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【非公開記録693】全国アニマルカラオケ大会 第1話ゴリラの雄たけび『最炫民族风』

熱気と興奮に包まれた「第1回 全国アニマルカラオケ大会」の特設ステージ。満員の客席にはライオン、ペンギン、カンガルーといった幅広い動物たちがひしめき合い、鳴き声や羽ばたきで凄まじいどよめきが渦巻いていた。

司会を務めるのは蝶ネクタイをキリリと締めたベテランフクロウ・ホズミだ。「さあ、お待たせいたしました! いよいよ開幕いたします、全国アニマルカラオケ大会!動物たちの魂の歌声が、今、大自然の夜空に響き渡る!」

会場中が割れんばかりの拍手に包まれる中、ホズミが最初の出場者を高らかに呼び上げた。

「記念すべきトップバッターはこの方です! 圧倒的な巨体と繊細なソウルを併せ持つ、ジャングルのスーパースター!ゴリラのエレミアネイサン!!

「ウホッ……!」

深い暗幕の舞台袖から、スポットライトを浴びて現れたのは、巨大なシルバーバック・ゴリラのエレミアネイサンだ。その目は野性の誇りと、ステージに立つ緊張感とで鋭く光っている。

客席からは「エレミアネイサン!」「がんばれネイサン!」と、熱狂的なメスのゴリラたちの黄色い声援(ウホ声)が飛んだ。

エレミアネイサンは無言でうなずくと、ステージ中央の巨大なマイクスタンドの前に仁王立ちした。

そして、胸をドンと力強く叩く。

ドンッ! ドンッ!

地響きのようなドラミングが会場の空気を震わせた瞬間、イントロのアップテンポな中華風EDMサウンドが鳴り響いた。

中国国民的デュオフェニックスレジェンド(凤凰传奇)の『最炫民族风』だ。

♪ 蒼茫的天涯是我的愛
♪ 绵绵的青山脚下花正开

エレミアネイサンの口から発せられたのは、その見た目からは想像もつかないほど澄み切った、そして力強いテノールの美声だった。豊かな声量はマイクを通し、会場の隅々まで心地よく響き渡る。

間奏に入ると、エレミアネイサンは激しいリズムに合わせて、巨体をリズミカルに揺らし始めた。

ゴリラ特有の重量感がありながらも、ステップは驚くほど軽やかだ。

♪ 让我用心把你留下来 留下来
♪ 悠悠的唱着最炫的民族风

サビの最高潮に達すると、エレミアネイサンはステージ狭しとステップを踏み、観客に向かって大きく両手を広げた。その表情は真剣そのものでありながら、どこかユーモラスで愛嬌に満ちている。

観客の動物たちも、その圧倒的なグルーヴ感に引き込まれていく。キリンのパクチンチンは首をリズミカルに縦に振り、モグラのマサフミは土の中からひょっこり顔を出して体を揺らし、上空を旋回する鷹のイシバシは鋭い鳴き声で合いの手を入れた。熊のクマンバチは「ハチミツより甘い歌声だぜ!」と豪快に笑いながら手拍子を打っている。

♪永远都唱着最炫的民族风
♪是整片天空最美的姿态

最後のエクスタシーに満ちたロングトーンを
エレミアネイサンは全身の力を振り絞って歌い上げた。

カーン!

高らかな終了のゴングが鳴り響く。息を荒くしながらも、エレミアネイサンは胸を張って深々と一礼した。静寂ののち、会場は爆発的な大歓声とスタンディングオベーションに包まれた。

素晴らしい! 初っぱなから最高潮の盛り上がりを見せてくれました、
エレミアネイサンの『最炫民族风』! 果たしてこの得点は……!?

ホズミが司会席で声を弾ませる中、エレミアネイサンは汗を拭いながら誇らしげに舞台袖へと引き返していく。

全国アニマルカラオケ大会、伝説の幕開けであった。

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