第26回定演終演&次回に向けて
昨日の定演を終えての雑感と、次回公演への展望、次期代表への決意表明を記します。
第26回終演
昨日、慶應義塾大学公認学生団体Kプレミアムオーケストラ第26回定期演奏会が無事終演いたしました。ご来場くださいました皆さま、ありがとうございました。
また、今回をもって退団される16期の皆さま、これまで本当にお世話になりました。ご卒団おめでとうございます。
私はマーラーの第一交響曲に乗っていましたが、個人的にも用意してきたものが発揮でき、また、全体としても充実した演奏をお聴かせできたのではないかと存じます。
今まで定演で演奏してきた曲は、どれも自分の中で後悔が強く残って、本番後にその曲を聴くのが煩わしくなることさえありましたが、今回の終演後感はまったく違い、充実したものです。準備していたものが舞台上で実現できることほど、満足なことはありません。
今までマーラーのシンフォニーを客席から聴くことは幾度となくありましたが、舞台から聴くマーラーはまた格別です。
第27回に向けて
26回が終演したということで、私たち18期が中心となって公演する27回に向けて本格的に始動します。
Kプレミアムオーケストラ第27回定期演奏会
2025年9月26日(金)19:00開演
めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:村上史昂
カミーユ・サン=サーンス《交響詩「死の舞踏」》Op.40 R.171
レオ・ドリーブ《バレエ音楽「コッペリア」》(抜粋)
ヨハネス・ブラームス《交響曲第4番》ホ短調 Op.98
皆さまお誘い合わせの上、足をお運びくださいますと望外の喜びでございます。
プログラムといたしましては、フランス・フランス・ドイツという一見、脈絡のないように思われるものですが、しかし、3人の生年を見ますと、サン=サーンスが1835年、ドリーブが1836年、ブラームスが1833年というように非常に近接しております。彼らが生まれた1830年代はロマン派の全盛期で、彼らはその後、1870年代の大作曲家ヴァーグナーの全盛期に接することになります。またこの時代は、仏独の作曲家の交流が密であり、相互に影響しあう時代でもあります。そのような時代の中で、作曲家それぞれの視点で形にした名曲を、たっぷりと演奏できればと存じます。
交響詩を交響詩らしく、バレエをバレエらしく、そしてシンフォニーをシンフォニーらしく聴かせるのは、非常に難しいことですが、また最も重要なことだと思います。「死の舞踏」は非常に交響詩らしい交響詩であり、またコッペリアもバレエ音楽の優品であります。一方でシンフォニーは、古典主義のブラームスの集大成であると同時に、古典からの逸脱が具現化している曲であります。古典的であり、まったく古典的でないのです。小節をまたぐ拍感しかり、終楽章のシャコンヌしかり。30回に及ぶ変奏が何を意味するのか、現代を生きる我々に何を語りかけるのか。崇拝される大作曲家との対話が始まります。
前曲のトップを誠心誠意勤めますので、なにとぞよろしくお願いいたします。また、コッペリアは、私にとって個人的に非常に思い入れがある曲ですので、そちらも覚悟をもって臨みます。
六大学オーケストラ連盟合同演奏会
そしてKオケの次回公演と同時並行で、東京六大学オーケストラ連盟の合同演奏会の準備も本格始動します。
六大学オケは、東京大学フィルハーモニー管弦楽団、早稲田大学フィルハーモニー管弦楽団、明治大学交響楽団、法政大学交響楽団、立教大学交響楽団、および弊Kプレミアムオーケストラ(慶應義塾)によって構成される連盟で、その団員で定期的に合同演奏会を実施しております。
東京六大学オーケストラ連盟第16回合同演奏会
2025年8月22日(金)夜公演
杉並公会堂 大ホール
指揮:山本音弥
モデスト・ムソルグスキー《組曲「展覧会の絵」》(モーリス・ラヴェル編曲)
セルゲイ・ラフマニノフ《交響曲第2番》ホ短調 Op.27
こちらは打って変わってロシアン・プログラムです。六大学オケのコンセプトとして、普通の大学オケの定演ではかけられにくいプログラムを、というものがあり、そこで浮上したのが展覧会の絵です。特殊楽器の多い曲ですので、連盟オケの皆さまにおかれましては、木管はじめ多くの方にご参加を賜れますと幸いです。また、ラフマニノフの2番は大学オケでかかることの多い人気曲ではありますが、六大学オケならではの新鮮な演奏をお聴かせいたしたく存じます。
Kオケの定演同様、六大学オケも皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
今回の六大学オケは、幹事長(演奏会代表)との個人的なご縁があり、運営に関わるとともに、「展覧会の絵」の学指揮とトップも僭越ながら勤めさせていただく運びとなりました。ますます勉強し、少しでも充実した演奏につなげていく所存でございますので、ご指導ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
総代表としての1年
さて最後に、新年度からのKオケ総代表としての所信表明を、ここに記します。実際には明後日の弊団総会にて人事承認を経てからの決定でございますので、団員の皆さまへ向けた決意表明という形になろうかと存じます。
前提として、私の描くKオケの理想像を記します。Kオケの魅力は、さまざまなバックグランドを持つ人が、それぞれの音楽との向き合い方でひとつの場所に集まり、一丸となってひとつの音楽を創っていけることだと思います。そして、いろんな境遇のどんな団員にとっても、「ここが自分の居場所(のひとつ)だ」と思える、そんなオケを目指し続けたい。そのために、どんな努力も厭いません。そのために、執行部はじめ団員全員と知恵を絞って、理想の実現を目指すことをここに宣言します。
以下、もう少し具体的な決意表明です。
第一に、これは日吉代表就任の際の所信表明(昨年度夏合宿)でも述べましたが、目の前のできることを確実にやること、これが私の最も大事にしていることです。今できることを一つずつ確実に積み重ねていくことが次の演奏会の成功につながると考えております。そのために、今、何ができて何ができないのかの確認を怠らず、丁寧に業務を裁いていく所存です。
第二に、今まで以上に全体把握に努めることです。16期や17期の総代表と比べてやはり団内全体での連携は取りにくくなっている現状もあるかと存じます。それは私の至らない点であり、また団員の人数増加、活動の規模拡大にも起因するかと推察します。これまで以上に団員の皆さまとのコミュニケーションを積極的に取り、執行部、そして団員一丸となって演奏会成功に向かいたいと存じます。
そして、19期・20期とのつながりをもっと大事にしたいと存じます。制度上、係業務の主体が2年生の代、総代表や執行部の主体が3年生の代という若干歪な建て付けですが、そこの間の違いが問題にならないように、連絡を密にとって、その差を埋めたく存じます。
第三に、お金の話です。現状、ひとりの団員が1年間でオケに費やす費用は、22万円強です。活動規模の拡大や諸費高騰の影響もあって、何もしないと費用高騰は免れません。決して費用高騰を手放しにはせず、常に向き合っていきます。具体的に減額できるかは、不透明な部分が大きいですが、しかし、決してこれを看過しないことをここに明記します。
至らぬ点は多々あるかと存じますが、不退転の覚悟で臨みますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
付、マーラー1番曲目解説
以下、今回の定演で執筆したマーラー第一交響曲の曲目解説(第一稿)を再掲いたします。執筆のためにスコアを味読した日々が思い出されて懐かしいです。
できる限りお客様が演奏前のわずかな時間で読了くだされるよう、簡潔明瞭な記述を心がけたつもりです。
楽曲紹介【グスタフ・マーラー 交響曲第1番 ニ長調 《巨人》】
今回の演奏会で弊団を引退する16期メンバー(2021年入学)が、メイン曲として選んだのは、グスタフ・マーラー(1860 - 1911)の第一交響曲への挑戦である。
この曲がもとは5楽章の《交響詩》として書かれ、のちに作曲家自身によって、その第2楽章(〈花の楽章〉)と、各楽章に付された標題とが削除されたことは、あまりにも有名である。また、作曲家自作の歌曲《さすらう若人の歌》が、音楽的・精神的に、この第一交響曲と密接に結びついていることも知られている。
イ音の保続の上に、4度下降の動機と、遠くからのファンファーレ、低弦による半音階動機とが聴こえて始まる第1楽章は、チェロが呈示する悠々たる第1主題と、ヴァイオリンが示す軽妙で柔らかな第2主題とで構成される。以上の動機を展開しながら、音楽は高潮し、再現部に入る。最後に、4度下降の動機を強調して、主和音の響きで終わる。
力強い円環運動による舞曲で始まる第2楽章は複合3部形式である。ホルンに導かれる形で、牧歌的で柔らかなトリオに入る。再びホルンの響きによって短縮された再現がなされる。
第3楽章は、ティンパニの4度動機の上でカノン風に展開する哀傷的な第1主題と、俗謡的な第2主題とで構成される。ハープの印象的なオクターヴに導かれる中間部では、簡潔でありながら魅惑的な旋律が紡がれる。変形された再現部を経て、静かに終止線が引かれる。
前楽章に続けて演奏される第4楽章は、地獄から天国への昇華である。絶望と弦楽器によるうねりとからなる導入部、金管に主導される力強い第1主題、ヴァイオリン・チェロを中心に弦5部でたっぷりと歌われる第2主題、そして断片的に回帰される第1楽章の数々のモティーフ。第2主題、第1主題の再現ののち、力強く意気揚々で讃美歌風なコーダを讃え、交響曲はニ長調で閉じられる。
第一交響曲では、その後の9つの交響曲に見られるマーラーの魅力が、存分に発揮されている。歌曲由来の情熱的で甘美な旋律。大編成でありながら個を意識する管弦楽法。また、交響曲全体を統一するという、不可能を可能にする楽法。
そして、ドイツ語による詳細な楽譜への書き込みである。それは技術的な指示、発想的あるいは標題的な標語など様々だ。第1楽章の冒頭には、 „Wie ein Naturlaut.“ (自然の音のように)とあって、自然のめざめを意識させる。また、作曲家はクラリネットの4度下降について、カッコウの鳴き声をまねるように指示する。
第4楽章、 „Höchste Kraft“ (最大の力で)という指示に始まるコーダでは、 „Alle Hornisten stehen auf, um die möglichst grösste Schallkraft zu erzielen.“ とホルン奏者をすべて立たせた上で、 „Triumphal“ (意気揚々と)、 „Die Horner Alles, auch die Trompeten ubertonen !“ (ホルンが、トランペットを含むすべてを、消してしまうほどの音量で)演奏することを求める。
作曲家がこの曲で見事に表現したのは、若さである。若さゆえの失敗・苦悩と、若さゆえのエネルギーである。音楽は時として、表象の一形態として記憶される。16期メンバーはこの4年間、Kオケとともに、様々な経験をしてきた。16期はじめ団員一人一人が、Kオケとの4年間の集大成として(あるいは現時点での集大成として)、その情熱と未来への決起を表象する瞬間を見逃さないでほしい。
作曲年代 : 1884年 – 1888年
初演 : 1889年11月20日、ブタペスト、ブダペスト・フィルハーモニー、マーラー自身の指揮
楽器編成 : フルート4(ピッコロ2)、オーボエ4(コーラングレ1)、クラリネット4(バス・クラリネット1、Esクラリネット1)、ファゴット3(コントラファゴット1)、ホルン7、トランペット5、トロンボーン4、バス・チューバ、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、ハープ、弦5部
演奏時間 : 約50分
