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成長してるはずなのに、ちょっと寂しくなった日

今日は別に特別な出来事があったわけじゃない。

仕事も、
生活も、
子育ても、
大きな問題はなかった。

むしろ、
順調にできている感覚はあった。

だからこそ、
ふと、少しだけ
胸の奥がひゅっとした。


仕事でも大きな失敗がなく、1日を終えることが
できるようになっていた。

前ならどうしようかと迷っていたことを、
迷わず決められた。

前なら不安に押しつぶされそうな場面でも、
落ち着いて対処できた。

「ああ、俺も成長してるな」
そう思った。

たぶん、それは事実だ。


でも同時に、
もう一つのことにも気づいてしまった。

前なら、
上司や同期、友人の誰かに相談していたかもしれない。
前なら、
悩みながら時間をかけて一歩一歩進んでいたかもしれない。

今は、
ひとりで片づけて、
ひとりで終わらせた。

そのスムーズさが、
少しだけ寂しかった。


帰り道、
ふと昔のことを思い出した。

20代の頃は、
今より不器用で、
今より時間がかかって、
今よりよく悩み立ち止まっていた。

でもその分、
誰かと一緒に
悩んだり、笑ったりしていた気がする。

今は、
ちゃんとできるようになった。

でも、
一緒にやる必要はなくなった。


その瞬間、
はっきりとした後悔があったわけじゃない。

「あの頃に戻りたい」と
強く思ったわけでもない。

ただ、
何となく分かった。

ああ、あの頃の感じは、
もう戻らないんだな。


成長するって、
何かを手に入れることだと思っていた。

できることが増えて、
迷いが減って、
強くなることだと思っていた。

でも、
その裏で
置いてきたものも、
ちゃんとあった。


寂しくなったからといって、
間違っていたわけじゃない。

あのときの自分を
否定したいわけでもない。

ただ、
成長の途中には、
「失くしたことに後から気づく瞬間」
があるだけだ。


それに気づいた今日は、
少しだけ
歩くスピードを落とした。

前ほど立ち止まらなくなった自分を、
責めるでもなく、
誇るでもなく。

「ああ、ここまで来たんだな」と
静かに思った。


成長してるはずなのに、
ちょっと寂しくなった日。

それは、
前に進めていない証拠じゃない。

ちゃんと進んできたからこそ、
見える景色
なんだと思う。

今夜は、
その寂しさと一緒に、
大切に過ごしたい。

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T-STYLE|地方在住|30代パパ|人生奮闘記 この作品を応援してくださる方へ。いただいたチップは、次の記事づくりの活動資金として大切に使わせていただきます。応援が力になります。