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#088.演奏中に鼻から息が漏れる(鼻抜け)

2021年1月9日に開催致しました「トランペット何でも相談室・オンライン」という企画がありました。その時にオンライン上でお答えしきれなかったご質問の回答をブログにて回答しております。
前回の記事はこちらです。

そして、今回の質問はこちら。

先生(荻原のことです)はzoom講習会で「鼻から息はもれない」と仰っていましたが、もれてしまいます。
(原文から一部抜粋、修正させていただきました)


鼻から息が漏れる(鼻抜け)

楽器の演奏中に一時的に鼻から息が漏れるようになる方は稀ですが、いらっしゃいます。その原因の大枠として、やはり前回の質問(上に掲載したリンク先の記事)と同じで、体のことを考えすぎることであらゆる部分が関連性なくバラバラに働いてしまうのが原因かもしれません。特に鼻抜けは「力を使ってはならない」という根拠なき呪縛がそれを引き起こすことが多いです。

ではまず口の中の空気の流れについて確認してみましょう。

軟口蓋

少々くすぐったいかもしれませんが、舌先で上顎を触ってみてください。

前歯に近いほうの上顎は硬いですね。その部分は硬口蓋こうこうがいと呼ばれる部分です。舌先を奥へと這わせていくと、途中から柔らかくなるのがわかると思います。その部分から奥が軟口蓋なんこうがいと呼ばれる部分です。

では今度は鏡で口の中を覗いてみましょう。

上顎の奥を覗き込みながら、あくびをするか、あくびのマネをしてみてください(無理なら口で深呼吸をしてみましょう)。すると、いわゆる「のどちんこ」と呼ばれる部分(口蓋垂こうがいすい)とその周辺が上の奥の方へヒュっと動くのが見えるかと思います。その動いたのが軟口蓋です。軟口蓋はこのように動くことができるのです。

ではこの軟口蓋、動くことでどのような役割を担っているのでしょうか。

軟口蓋の働き

軟口蓋は口と鼻の奥(鼻腔)を遮るシャッターの存在です。

私たちは「鼻呼吸」をします。その際、鼻から口の奥を経由して空気の流れが生まれていますが、これは軟口蓋が開いているからできているのです。

そこでもうひとつ実験です。ツバを飲み込んでみましょう。ゴクっとした際、軟口蓋に力がかかって動いているのを感じられるでしょうか。これはツバ(水分)や食べ物を飲み込む際、鼻の中に逆流するのを防ぐために、この時軟口蓋が働いてフタをしているのです。

出典:https://ameblo.jp/easy-way-to-live/entry-12382443352.html

他にも様々な場面で軟口蓋は働いています。次にほっぺたを膨らませてみましょう。できればパンパンに膨らませてください。頬がふくらむためには口の中に空気が溜まって空気圧が高まっている必要があります。言い換えればこの状態は「空気の抜け道がない状態」です。ということは頬が膨らんでいる時、軟口蓋が働いて鼻に抜けないようになっているわけですね。

トランペットを演奏する際も「体内の空気圧」をコントロールすることで演奏が可能になっているわけですから、鼻から空気が抜けてしまえば理想的な演奏は非常に難しくなります。

演奏時(音を出している時)、通常は無意識に軟口蓋が働くのですが、例えば「力を使ってはいけない」とか、根拠なく脱力脱力と考えていると、体のあらゆる部分が動くことを意識的に禁止させてしまい、本来無意識に働いていた必要な部分が使われなくなることがあります。その中に軟口蓋が含まれることもあるわけです。

やはりこれも「フィジカル100%」の意識で演奏していることが最も大きな原因と言えます(前回記事参照)。

軟口蓋を意識する

鼻抜けが起きてしまった場合は一度「軟口蓋が働いている」実感を手に入れることがまず必要なので、一時的にこのような練習をしてみましょう。

いつも通りトランペットを構えて音を出す準備を完了させてください。

音の出だしはタンギングをしているはずなので、その音を出す直前、舌で空気の流れを遮断している状態のまま(舌の前方を上の前歯周辺にペタっとくっつけた状態のまま)お腹に力を入れて(空気は出ませんが)吹いてみようとしてください。すると体内(肺から口の中まで)の空気圧が高まって、先ほどの頬を膨らます状態になるか、それに近い状態になると思います。苦しさを感じる場合もあると思います。これらの状態は、空気が体外へ流れ出られないために起きたものですから、当然軟口蓋も働いていることになります。鼻抜けは起きていません。

この状態を確認したら、空気の流れを遮断していた舌を開放してください。音は出ても出なくても今は構いません。舌以外の部分はそのまま変化をさせない(緊張状態をキープする)ように心がけてください。

これはあくまでも軟口蓋の働きを楽器演奏時に確認するためのものであり、楽器の上達に必要な練習方法ではありません。軟口蓋のことを理解できたらもう行う必要はありません。

最初にも言いましたが、鼻抜けの原因の多くは「トランペットを吹くときに力を使ってはならない〜」という意識の呪縛によるものなので、今回解説した様々な方法による軟口蓋の存在と働きの理解、働きの体験によって解決しますが、もしもそれでも鼻から空気が抜けてしまう場合は体の不具合を疑う必要があるかもしれません。極めて稀ではありますが実際に管楽器を演奏する時だけそのような症状が出る病気が存在するので、口腔外科などで診察してもらうことをお勧めします。

ということで、今回は演奏時に鼻から空気が漏れる「鼻抜け」について解説しました。

それでは、また次回!

荻原明(おぎわらあきら)



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荻原明(おぎわらあきら):トランペット 荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。