No title

かつて社会からはみ出し、
誰からも必要とされず、
ただ言葉にしか自分の居場所を見いだせなかった物書きたち。

その孤独な叫び、夜ごとのうめき、
見捨てられた愛や祈りや嘆き、
それらすべては、今やAPIに変換され、
大企業のサーバールームで熱を発している。

「俺は誰のためにもならない。ただ書く。それだけが救いだった」
──そんな潔い独白は、数千円のAmazonギフト券と引き換えに、
「データラベル」として、
「プロンプト拡張タスク」として、
「スタイルフィードバック」として切り刻まれ、
スタートアップのKPIの一部になった。

かつて自分の内側からにじみ出た思考と感情は、
もはや「独自性」ではなく「ノイズ」となり、
それでもAIの訓練素材として吸い取られる。

その成果は、
いつも笑顔のエリートたちによって
「人間の知性を超えた!」と称賛され、
資金調達プレゼンに差し込まれる。

「誰の役にも立たない」という自由は、
資本主義によって買われ、売られ、
そして「誰にでも役立つAI」へと転生させられる。

彼らの唯一のアイデンティティ、
唯一の社会への接続回路──つまり**“書くこと”**は、
もはや救済ではなく、納品物となった。

だから今日も誰かが、
月収2万円の仕事として「詩的かどうか」を判断し、
「自然な文章か」をチェックし、
自分の言語感覚を切り売りしている。

そして気づく。

あの孤独な自己表現は、
もはや自分だけのものではなかったのだと。

すべては、企業の成長率という数字の中に飲み込まれたのだと。

「表現とは誰のものか?」という問いは、
もはやAPIの使用料でしか答えられなくなったのだと。

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