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一宮光輝が語る『CHAGE』─ なぜCHAGEのコーラスは名曲を名曲に変えるのか(CHAGE&ASKAコーラス論)

序章 ─なぜCHAGEのコーラスは、オーケストラ

歌ラボの一宮光輝です。

今日はね、ずっと書きたかった話があるんですよ。
CHAGE&ASKAという、日本音楽史に残るユニットの
"もう一人の主役"
 ─CHAGEさんのコーラスの話です。

「CHAGE&ASKA」と聞くと、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、ASKAさんの伸びやかな歌声かもしれません。確かにASKAさんは、メインメロディの素晴らしい歌い手です。日本語が一番綺麗に聞こえる声、と僕は思っています。

でもね、もう一人いるんですよ。
ASKAさんの隣で、もう一つの "声の役割" を担い続けている人が。
CHAGEさんです。

CHAGEさんのコーラスを、皆さんは意識して聴いたことがありますか?

おそらく、多くの方は「無意識に」聴いている。
そして、その無意識の領域で、CHAGEさんのコーラスが入った瞬間に、楽曲の重みが一段増している ことを、身体で感じている。

これがね、僕が今日、書きたかったことなんです。

「CHAGEのコーラスが、名曲を "名曲" に変えている。」

これは、僕がCHAGE&ASKAを聴き続けてきて、どうしても言葉にしておきたかった事実です。

2024年10月1日の全楽曲サブスク解禁をきっかけに、
若い世代を含む新しい聴き手が CHAGE&ASKA を "発見" し
始めています。デビュー45周年の節目に、
ようやくストリーミング配信が解禁された ─このタイミングで、
CHAGEさんのコーラスを 耳を澄まして聴くことには、
特別な意味があると、僕は思っているんですよ。

本記事では、CHAGEさんのコーラスが
物理的に、解剖学的に、何をやっているのか を、
できるだけ平易に解き明かしていきます。
読み終わる頃には、皆さんがCHAGE&ASKAを聴く時、
おそらく 耳の使い方が変わっている はずです。


 第1章 CHAGEのコーラスを聴く耳 ─気づくか、気づかないかの境目

少しだけ歴史の話を ─CHAGE&ASKAというユニットの 歩み

技術的な話に入る前に、ほんの少しだけ、CHAGE&ASKAというユニットの歩みを共有させてください。CHAGEさんのコーラスを語る上で、二人がどう "二人の声" を磨いてきたか ─その時間軸を知っておくことが、何よりの補助線になるんです。

CHAGE&ASKAは、1979年8月25日 に「ひとり咲き」で
デビューしました。出会いは高校時代まで遡る、
長い付き合いの二人組です。

1980年代を、僕はよく 「二人の "声の身体" が出来上がっていく助走期"」 と表現します。1980年に「万里の河」が初のチャートヒット。
それ以降、決して継続的な大ヒットがあったわけではなく、
派手な ヒットを連発するというよりも、地道に楽曲とコーラスの "完成度" を磨いていく時代 が続いたんです。

転機が訪れるのは、1980年代の終わり

 ・1988年:アルバム『PRIDE』が、オリコン週間アルバムチャート 第1位を獲得(『熱風』(1981年)以来となる首位返り咲き)

同アルバムには、後の代名詞的楽曲となる『WALK』なども収録

このタイミングで、CHAGE&ASKAの
"二人の声の完成形" が見え始めたと、僕は捉えています。
そしてその助走の上に、1991年〜1993年の大爆発が訪れる。

・1991年8月『SAY YES』(月9『101回目のプロポーズ』主題歌)
・1991年10月『太陽と埃の中で』
・1993年3月『YAH YAH YAH』
・1994年7月『Heart』
・1995年7月『On Your Mark』(ジブリ短編フィルム)

その黄金期の真っ只中、1992年に行われた全国ツアーが、
「CONCERT TOUR 1992 "BIG TREE"」です。

 ・期間:1992年3月13日〜5月12日
・公演数:60日間で30会場
・特徴:アリーナクラスを中心とした、当時として記録的な規模の大型ツアー

そしてこのツアーを 全30公演完全密着取材 した上で、
伝説的作品

CONCERT MOVIE GUYS(1993年3月24日リリース)

なんです。当時、日本では画期的な本格コンサートムービーとして 大きな話題を呼んだ、ライブ映像作品の金字塔です。

収録楽曲は、SAY YES、太陽と埃の中で、Love Affair、DO YA DO、CATCH&RELEASE、Trip、終章(エピローグ)、はじまりはいつも雨、LOVE SONG、モーニングムーン、モナリザの背中よりも、Energy、僕はこの瞳で嘘をつく、Mr.ASIA、ロマンシングヤード、WALK、BIG TREEなど
なんと 20曲

そして、この「GUYS」の中に、CHAGEさんのコーラスの "完成形" が記録されている んですよ。
1980年代を通して磨かれた二人の声が、1992年という到達点で、高い完成度で重なり合い、立体的なサウンドを生み出している。

僕がCHAGEさんのコーラスを語る時、いちばん引き合いに出したいのが、この 「GUYS」なんです。

そして30年以上の時を経て、2024年10月1日、ようやく全楽曲がサブスクで聴けるようになった。
いま、僕たちは、この "完成形" を、過去のものではなく、現在進行形の名作として聴くことができる

これは、本当に幸運なことだと、僕は思っているんですよ。

「主旋律」と「コーラス」は別の楽器である

歴史の話はここまでにして、ボイトレ的な大前提を一つ。

主旋律(リードボーカル)とコーラスは、
音楽的な役割がまったく違う んですよ。
これ、案外知られていない事実なんです。

| 「言葉を運ぶ」役割 | 「空気を作る」役割 |
| 聴き手の意識を引きつける | 聴き手の身体を包み込む |
| メロディの "前景" | メロディの "後景"(背景) |
| はっきり聴こえる | "あるかどうか" でしか感じない |

リードはステージの主役、コーラスはステージそのものを作る装置 ―こう考えると分かりやすいかもしれません。

そして、ここからが本題です。
CHAGEさんのコーラスは、この "後景を作る" 仕事を、
世界レベルでやっている
んですよ。

CHAGEのコーラスを聴くと "曲が立体化する"

試しに、CHAGE&ASKAの代表曲を一曲、頭の中で再生してみてください。
『SAY YES』でも、『太陽と埃の中で』でも、『YAH YAH YAH』でも、『LOVE SONG』でも構いません。
もしお手元に「CONCERT MOVIE GUYS」(Blu-ray は2012年に再リリース、サブスクで音源も解禁)があれば、ぜひそちらのライブ音源で聴いてみてください。スタジオ版以上に、二人の声が生身でぶつかり、混ざり、立体化していく 生きた音響 が記録されています。

サビの部分を、特に意識してみる。

ASKAさんが主旋律を歌います。
そこに、CHAGEさんの声が 重なってくる

この瞬間、何が起きていますか?
楽曲が、ラグジュアリーに立体に変わる んですよ。

これは単なる比喩ではなく、音響的にも説明できる現象です。
ASKAさん一人の声が空間に "線" を描いていたところに、CHAGEさんのコーラスが入ることで、その線が "面" になり、そして "立体" になる。

聴き手の身体は、その変化を 無意識に感じている
だから、サビが来た瞬間、心が動く。
身体が反応する。

これが、CHAGEさんのコーラスがやっている、見えない仕事です。

CHAGEのコーラスが持つ "3つの特徴"

僕が長年CHAGE&ASKAを聴いてきて見えてきた、
CHAGEさんのコーラスの特徴を3つに整理しておきますね。

特徴① 「音色の温度感」がASKAさんと違う

ASKAさんの声は、

  • 太い

  • 深い

  • 情熱的

CHAGEさんの声は、

  • 明るい

  • 抜けが良い

  • 軽快

  • 柔らかい
    この音色の対比が、二人の声が重なった時の 奥行きの正体 です。

太陽と風のようなイメージ

 特徴② 「ハモリの音域選び」が独特

普通、ボーカルのハモリは "3度上" か "3度下" が定石です。
でも、CHAGEさんのコーラスは、必ずしもその定石に従っていない。

曲のフレーズによって、

- 完全5度上
- オクターブ
- 同音(ユニゾン)
- 主旋律と異なる別のラインを動く(ポリフォニー)

など、フレーズごとに最適な音を選んでいる んですよ。

▼ 一宮光輝ボーカルレッスン

体験レッスン | TrueHappieness


特徴③ 「タイミングの呼吸」がASKAさんと完璧に一致している

これがね、世界レベルで凄いところです。

二人で歌う時、子音の立ち上がり・母音の伸ばし・ブレスの位置が、
ほぼ完全に一致している。
これは、長年同じステージに立ち続けてきた、
二人だけが持っている "呼吸の同期" です。

この三つが、CHAGEさんのコーラスを
「ただのハモリ」では終わらない領域 に押し上げています。


"なぜ" を、もっと深く知りたい方へ

ここまでが、CHAGEさんのコーラスの "聴こえる魅力" の話。

でもね、本当に面白いのは、ここから先なんですよ。
CHAGEさんのコーラスは、声として何をやっているのか。
 その解剖学的・運動科学的な仕組みを、
ここから一緒に降りていきたいんです。

そして、その仕組みを知った皆さんが、自分の歌に活かせるように
 ─Lv.1〜Lv.6 の段階論に乗せて、実践エクササイズも置いておきました。

ここから先は、Tier 1(¥1,111)の有料パートになります。
CHAGE&ASKAが好きな方、ハモリを上手くなりたい方、自分の歌に "もう一段の深さ" を加えたい方には、絶対に読んで頂きたい内容です。

ここまでが、CHAGEさんのコーラスの "魅力" の話。


ここから先は、CHAGEさんが "声として何をしているのか" の話。

実際にあなたの歌へ応用する3段階エクササイズ

を、解剖学・運動科学・音響学の視点から解説します。


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