味噌沼の前にて坐す。烈士洵名編
人はなぜラーメンを食らうのか。
そんなことを考えたことはあるだろうか。
美味しいものは脂肪と糖で出来ている。
あるテレビCMの格言めいた言葉に、この料理はまさに当てはまる。
しかし、戦後の滋養強壮に窮していた時代であればいざ知らず、これら栄養素が飽和した現代において、これに特化した食物を摂取することは、我々の人生の質をどのような形で高めてくれるのか。
金曜日の仕事帰り、立ち寄った店のカウンターでそんなことを考えていたら、今日の一杯が運ばれてきた。


11/7 烈士洵名 信州白味噌麺 1000円。
まず味噌の香りが立つ。
鼻を近づけなくてもわかる味噌。
それこそ沼のような、濁りのあるスープ。信州の味噌を使っているらしい。
トッピングは控えめな印象。
まずスープをひとくち。
濃いめの味、炒めたスライス玉ねぎがついてくる。
味噌の他にひりっとした味がくる。なんだろう、と箸で探ると刻んだ唐辛子がスープに紛れていて、胡椒も少し振ってあるらしい。
脂分多めのスープ。コクの感じは私好みのものだが、相変わらず何の脂かまではまだわからない。

麺はよくみる太さのややコシがあるもの。
味噌ラーメンの麺はもちもちして、濃いスープに負けないものがよい。
トッピングはスープに沈み柔らかくなった海苔、煮卵、メンマ、チャーシューに刻みネギくらい 。
チャーシューは薄切りで、これも脂っぽいぷるぷるの方だった。
みそ家など具沢山の味噌ラーメンが多く見られる中で、この一杯は「静」、それでいてスープの油と塩味、辛味の奥深さに集中するには良い一品だ。
食べ終わると汗だく。今日も整った。
栄養バランスが満たされているかはわからない。
しかし、少なくともこの瞬間だけは、頭の痛みは忘れられる気がする。
坐れば誰しも救われる。
それゆえこの料理は今日もつくられ、食べられているのだろう。
