【スポンジデシャップ④】みんなが主役〜働く人への解毒剤〜
序章
第1部『指示は命令である〜誰も傷つかない心理術〜』では「ありがとう作戦」を実施し、職場のギスギスした空気を「光」で包みました。第2部『脳内公開〜リアルな現場の語録集〜』では「陰」に隠れていた「化け物」たちを白日のもとにさらしました。
「調和」をテーマとする第3部『脱線美学〜人と食事が調和する〜』では、少し脱線した私自身の飲食店での働き方、人への向き合い方を記しました。
シリーズ完結となる今作のテーマは「昇華」です。働く人全員に対して、心が軽くなるメッセージを届けます。
本文に入る前に「スポンジデシャップ」について説明します。
「スポンジデシャップ」とは、
①なんでも吸収するスポンジ体質
②周りに敏感な飲食店の司令塔
この2つを組み合わせた造語です。
他人のイライラを吸い込み、泥をかぶり続けた「今」だからこそ伝えれるものがあります。
私と同じように、1人で抱え込み胃を痛める人が少なくなることを願います。
第1章:これから働かれる方へ
初めての環境で働く際は誰もが不安です。それは、「学生バイト」でも「新社会人」でも同じです。
「うまく馴染めるだろうか?」
「自分を受け入れてくれるだろうか?」
1度考え出したら、雑草のように心配事がどんどん脳内に増えていきます。
これから「学生バイト」と「新社会人」に向けてアプローチをします。
学生バイトへ
まず、バイトをする決断をしてくれてありがとうございます。「お金が欲しい」「経験を積みたい」など目的は人によって違いますが、お金をいただき「プロ」として働いた経験は社会に出る際の大きな財産となります。
バイト先の制服に袖を通し、タイムカードを切ります。その瞬間から、あなたは大人で言う「ダブルワーカー」さんに変身します。本業を「学校」、副業を「バイト」と二足の草鞋を履いているからです。
大人でも「本業と副業の両立は無理」と悲鳴を上げている中であなたたちは「涼しい顔」をしてこなしています。その状況を素直に称えたいです。
中には「これから初バイト」と不安で押しつぶされている学生さんもいると思います。そんな時には「わかりません」と伝えてください。
この言葉は、あなたを理不尽から守る「最強のお守り」であり、一緒に働く人を味方に代える「最強の魔法」となってくれます。
「わかりません」の魔法
飲食店のバイトには、多くの場合1か月から2か月の「研修期間」が設定されています。この期間は「基礎を固める」時期であると同時に、「わかりません」をたくさん言うことが大切です。
なぜだと思いますか?
研修バッジをつけている間は「わかりません」を連発しても、先輩や主婦パートたちは「まぁ、研修中だからね」と笑顔で確実にフォローしてくれます。この特権を使わない手はありません。
同時に、あなたの「わかりません」は、先輩たちの「言語化力」や「指導力」を引き上げる最高の言葉です。
伝票の「野菜サラダ」をハンディを使用し「シーザーサラダ」に変更をする場面を例に出します。
ベテラン組は
①オーダー修正ボタンを押す
②キャンセルするものを選ぶ
③変更するもの選ぶ
④確認ボタンを押す
⑤送信ボタンを押す
の流れを「自分のシステムの一部」として自動化されています。
もし、この状態で「わかりません」と研修中のあなたに言われたら「これはねぇ」と言いながらも「どう伝えたらいいのかなぁ?」と言語化ができなくて聞かれた本人も相当困っています。
同じようなことを防ぐために、
「まずは私がやっているところをみてもらおう」「近くでハンディを持って一緒にやってみよう」など、何かしらの対応策を考えるようになるからです。
一番やってはいけない最悪の選択は、プライドや恐怖から「わかりません」を言わずに目の前の仕事をそのまま放置することです。その行動が積み重なれば、周囲からは「あの人、使えない」「一緒に働きたくない」と冷酷にジャッジされるお荷物になってしまいます。
そうならないためにも、研修期間という合法的な盾があるうちに、しっかり「わかりません」を使って自分の引き出しを増やしてください。
「お荷物」にならずに、愛される「学生バイト」になるの方法はあるのでしょうか?
愛される学生バイトへ
私が一緒に働いてきた中で「この人は成長する」「仕事がしやすい」と思った学生バイトたちを紹介します。
【大切なことはメモを取る】
これは社会に出てからも大切になりますが、「メモ」を取る姿があるだけで「この人は必死で覚えようとしている」と周りにプラスの印象を与えます。その姿を見た周りは「困った時は助けよう」「そっと見守ろう」と何かあれば心強い味方になってくれます。
【自分の言葉で伝えてくれる】
どれだけ作業ができていても、コミュニケーションが取れないと働きづらいです。拙い敬語や方言が混ざっても、自分の言葉で気持ちを乗せて伝えてくれるとありがたいです。ロボットみたいに「定時が来たので退勤します」と言われるよりも「〇〇さん、時間来たので帰っていいですか?」と自分の言葉で伝えてくれる人のほうが何倍もありがたいです。
少し先の話をします。
「バイト」には、卒業という1つの区切りがあります。卒業したバイトはどこに行くのでしょうか?
答えはお分かりだと思います。
「社会人」として働き始めます。
新社会人へ
入社式という「命の調印日」を境に、組織の歯車の一部となります。
少し慣れてきた頃「思ったのと違う」「もう辞めたい」「分からないことが多すぎる」と、プレッシャーに押しつぶされる感覚があると思います。
はっきり伝えます。甘えでもわがままでもなく、「正常な感覚」です。
社会人1年目の仕事は業務を完璧に回すことではありません。「わかりません」を言うことです。隣を見てください。直属の先輩がいませんか?
隣の先輩はあなたの「伴走者」です。会社側もその先輩の「指導力向上」を目的として、あなたにつけてくれたのです。
あなたが先輩を頼れば先輩は「指導力」が上がり、あなたは「わからない」が解決できます。お互い支え合いながら成長すればいいのです。
頭でわかっていても、「もう辞めたい」と思う場面がきっとあります。そんな時のために「2つのお守り」をこれから渡します。
2つのお守り
【言葉のお守り】
「辞めたい」と1度思ってしまうと、頭の中はずっとこの言葉に支配されます。自分の気持ちまで「辞めたい」方向に傾きます。
「辞める」の漢字に注目してください。
分解すると「舌」と「辛」の漢字ができます。
職場で壁にぶち当たって辛い状況でも
「今、私辛いです」
「もう疲れました」
と自分の言葉で伝えれているうちは大丈夫です。
なぜだと思いますか?
あなた自身が置かれている「辛い」状況をあなたの口にある「舌」を使って言葉にできているからです。自分の状況を「言語化」できるということは、冷静さが保てている証拠です。もう1度前を向いても損はないと思います。
【捉え方のお守り】
もう1つ「辞めたい」と思うきっかけとなるのが、職場の人間関係です。代表的な「お局」との関わりを例に出します。
「お局」と聞くと「これがここのやり方です」「変わるなんて許しません」と固定観念に縛られた「面倒くさい人」と、誰もがイメージすると思います。
実は違います。とても哀れな方です。
その職場に長くいるがために「変なプライド」が知らぬ間に出来上がりました。結果、「わからないから教えてくれる?」と若手に頼ることは恥ずかしいことと本人の中で「歪んだ認知」が生まれました。
「経歴の盾」で必死にガードしているのは、若手や新社会人への威嚇ではありません。弱い自分を隠すための「防衛本能」なのです。
「この人関わりづらいなぁ」と思う人と一緒に業務を進める際は
「なんでこの人は、こんなに虚勢を張るのだろう?」
「どうしてこんな言葉しか出ないのだろう?」
と第三者目線で分析してみてください。
相手の言葉や態度に振り回されることは軽減されると思います。
また、「働く」ことに対して漠然とした「不安」があることはみんな同じです。「不安の中身」が違うだけです。あなたのペースで歩めば大丈夫です。
不安を抱えて社歴を皆重ねていくのです。
第2章:不安で一杯な女性へ
社会人としての基盤が確立すると、「結婚」し「家庭」を築く選択をされる方も多いと思います。独身では感じなかったものが見え出すのもこのタイミングです。この章は「女性」にスポットを当て、尚且つ、働く人全世代に響く言葉を紡ぎます。
結婚した女性の方でしたら「妊娠、出産」を経験される方も多くいると思います。
世間ではおめでたいとされる「妊娠、出産」でも、当事者としては「金銭的不安」「仕事と育児の両立への不安」など挙げればきりがありません。
妊娠されたお母さんへ
まずは、妊娠おめでとうございます。
残酷なことを前もってお伝えしますが、お子さんを出産されてからは「24時間の無賃労働」が発生する最も過酷な期間です。
本当は「こうしたい」とお母さん自身が思っていても、「子供」という守る対象がいる以上お母さん自身の「優先順位」は必然的に下がります。
妊娠期間のうちに
「もし、出産したら私はどんな生活を送るのだろうか?」とイメージする時間を確保してみてください。
育児書に書いてある「夜泣きをします」「子供の笑顔で疲れが吹っ飛びます」のような綺麗事を鵜呑みにしてはいけません。子育てした人間にしかわからないもっとドロドロした部分をあえてイメージしてください。
・真夜中にフラフラになりながら「理由も泣く我が子を必死になだめる自分の姿」
・「かわいい笑顔に確かに癒されるけど、大人の会話ができない相手と2人で過ごす日中の時間」
事前に考えておくことで「こんなんじゃなかった」と、絶望することが減り、母親になる「覚悟」が少しずつ芽生えてきます。
また、お子さんを出産される前にお母さん自身を甘やかすことも大切です。例えるなら、「友達とカフェで話す」、「夫婦で少し豪華な食事を食べる」などです。
「こんなことが?」と不思議に思われるかもしれませんが、とても大切です。妊娠期間の「満たされた経験」が過酷な育児期間を耐え抜くための「心の貯金」となるからです。
ここまでイメージできれば、出産日を迎える不安も減りませんか?
子育て中のお母さんへ
「産休」「育休」を終え、保育園も決まり、職場復帰したタイミングで洗礼を受けます。
スマホに複数の着信履歴、でないとわかれば職場あてに
「〇〇保育園です。お子さんが38度のお熱があります。お迎えお願いします」
の保育園からのお電話。
起床時の子供の検温で「38.5度」の発熱。
職場への
「申し訳ございません。子供が発熱したのでお休みします」
の連絡。
この連絡を想像するたびに、
「私がしっかりしてれば」
「先週家で過ごしていれば」
などの「罪悪感」と同時に職場へ迷惑をかけた「絶望感」が押し寄せます。
少し考えてください。事実でありますが、この環境に悪者はいません。体調は誰もが崩しますが、体調を崩したのが「自分でなく子供」なだけで罪悪感などが強くなっているだけです。
「お子さんが1歳ならお母さんは1年目」
「お子さんが3歳ならお母さんは3年目」
無理に完璧に回す必要はありません。
お子さんの今の年齢がお母さんとしての年齢なのですから。
職場を見てください。あなたと同じように子育てされながら働かれている方がいませんか?
今は頼ったらいいのです。お子さんの状態が良くなったら今度はあなたが「お返し」をしたらいいのです。
お互い様の精神があれば、あなたは「お荷物」にはなりません。きちんと歯車として機能します。
頭ではわかっていても、「仕事と家庭」のバランスに悩むことが必ずあります。終わりの見えない子育てに対する「イライラ」やハードな仕事に対しての「ストレス」などで、子育て中のお母さんは笑顔の裏で「ボロボロ」の状態です。
さらに追い打ちをかけるのが、金銭面の不安です。
「収入が減ってしまうかもしれない」
「生活を維持できなくなるかもしれない」と目に見えた不安があるため、「まだ大丈夫」と、本心に嘘をつき頑張ってしまう現実があります。
仕事と家庭のバランスを過去に崩した私から伝えたいです。
身体に鞭を打って「再起不能」となる前に少しペースダウンしませんか?
あなたが再起不能となることは職場と家庭双方にとって痛手となります。
お母さん自身が社会と繋がり、金銭面の負担を少しでも軽くするためには「制度」を有効利用することが解決策です。
そして「制度」には私自身が助けられた経緯があります。
お守りとしての「制度」
働くお母さんや、妊娠されたお母さんにとって自分と子供を守る盾となるものが「扶養内勤務」や「短時間勤務」などの制度です。
私自身妊娠後期に「切迫早産」と診断された過去があります。医師の指示による「時短勤務」が可能であることは知っていましたが、「職場に迷惑をかける」「生活費が稼げない」などの思いから身体に鞭を打ち働いてました。
その結果、定期検診の際「今日から出産予定日まで絶対安静です」と言われ、食事、入浴、排泄しか起き上がることを禁止されました。
私がこのような状況になったため、勤務メンバーのシフトを全部変更する大問題に発展しました。
子供を出産してから現在もお世話になっているのが「扶養内勤務」です。
職場復帰をしてから3カ月程は「時短勤務」で働いていましたが、「終わりの見えない子育て」と、当時の仕事「介護」が災いし自分のバランスが取れなくなり「扶養内勤務」に切り替えました。
収入は減りましたが、「気持ちの余裕」が生まれたので後悔はしていません。
また、私が飲食店の「デシャップ」として働けているのもこの制度に守られているからです。
制度を使うことに戸惑っているお母さんたち、少しでも魅力に感じるのなら使ってください。お母さんの身体は1人だけのものではありません。「働く時間を延ばすこと」はすぐにできます。しかし、「心と身体を守ること」は、お母さんが選択しないとできません。
ここまでは「お母さん側」の女性にスポットを当ててましたが、ここから先は「独身女性」や「あえて子供を持たない女性」にスポットを当てます。
少し「闇」の部分になるかもしれませんが「独身」を貫かれている女性や「子供を持たない」選択をした女性に対して「なぜ結婚しない?」「いつ子供を産む?」といった言葉が投げかけられている事実があります。
子育て中のお母さんや、妊娠中のお母さんと同じように1人で抱えています。
周囲からの「気楽でいいよね」「自由でうらやましい」などの目線に孤独に耐えています。
見えない傷を抱えながら
はっきり、伝えます。
「独身」を貫くことや、「子供を持たない」選択をしたのは当事者である女性です。覚悟を持って決断した人に対して外野が騒ぎ立てることに意味はあるのでしょうか?
ありませんよね。
「本当は子供を生みたかった」「結婚したかった」などの女性特有の複雑さも絡み合ったデリケートな部分です。「独身女性」「子なし女性」というだけで「独身男性」とは比べ物にならないほど騒ぎ立てられることに内心腹立たしさを感じています。
このような選択をした女性自身にも複雑な心境があります。「独身女性」と「子なし女性」分けて伝えます。
【独身女性】
本当は「家庭を築きたかった……」そのように思っている方も一定数いると思います。
しかし、目の前のハードな仕事や自身の親の体調面など「自分の本心」よりも、優先順位が高いものがあったため、必死で向き合っていました。知らぬ間に年月が過ぎていた可能性があります。
【子なし女性】
「本当は子供を持ちたかった……」本音が隠れている場合が多いです。女性特有の病気や体質、パートナーの体質であったり、非常にデリケートな部分です。中には、「不妊治療」を経験された方もいます。誰にも言えず涙を流した過去を乗り越えて生活されています。
両者とも、自分の置かれている状況から逃げなかった「真の強さ」があります。
自分の人生の舵をとっていることにかわりありません。
他者の物差しで、個人の生き方を測るものではありません。「誰一人としてあなたと同じ生き方をしていない」のですから。
お互いの背景を知り、尊重し合える社会であってほしいと願います。
第3章:仲介業務に疲れた方へ
お仕事をされている方であれば「人の間に立つ」ことにかなり神経を使われると思います。人が集まる場所では職場、学校問わずこのポジションを担当する人が自然に発生します。
代表的なものが「中間管理職」です。
上司からは「指示という名の命令」、部下からは「お願いと言う名の愚痴」が自動的に集まってきます。脳も心も常にアンテナMAXな状況です。ちょっとでも気を抜くと「心の声が表情に……」という危機的場面も高確率であります。
私の本職である飲食店の「デシャップ」も、この状況そのものです。
ホールスタッフから
「〇卓のさんメニュー、人数分ご飯大盛りにしてください」と言われれば、
キッチンスタッフに
「オーダー変更です。〇卓さん、ご飯類全部大盛りでお願いします。」と伝えます。
無事に対処できたと安心したら
キッチンスタッフから
「オーダー前後します。先に〇卓さんの御膳を出します」と言われれば
ホールスタッフに
「〇卓さんに提供お願いします。△卓のお客様にお料理提供遅れますと伝えてください」と、依頼します。
このような環境に長時間身を置いてください。
「脳を休めたい」「ちょっと1人にさせて」と誰しもが思います。
それだけ重要なポジションなのです。同時に「人間としての胆力」が試される事実もあります。
人の間に生きているから
先程もお伝えしましたが、「中間管理職」は、「人の間に立つ」役割です。
「人間」の文字に注目してください。
「人の間」と書きます。
「人間」そのものを体現したポジションなのです。
「上司と部下」、「ホールとキッチン」など、双方をうまくまとめれるのは「人を知りたい」という純粋な思いや、他者を思いやる「胆力」があるからだと私は思います。
「もっとうまく立ち回りたい」
「もっと分かりやすい言葉で伝えたい」
そう思っているのはあなただけではありません。
「人の間に立つ」ポジションの人全員が思っています。
私自身「デシャップ」をやり始めてから気づいたことがあります。
「この人は焦りやすいからゆっくり伝えよう」「この人には主従関係を示したいから事務的に伝えよう」など、
相手の性格やその時の状況によって声のトーンをあえて変えることです。「面倒くさい」と思われるこの対応がお互いを守り、業務を円滑に回す要でした。
脳も心も常に酷使するポジションですが、同時に「人」について、面と向かって学べるポジションだと私は思います。
あなたが「人」について本気で向き合っていることを密かに分かっている方がいます。
私達はあなたの味方です
「部長」や「課長」は役職があるため、毎月一定額の「役職手当」が支給されます。
しかし、役職がなくても職場をそっと支えてくれる人たちがいます。代表的な3名をこれから紹介します。
【職場ママ(ケア要員)】
人当たりがよく「声を荒げる」ことがないため「ちょっといいですか?」と相談を持ちかけられることが多いです。「愚痴聞き」や「メンタルケア」など管理職代行のような業務をして職場のバランスをとってくれる方です。
話したあと「無理はしないでね」と、温かい言葉をかけてくれたり、「これ食べて元気出して」などお菓子をくれることもあります。
【生きたマニュアル(パート主婦)】
「人の間に立つこと」に疲れた中間管理職にとって「駆け込み寺」のような存在の方です。今は「パート」という形態で働かれてますが、「バリバリに働いた過去」がある方です。共通して職歴も長く数多くの修羅場をくぐり抜けています。「〇〇さんどう思いますか?」と意見を聞いてみてください。過去の職場と現在の職場の経験から「思わぬ策」を出してくれることがあります。
心の中では「もっと働きたい」「頼られたい」気持ちがあります。困った時、心強い味方になってくれます。
【組織の情報ボックス(孤高のキーマン)】
「職場ママ」の穏やかさと、「生きたマニュアル」の頭脳を掛け合わせ方です。
「この人は口外しないから話しても大丈夫」だと、周囲に絶大な安心感を与えます。自分の意志とは無関係に「組織の情報」がどんどん脳内に蓄積されます。
弱音を吐くことや心情を伝えることはありませんが、「中間管理職」の心の悲鳴などを一番キャッチしてくれてます。
この人達の凄い部分は、「役職手当」という目に見える対価は発生していませんが、「生まれ持ったスキル」で人を導けている事実です。
誰に命令されるわけでも、お金欲しさのためでもなく「目の前の人」に対して「優しさ」や「観察眼」などを惜しげもなく使えていることです。
同時に、
「人の間にいて人間」
「喜ばれる人になりなさい」
を軸として生きている私にとって、最も憧れている人たちの姿です。
長い社会人生活、近くにこのような方がいてくれるだけで少し心が軽くなります。
私自身もこの方達に何度も助けらました。
ここからは、この章のテーマである「仲介業務」の本当のしんどさをお伝えします。
先程お伝えした「理解ある味方」だけでないのが組織の性です。
あの手この手を使っても「対処できない方」もいます。社会に出て15年、元介護職と現飲食店の異色の経歴を持つ私が「お手上げ」状態になった方をこれから紹介します。
私達を困らせないでください
どれだけ「個人の裁量」で仕事を任されていたとしても、完全に「人」と関わらずに業務を進めることは不可能です。
2020年のコロナ禍よりリモート勤務が導入されました。現在でも多くの企業で取り入れられています。「対面」でない分、自分のペースでできるメリットがあります。
しかし、「画面越し」ならではの難しさがあります。
画面の向こう側には「生きた人間」がいるからでます。
「対面」でのコミュニケーションでは「声のトーン」や「微妙な表情変化」から「今こんなことを考えているのだろうか?」とある程度予測ができました。しかし、テキストやカメラでは補えきれない部分があります。
現代の複雑な組織において私が「お手上げ」状態となった方達を3タイプに分けました。順にお伝えします。
【後出しジャンケンタイプ】
「物の配置を変えた」を例に出します。
いつもの保管場所を見ても必要なものが見当たりません。「もしかしたら」と思い別の場所を探すも見当たりません。出勤メンバーに聞くも「私もわからない」と伝えられます。
最終手段として「Slack」などの共有ツールを使い、「〇〇が少ない状況です。なくなり次第△△に切り替えて構いませんか?」と発信すると、配置を変えた本人から「取りにくい場所にあったから、別の棚に移動した」と連絡が来ます。
それなら「ここに移動しました」と写真をアップしてくれれば「代替案」を出すことも作業を止めることもなかったのにと、その場に居合わせた人達に満場一致で突っ込まれるタイプです。
【言語化丸投げタイプ】
「指示だし」で顕著に表れます。
何の前触れなく「この作業、明日から工程変わるからね」と、いきなり伝えられます。指示を出した側は「1度言えば分かって当たり前」の感覚で自分の頭の中でしか完結できてないことを伝えてきます。
その指示を直接受ける私の頭ではたくさんの「?」がつきます。
「工程が変わるのは分かったけれど、なぜ変えたの?」
肝心な「理由」や「経緯」などがありません。「こういうことですか?」「これが理由ですね」など、指示を出した本人がその場から去る前に「キーワード回収」をしたり、「〇〇が言いたいのだろう」と噛み砕く作業が発生するからです。
指示を出した本人も「全体通知」をしますが、圧倒的に言葉足らずでうまく伝わらないことが多いです。
最終的に「これはどういうことですか?」の言葉が飛び交います。業務と火消しが同時進行で行われていることを、指示を出した本人は気づいていません。
【幼稚な大人タイプ】
関わる際に1番神経を使うタイプです。
見た目は完全なる大人ですが、心の中に小さい子供が住んでいます。
本人にとって「不都合なこと」が起きた場合、心の中の幼い自分が解放されます。自分を抑える技術がないため「表情」や「態度」に現れます。それに気づいた周りは「触らぬ神に祟りなし」と判断し自分を守るために距離を取ります。
特に、初めてこの状況を見た「新入社員」たちは「何か失礼なことしたのだろうか?」と自分の行動を振り返ります。悩んで潰れてほしくないので「実はね……」とダメージを負わない範囲で伝える手間も発生してます。
そして、これが1番の厄介ポイントです。
不機嫌をまき散らしている本人には、自覚がありません。そのため、「周りに嫌われている」「誰も助けてくれない」と自分にとっての保護者である「マネージャー」や「SV」に泣きつくのです。
「仲介業務」をする以上、このような方から自分を守る必要があります。
私自身、相手を知るために「対話」を試みましたが、「話が明後日の方向に脱線する」「まともな受け答えができない」などの弊害があることに気づきました。お互いの精神を守るために、あえて対話をすることをやめました。
代わりに「Slack」や「LINE」などの「文字」でのコミュニケーションに切り替えました。
同時に「文字」でのコミュニケーションは、いざとなれば自分を守る「最強の盾」となります。
見える化こそ最強の盾
これは、私が「お手上げ」状態となった方達からの学びです。
対話や通話でのコミュニケーション時、もしトラブルが起きれば「あれ、そんなこと言ったっけ?」と自分の立場が悪くなれば、都合よく自分が言ったことを忘れたふりをする方がいます。
また、声のトーンから相手のイライラや不機嫌を受け取る可能性もあります。そうなれば、精神的ダメージが蓄積されます。
自分を守るために、「Slack」や「ライン」などで「感情を抜いた事実のみ」を残すことにしました。
「見える化」された事実は履歴として残るので、「言った言わない論争」から自分を守れます。「大衆の目」があります。問い詰められた側は、何かしらの答えを出さざるを得ません。
さらにこの盾は時として「最強の武器」になります。
特定の人の行動に対して「これ以上放置すると支障が出る」場面において、「見える化」したものを時系列でまとめてください。
そして「〇〇部長、ちょっとご相談よろしいですか?」と上司の前に差し出してください。
感情論ではなく、客観的な「動かぬ証拠」が目の前にあります。自分の首が飛ぶことを恐れる上司を動かす「大義名分」となります。
感情を抜き「見える化」されたものは、いざとなれば自分を守り、組織を動かす「最強の盾」にかわります。
ここまでは「組織で生き抜く」ことをテーマで色々とお伝えしました。
どれだけ対策をしていても、心と身体が「もう無理です」と悲鳴を上げる時があります。そんなときのために「解毒剤」を贈りたいです。
第4章:心に届け解毒剤
「言霊」と言う言葉もあるように、1度声に出したり、文字として記されたものには「命」が宿ります。
冷たい言葉は人を傷つける武器となりますが、温かい言葉は人を救う薬となります。どんな人にでも響く「お守り」や行動を「肯定」する言葉を贈ります。
心に明かりを灯したい
【ありがとうの魔法】
最初に贈りたい言葉は「ありがとう」です。
この言葉を聞いて「困るからやめて」と思う人は、1人もいないと思います。
「ありがとう」の持つパワーは強力です。この五文字には、言葉を発した「本人」、受け取った「相手」、「同じ空間でこの言葉を聞いた人を同時にケア」しています。
序章でお伝えした通り「ありがとう作戦」として、私自身もデシャップとして「ありがとう」を多用します。
「レジお願いします」「提供お願いします」と年下デシャップから指示を出されるホールのおばちゃんは「内心嫌だろうな」そんな思いから、指示そのものを「お客様に対してのアナウンス」に転換しました。いざ「決行」すると、結果的にお店のギスギスした空気がマイルドになリました。同時に「ありがとう」を合図にホールのおばちゃんはレジへ率先して入ってくれるようになりました。効果絶大です。
【理不尽という名の財産】
ここで私たちが日々悩まされている「理不尽」について考えたいと思います。
「理不尽」とは、相手の都合、その日の気分、個人の保身など、こちらの努力ではどうにもならない身勝手な理由で振り回されることの例えです。「成長のため」「お客様のため」などの明確な道理がある「厳しさ」とは違います。
少し見方を変えませんか?
今は気づかないかもしれませんが、後に自分や一緒に働く人を守るための「最高の財産」です。
なぜだと思いますか?
「この言葉で深く傷ついた」「この行動で周りはイライラしていた」などの「痛み」が、人をまとめる立場になった際、絶対に間違えてはならない「言葉選び」や「立ち振る舞い」などの1つの指針になるからです。
自分にとって毒となった人を、自分を高める「無料の教科書」として捉えればいいのです。
物価高の今、書店に立ち寄る前に少し立ち止まってください。
目の前を見てください。お財布に優しい「立派な書籍」があるのですから。
【泣くことの役割】
辛い時、苦しい時に人は泣きます。
「こんな年になって恥ずかしい」そう思う必要はありません。感情が生きているから人は泣くのです。
「泣く」という字を分解すると
「氵(さんずい)」と「立つ(たつ)」に分けることができます。
「泣く」ということは、心に溜まっていた不要なものを水として流すことです。
泣くことにより、人は冷静になれます。
自分にとって不要なものがなくなったため、「またやってみよう」と「自分の足で立つ」ことができるのです。
また、職場や家庭で誰かが泣く場面を見るかもしれません。そんな時は、少し離れたところから見守っていただけませんか?
泣いている本人は、必死に冷静さを取り戻しています。本当にしんどい状況なら「〇〇さん、聞いてください」などと自らSOSを出します。
そのタイミングで話を聞いてください。
【休職することの意味】
心身の不調に伴い「休職」の決断をする方、現在休職中の方に伝えたいことがあります。
休職を選んだ人の多くは「周りに迷惑をかけた」「職場から逃げてしまった」と罪悪感を抱きます。断言しますが、そんな風に自分を責める必要は全くありません。
それよりも「完全に潰れて再起不能」になることが会社側も休職者本人も辛いことなのです。
スマホを想像してください。電池がゼロの状態ではどれだけ画面を叩いても反応しませんよね。
「休職」することは「心を充電」することです。完全に充電できてから働けばいいのです。
実は私自身、考えることの多さに圧倒された時期がありました。1度職場から離れ自分と向き合う時間を確保したく「予防目的」で1週間休職したことがあります。
決断するまではすごく悩みましたが、今振り返れば後悔していません。
休職期間を終えて職場復帰すると、今まで気づかなかった「理不尽」や「重い空気」を体全体で吸収してしまいます。
「やっぱり無理かもしれない」と、どこかのタイミングで感じ取ります。
その気づきは「心が正常な証拠」であり、自分を守るための「防衛反応」です。
「退職」のカウントダウンがひそかに始まっている状態です。
正義の引導を渡せばいい
入社式を「命の調印日」とたとえるなら、その契約を白紙にする際は「正義の引導」となる「退職届け」が必要です。
「退職」を決断するまではものすごく悩みます。
「あなたがいないとここは回らない」
「給料上げるから残ってほしい」
「今よりも楽な部署に異動してもいいから」
など上層部が伝えてくる言葉が脳内でイメージできるからです。
私自身、過去に2回「もう無理です」となり、「面識のない社員さんと働きたいです。異動させてください。」とマネージャーに伝えたところ、その情報はマネージャー経由でSVに伝わりました。
翌日SVと面談をし「あなたがいないとここは回りません」と引き留められました。
私自身、「鍵フル装備もちのパート」であり、現店舗での「インフラ」になりつつあります。そう簡単に「辞められない」事もわかっています。
しかし「特定の人がいないと回らない」状況は、会社が「仕組みづくり」を放棄していることと同じです。
私は、職場内でのトラブルに遭遇するたびに、心の中でガスバーナーのような「青白い炎」を燃やしています。
防衛本能としての「早く私を解放してください」と心の底からの願いがあります。
また、自分が抜けることで「学生バイトやパートさん達を困らせたくない」思いがあります。
相反する2つの思いを抱えながら、自分を律し日々働いています。
社会に出て15年です。多くの人たちの卒業を見送りました。現店舗で「正義の引導」を握り続けている私が見送った人達への思いを綴ります。
その決断に自身を持って
「〇月で辞めます」「ごめんなさい迷惑かけます」辞める決断をした人達が私に伝えてくれる言葉です。
私はその言葉を聞いても「否定」しません。
「なんで辞めるの?」
もしこの言葉を伝えてしまうと、決断した本人を苦しめることになるからです。
現店舗での引き留め経験がある私には、「なんで辞めるの」の言葉が持つ毒性が痛いほどわかります。
だから
「それでいいと思うよ」と、全肯定します。
「人生の決断」をした人に対して、他人が口出しする権利はないからです。
同時にこの店舗から抜け出してくれたことに一種の安堵感を覚えます。私のように「インフラ」として身動きが取れなくなる前に、最高の決断をしてくれたことを嬉しく思います。
また、私を「教科書」として扱ってほしい気持ちもあります。
「周りを思いやり、広い視野を持ち働くこと
は大切だけど、どこかで自分と組織に境界を引かないと組織のインフラになり抜け出せなくなる」最高の実例があるからです。
私自身、「いつか辞めたい」気持ちを抱えながらあとどの程度現店舗で働けるかは正直わかりません。もし、何らかの出来事がトリガーとなれば再度「異動したい」「辞めたい」衝動に駆られます。
この衝動を乗り越えれたら「胆力がさらに強くなった」と自分を称え、「もう、どうでもいい」と思った場合は「正義の引導」を渡す準備を進める時期だと捉えることにします。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。第4部は、働く人に対しての救済の面と私自身の救済の面があります。
「本当はこんな言葉が聞きたかった」
「本当はこんな人の側で働きたかった」
所々に私の本音を散りばめました。
理不尽な場面に何度も遭遇し、棘のある言葉で深く傷つき、「社員不在」の理由から学生バイトを守るために泥をかぶったこともあります。
どこにでもいる「飲食店のパート」が書いた拙い文章ではありますが、読んでいただいた方の心の毒が少しでも和らげば幸いです。
最後に伝えさせてください。
あなたが乗る船、「人生号」の舵を取るのはあなた自身です。どんな事があっても、絶対に舵を取ることを放棄しないでください。
「人が生きる」と書いて「人生」です。
どんな形であれ、あなた自身が納得して「人生号」の舵を取ればいいのです。
出会う人たちからは「何かしらの学び」があります。自分からしてプラスに感じたことは吸収し、「これはどうかなぁ?」と悩むことは教科書として糧とすればいいのです。
「ごちそうさまでした。無事に消化(昇華)できました」
★スポンジデシャップ「昇華」への道
※note内で「スポンジデシャップ」と検索すると全編お読みいただけます。
第1部(理想・光)
『指示は命令である〜誰も傷つかない心理術〜』
第2部(本音・陰)
『脳内公開〜リアルな現場の語録集〜』
第3部(調和)
『脱線美学〜人と食事が調和する〜』
第4部(昇華)
『みんなが主役〜働く人への解毒剤〜』
