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一宮光輝が語る『CHAGE&ASKA』─ なぜ "SAY YES" は30年経っても胸に刺さるのか(ASKAの発声メソッドで解き明かす)

序章 ─SAY YES、30年の物語

歌ラボの一宮光輝です。

少し時を遡らせてください。

1991年7月24日、CHAGE&ASKAは27枚目のシングル「SAY YES」をリリースしました。フジテレビ系月9ドラマ『101回目のプロポーズ』の主題歌として書き下ろされたこの楽曲は、
発売後140万枚以上を売り上げ、最終的には約282万枚に達した。

それから30年以上。
2024年10月1日、CHAGE&ASKAの全楽曲がサブスクリプションサービスで一斉解禁されました。Apple Music、Spotify、YouTube Music ─新しい聴き手たちが、当時を知らない若い世代を含めて、SAY YESに改めて出会う時代が始まっています。

そして、改めて聴いてみる。

この楽曲、なぜ30年経っても、こんなに胸に刺さるんだろう。

これがね、僕がずっと書きたかったテーマなんです。

今日は、SAY YESという楽曲の謎を、一宮式で分析するASKAさんの発声という、これまであまり語られてこなかった角度から解き明かしていきます。読み終わる頃には、SAY YESを聴く耳が、おそらく一段変わっているはずです。



第1章 SAY YESという楽曲 ─時代を超える "声" の物語

1991年 ─国民的デュオになった年

SAY YESがリリースされた1991年は、
CHAGE&ASKAにとって特別な年でした。

1988年のアルバム『PRIDE』でオリコン1位を獲得し、1989年「WALK」収録のアルバムが大ヒット。その助走を経て、1991年に 「SAY YES」「太陽と埃の中で」という二大シングルを連続投入。
日本のポップス史に名を残す 黄金期の入り口に立った楽曲が、
このSAY YESだったわけです。

ASKAの声、CHAGEのコーラス

SAY YESは、ASKAさんが主旋律(リードボーカル)を、CHAGEさんがコーラスを担う、CHAGE&ASKAの "黄金パターン" で構築されています。

ASKAさんの声には、独特の質感があります。

「日本語が一番綺麗に聞こえる声」

これは僕が普段から、ASKAさんを評する時に使う表現です。
高音域でも透明感を失わず、子音は鋭く立ち上がり、母音は長く伸びる。
日本語という言語の美しさを、声で最大化するタイプの歌い手なんです。

そして、その声の特徴が、SAY YESという楽曲で
最も純粋に開花している ─これが、僕の見立てです。

サビが訪れる瞬間の "解放感"

SAY YESを聴いていて、誰もが息を呑むのが、
サビが訪れる瞬間だと思います。

楽曲はAメロで静かに語り出し、Bメロで感情が膨らみ、そして ─

愛には愛で 感じ合おうよ
硝子ケースに 並ばないように

(CHAGE and ASKA「SAY YES」より引用)

このサビの一行目で、ASKAさんの声が、
それまでとは別次元の解放感に到達します。
胸郭が一気に開き、鼻腔の奥が縦に響き、
子音と母音が交互に光を放つ
 ─そんな感じ。

聴き手の身体が、自然に呼吸を深くしてしまう。
これがね、SAY YESが30年経っても色褪せない、
「声の現象」の正体なんです。


第2章 ASKAさんの発声 ─僕が "縦軸の歌い手" と呼ぶ理由

SAY YESの分析に入る前に、ASKAさんという歌い手の声の特徴を、
もう少し言語化しておきます。

僕はASKAさんを、よく 「縦軸の歌い手」 と呼びます。
人間の声には、大きく分けて2つの方向性の共鳴があります。

```
横軸の共鳴 ─胸郭・口腔が中心
音色が "太く・横に広がる" タイプ
例:多くのロックボーカリスト

縦軸の共鳴 ─鼻腔・上咽頭・頭部が中心
音色が "透明・縦に伸びる" タイプ
例:ASKAさん
```

ASKAさんの声は、徹底的に 縦軸 に振られているんです。
鼻腔の奥に空気の柱が立ち上がり、上咽頭で響きが広がり、
頭部にまで振動が抜けていく。これが、あの 「澄んだ、しかし力強い」
 ASKAさんの声の物理的な正体です。

この縦軸が、SAY YESで完璧に機能している

SAY YESという楽曲は、実はASKAさんの縦軸発声を最大化するように設計されていると僕は感じています。

具体的には:

- 音域: ASKAさんの最も鳴る中高音域に楽曲のキーが置かれている
- メロディ: 急激な跳躍が少なく、滑らかな上昇下降 ─縦軸共鳴が崩れない
- 言葉: 母音の伸びが長く設計されている ─鼻腔共鳴が十分に展開できる
- テンポ: 比較的ゆったり ─一音ごとに共鳴を作り込む余裕がある

つまりSAY YESは、ASKAさんの声の "強み" を、
楽曲構造そのもので引き出す設計
になっている。

しかし、本当に不思議なのはここからです。
なぜASKAさんの声は「聴こえる」のか。
なぜCHAGEさんのコーラスが入ると景色が広がるのか。
そして、なぜ30年以上経った今でも、
私たちはSAY YESを聴くと胸が動くのか。
ここから先は、一宮式発声メソッドの視点で
その構造を解き明かしていきます。

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