてわかりっこないことをぼくはしっている。
「先生は月にいったことない。だからほんとうはアリが食べててもしらない」
「ははは!なるほど!そうだな、これだけ広いんだから蟻の星だってあってもおかしくない」
そうなんだ、宇宙アリは宇宙で1ばん食いしんぼうのアリなんだ。
月が食べられる夜は、アリが食べのこしたパンケーキにきじを流して、お日さまで早くやいてかくす日でもある。
「アリの星にすむことがパンケーキの月へのちか道だから、ぼくはいつかアリの星にすみたい」
「うっかり全部食べたら無くなるぞ?空からお月さんがずっと消えちまう」
「そしたらメイジがやいてよ、神さまにないしょでおおきい月のパンケーキ」
「ははは!なるほど!それはいい、宇宙一でっかいフライパン買っておくよ!」
ぼくはまた思った。
もっとメイジといたいって。
だけどすぐこう思った。
メイジはまだ宇宙にひつようなんだって。
だって、ことばが動いている。
メイジはまだまだ正しいことをしないといけない。
「おぼえててね。ぼくがアリの星から空をわたることも、パンケーキのやくそくも」
「あぁ、新しい星に行ってもきっと思い出すし、ずっと覚えてる」
「こんどはどの星にすむの?」
「そうだなぁ・・・」
メイジは空を見た、ぼくもいっしょに見た。
だけどきっとメイジの空の方がちかい。
「俺はいつか君の星に住みたい」
ぼくの星?
「君みたいなふわふわして白くてあったかい、ちょっと幸せになれる星に俺は住みたいよ」
メイジがわらった、ぼくもつられてわらった。
ぼくはきめた。
ぼくもメイジみたいにいろんな星にいく。
そして青い星もみつけて、宇宙のぜんぶも見てみたい。
つぎの日メイジはいなくなった。
どこにいったのかもわからないし、大切なカバンもなかった。
ぼくはもうメイジに手紙をかかなかった。
だってメイジはぼくの星にすむために、宇宙のぜんぶの大事なことをつたえたら、きっとここに帰ってくるから。
思い返せば、これが人生で初めて書いた一次創作の小説でした。
オリジナルの方が拙い文章で、主人公の「ぼく」の具合が良かったけど、読みにくかったから手を入れました。
初心に帰る機会を下さってありがとうございます。
ロケットで世界を移動するのは私が幼い頃ずっと信じていた話で、宇宙アリのパンケーキは絵本か歌か何かで知ってずっと食べたい!と憧れてました。
2位がぐりとぐらのカステラで、3位が11匹のねこのコロッケだった気がする。
そんなすでに茶色い食べ物に魅了された幼少期を経ても、本も碌に読めないバカだから想像力だけはムキムキにたくましかった、ある意味でマッチョな脳みそだった私のはじめての創作。
今はこの物語を世界でたった一冊の紙の本にして、その方にプレゼントしようと奮闘してます。
でもたまにふと冷静になった時。
好きな子に自分が作ったオリジナルソングを録音してプレゼントするアレみたいちゃうか?とハラハラしだしてやめようとしてしまう。
私はやったことないけど、こんな純粋で小っ恥ずかしい気持ちやったんやね。
ところで、
これを読んだあなたの、初めての小説や文章はなんですか?
