カナダの法律はややこしい?日本との違いは?
日本とカナダの法律を比べると、「ルールが違う」と感じることは多いと思います。例えば、カナダでは公共の場での飲酒や泥酔が禁止されていたり、逆に娯楽用大麻は許されていたり。
ただ、重要なのはその一歩先です。
👉 そもそも“法の動き方”が違う
つまり、法律の中身だけでなく、
どうやってルールが作られ、適用されるかという「OS(オペレーティングシステム)」自体が異なります。
さらにカナダでは、そこに連邦と州の二重構造が重なります。
1. 何を「ルールの根拠」とするか
まず、日本とカナダ(※ケベック州を除く)の違いはシンプルです。
日本(シビル・ロー)
法律の条文が中心です。
六法全書に書かれているルールを出発点として、裁判官がそれを解釈し、個別の事案に当てはめます。
👉 発想は「書いてあることが基本」
カナダ(コモン・ロー)
一方でカナダは、過去の裁判(判例)が非常に重要です。
似たケースが過去にどう判断されたかをもとに、現在の結論を導きます。
👉 発想は「過去の判断の積み重ねがルール」
この違いを一言で言うと、
日本 → 法律を“読む”世界
カナダ → 判例を“辿る”世界
です。
2. カナダは一枚岩ではない
ここでさらにややこしくなります。
カナダはコモン・ローの国と思われがちですが、実はそうではありません。
ケベック州では、民事分野についてシビル・ロー(フランス法系)が採用されています。
つまりカナダは、
👉 1つの国の中に2つの法体系が共存している
という構造になっています。
この時点で、日本の「全国一律」という感覚とはかなり違います。
3. 連邦と州の二重構造
さらに重要なのが、カナダの連邦制です。
カナダでは、法律の分野ごとに
「連邦が担当するもの」と「州が担当するもの」が分かれています。
例えば、離婚というテーマ。
連邦法(Federal)→全国共通のルールです。
離婚そのもの(婚姻の解消)
養育費
配偶者扶養
州法(Provincial)→州ごとに内容が異なります。
財産分与
事実婚(コモンロー関係)
不動産、労働など
4. 弁護士資格は「州ごと」
この違いは、弁護士制度にもはっきり現れます。
日本では、弁護士資格は全国共通です。
どの地域の案件でも基本的に対応できます。
しかしカナダでは違います。
👉 弁護士は州ごとに資格が分かれています
例えば、
BC州の弁護士 → 主にBC州の案件
オンタリオ州 → 別のライセンス
なぜかというと、
👉 州ごとに法律も判例も違うから
です。
5.よくある間違え
したがって、たとえオンタリオ州で離婚実務に精通している弁護士であっても、BC州の財産分与については注意が必要です。
というのも、財産分与のルールは州ごとに大きく異なり、
たとえば「どの資産が共有財産から除外されるか」といった基準も、
州によって全く別の考え方が採られているからです。
そのため、他州の前提でアドバイスを受けてしまうと、
結果的に正確ではない判断につながる可能性があります。
最後に
日本の感覚では、
👉 「法律=全国共通のルール」
ですが、カナダでは、
👉 「法律=法体系 × 連邦 × 州のレイヤー構造」
です。
この違いを理解するだけで、契約、離婚、移民、ビジネスすべてにおいて判断の精度が大きく変わります。
そして何より重要なのは、
👉 該当する州の法律に精通した弁護士に相談することです。
同じ「カナダの弁護士」であっても、
州が違えば前提となるルール自体が異なるため、
専門性の見極めが結果に直結します。
