【前編】「ママ起業」って実際どうなの?特徴や良さ・難しさを紹介します。
こんにちは。ビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)」運営事務局です。
子育てや家庭と両立しながら、自分らしい働き方を見つけたい——そんな想いから「起業」という選択肢を選ぶママたちが増えています。もちろん保育園や習い事の送迎、急な発熱、家事などに追われる限られた時間の中で、家庭と仕事のバランスを取りながら挑戦するのは困難です。
一方で起業に成功したり、ビジネスコンテストで高く評価されるママ起業家がいるのも、また事実。TSGでも毎年子育てしながら起業を目指すママの参加が見られます。
今回は、近年増えている「ママ起業」の実態、そのメリットやその難しさについて解説したいと思います!
ママ起業は普通の起業と違う?
日本政策金融公庫・総合研究所が実施した「2022 年度新規開業実態調査」によると、22年度の新規開業者に占める女性の割合は24.5%となり、1991年度の調査開始依頼最高を記録しました(参照:女性開業者の割合は過去最高 ~「2022 年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要~)。
このように最近では女性の起業も増えてきていますが、その中でも「ママ」の起業は通常の起業とは違った傾向があります。少し前の情報ですが、2017年に専修大学の鹿住倫世教授が発表した論文では、ママ起業の特徴が次のように挙げられています。
・自分のライフステージに合わせ、生活とのバランスの取れた働き方の一つとして起業を選択
・起業の目的は、生活費を稼ぐことから、社会貢献、自己実現、趣味を生かすことなど、さまざま。
・「成長」は必ずしも目標ではない。ライフステージに合わせて、時には中断、 再開も。
・会社等への就職経験があっても、起業やマネジメントの経験はない。ビジネスに必要な基礎知識(会計、営業、マーケティングなど)が不足している人が多い。
・家庭責任と仕事との両立を図りつつ自身の経験や趣味・特技を生かして副収入を得ることを目的としている者が多い
ポイントとして「ライフステージに合わせたキャリアを望み起業を選んだこと」「生活や家庭との両立を図ろうとしていること」が挙げられそうです。必ずしも”成功”を目指して起業している訳ではなく、柔軟に事業の中断や再開も視野に入れるという点は、一般的に想起される起業家のイメージとは少し違って見えますね。
またこの論文は新型コロナウィルスの流行以前に出されたものですが、コロナ禍をきっかけに在宅勤務やテレワークが広く普及したことは、こうした特徴の起業を志すママたちにとって追い風と言えるでしょう。
ママが起業するメリットと強み
前項でも少し触れられていますが、ママ本人にとって就職や専業主婦ではなく起業することにはどのようなメリットが考えられるでしょうか?
時間を自由に使える
ママ起業する大きな魅力の一つは、勤務時間を自由に決められる点です。
子どもの送迎や急な発熱、予防接種や面談など、育児では予定通りにいかないことがよくあります。数年前から“保育園の洗礼”(子どもが保育園に入ると急な体調不良や病気がかかりやすくなること)という言葉が出てくるようになった通り、子どもを預けていたとしても自分の勤務時間を思い通りに出来るとは限りません。『会社に迷惑がかかってしまう』『休みがちになって評価に響かないか心配』と思うママがいるのも不思議ではないでしょう。
一方自身で起業すれば、スケジュール変更にも柔軟に対応できます。例えば、子どもが保育園にいる間の日中だけ働く、子どもが寝静まった後の夜に集中して作業するなど、家庭のペースに合わせて仕事のスタイルを築くことが出来るのは自分のビジネスならではのメリットと言えます。
ライフスタイルに合った働き方ができる
日々のタイムスケジュールより少し大きな視点で考えるとライフスタイル、自宅の都合や仕事の進め方といった部分でも柔軟性を持たせることが出来ます。
会社勤めだと朝に家事→子どもを送迎→日中に仕事→夜に迎え&家事育児、、、といったルーティーンになりがちですが、自宅で出来る起業を選んだ場合は子どもを見ながらの勤務も理論上は可能です。また休みの日も自分で決められるので、どこも混みがちなGWなどの期間をずらして家族で旅行に出かけるということも出来ます。誰かに決められた働き方ではなく、自分や家族にとって最適なスタイルを選べるのもメリットの一つでしょう。
自分のスキルや趣味を活かして働ける
「ママ起業の特徴」でも触れたように、自身の趣味や特技を活かしたビジネスで始められるのはママ起業の特色であり、メリットの一つです。
何も知識がない場合、例えばプログラミングの未経験者がこの領域で独立しようとする場合、場合によっては何十万円にものぼるスクールに通ったり、あるいは独立の前に就業して経験を積む必要があります。いずれにしてもスキルや経験が求められるのは言うまでもありません。
一方既に持っている特技や趣味をそのまま仕事にすることは、ゼロから知識や経験を積むよりも短時間かつ低コストで出来ます。以前からその業界を知っている分ならではの特徴や人脈に関しても有利に働くでしょう。
自己実現が得られる
育児に励む日々はかけがえのないものですが、一方で人や社会との繋がりが薄くなる孤独な側面もあります。起業はそんな「社会と繋がりを持ちたい」というママたちの願いを叶えるものとも言えます。
先述したように以前から持っていたスキルや経験を活かして働くことは、出産や子育てにより一時的に失われていた繋がりの回復になります。また出産や子育てを通じて得た”気づき”や知識・経験が、同じように子育てに奮闘するママたちの役に立つビジネスになるかも知れず、大きなやりがいになることでしょう。
社会との繋がりを持てた、誰かの役に立てたという実感をもたらす起業は、まさに自己実現の一つと言うことが出来ます。
子どもに働く姿を見せられる
在宅での起業なら子どもを見ながら仕事が出来る、と書きましたが、このメリットは単に子育てとの両立がしやすいことだけではありません。自分の母親が前向きに仕事をしている姿や、一生懸命何かに挑戦している姿を目の前で見られることは、子どもにとってとても大きな刺激になります。
子ども目に映る“働く”という活動は必ずしもポジティブではありません。『大人になったら我慢して働かなきゃいけない』『仕事は辛い、大変なもの』などのイメージを持つ子も少なくないでしょう。
自分の母親という最も身近な存在が「好きを仕事にしている」「自由な働き方が出来る」ことを示してくれる。子どもが持つ仕事への価値観に大きく影響する、とても大きな財産になることでしょう。
ママ起業の難しさ
しかし勿論、良いことばかりではありません。ママ起業ならではの難しさや課題についても紹介しましょう。
子どもの都合で想定通りに動けない
会社勤めよりは融通が効きやすくなりますが、それでも先ほど触れた“保育園の洗礼”に代表される子どもの急用が無い訳ではありません。
子どもの急な体調不良や保育園からの呼び出しが、例えば仕事の納期直前に発生する可能性もあります。その他にも業務を中断せざるを得ない状況や、オンライン会議中の子どもの泣き声など、予期せぬ出来事によってスケジュールや計画が頻繁に狂うことがあります。
こういったトラブルに対応するには常にゆとりを持ったスケジューリングを行うことが大切ですが、やはり重要なのは家族の理解と協力です。パパがいる間はなるべく子どもを見てもらう、どうしても都合が難しい場合は一時的に両親の所へ身を寄せるなど、事前にご家族と話し合いを行い決めておくのが良いでしょう。
仕事と育児の境界が曖昧になりがち
ママ起業のメリットとして、ライフスタイルや時間に合わせた柔軟な働き方が出来ることに触れましたが、これは諸刃の剣でもあります。柔軟すぎると仕事と家庭の区別をつけるのが難しくなるのです。
例えば子どもの世話をしながら資料を作る、夕食の支度中にメールを確認するなどといった状況になりやすく、メリハリが付けられないため集中が途切れがちです。集中出来なければ仕事のパフォーマンス低下にも繋がるだけでなく、慢性的な疲労にも陥りやすくなり、結果子育てとの両立も難しくなります。
対策としては、例えば夕方5時以降は緊急時を除き一切仕事をしないなど、仕事する時間を厳密に決めればメリハリをつけやすくなるでしょう。スマホ一台で仕事が出来る現代だからこそ、あえてスマホを覗かない時間を設けることも必要です。
いかがでしたでしょうか。今回は「ママ起業」の実態、メリットやその難しさについて解説しました。「そうそう!」と共感いただける方もいらっしゃったのではないかと思います。一方で「そうなんだ!」や「確かに!」とご自身の中でピンと来て、挑戦のキッカケの後押しになれたら嬉しいです。
さて次回は、実際にTSG出身のママ起業家が、現在どんなチャレンジをされているのかご紹介します。お楽しみに!
