日本の大学は「多すぎて弱い」――ナショナルセンターを含めた国立大学“運営法人統合”という現実解
「大学を減らせ」ではない。「束ねろ」という話だ
日本の大学は諸外国の研究大学と比べると規模が小さく散在している。
ゆえに統廃合が議論される。が、ほぼ進まない。
よくある反論がこれだ。
・地方の大学がなくなる
・キャンパスが消える
・地域が衰退する
全部、的外れである。
提案したいのは
「キャンパスを閉じる」ことでも
「地方を切り捨てる」ことでもない。
キャンパスはそのまま。
学部もそのまま。
ただし、運営法人だけを統合する。
これだけで、日本の大学の世界ランキングは劇的に変わる。
世界ランキングは「大学の数」を評価していない
THE、QS、ARWU、CWUR。
どの世界大学ランキングも、見ているのはほぼ同じだ。
論文数
被引用数
研究費
教員数
国際共同研究
ノーベル賞等の実績
評価単位は「University(法人)」である。
キャンパスが
札幌にあろうが、仙台にあろうが、東京にあろうが、熊本にあろうが、
同一法人なら全部足し算される。
つまり――
日本は「研究力が弱い」のではない。
研究力をバラバラに申告しているだけだ。
実は「運営法人統合」は制度的に可能
これは空想ではない。
国立大学法人は、法律上「統合可能」
実際名古屋と岐阜が同一法人となり、北海道の国立大も法人統合している。
キャンパス廃止や学部削減は必須条件ではない


つまり、
大学名・法人名をまとめるだけで、
世界ランキング上は“巨大研究大学”が誕生しうる
それで何の意味があるの?と思うかもしれないが、世界の大学選びは、偏差値ではなく、世界大学ランキングだ。
いわゆる先進国の永住権獲得も、世界ランキングトップ100卒業している人は優遇などが普通にある。
ここで決定打になるのが「ナショナルセンター(NC)」だ
大学だけを束ねても、トップ30〜50止まり。
ランキングを一段跳ねさせる切り札がある。
それが
ナショナルセンター(NC)群である。
主なNC
国立がん研究センター
国立循環器病研究センター
国立精神・神経医療研究センター
国立国際医療研究センター
国立成育医療研究センター
国立長寿医療研究センター
(+ 国立感染症研究所)
ここには何があるか。
Lancet / NEJM / JAMA 級の論文
被引用数が桁違い
RCT・大規模コホート
国際共同研究のハブ
ランキング指標に最も“効く”資産が、ほぼすべて揃っている。
大学 × ナショセン統合で何が起きるか
仮に、次のような形を想像してほしい。
例:関東国立大学法人+NC
東京大学
東京科学大学(旧・東工大+医科歯科)
筑波大学
千葉大学
横浜国立大学
+ 全ナショナルセンター
キャンパスはそのまま。
学部もそのまま。
法人と業績集計だけを統合する。
結果(保守的推定)
世界ランキング 3〜5位
ほぼ
Harvard+Johns Hopkins+NIH を一法人にした規模になる。
地方も同じことができる
北海道+東北エリア → 世界30〜40位
近畿エリア → 世界10〜15位
九州エリア → 世界50〜70位
結果として、
日本は世界トップ100に5〜6校を同時に送り込める
これは「夢」ではない。
数字上、かなり現実的だ。
それでも、なぜやらないのか?
理由はシンプルで、学問ではない。
① 省庁の壁
国立大学:文科省
ナショセン:厚労省
縄張りが違う。
② 人事ポストが減る
学長
理事
センター長
事務局長・部長・課長(文科省や厚労省のローテ)
統合=椅子が減る。
③ 成功すると「責任」が生まれる
世界トップ10に入ったら、
「成果を出せ」と言われる。
日本の官僚制は
成功して責任を負うより、
小さく失敗しない方を選ぶ
誤解してはいけないこと
これは
地方大学を潰す話でも
教育を切り捨てる話でも
エリート主義の話でもない
むしろ逆だ。
地方の教育・医療を守るために、
研究とブランドを集中させる話
結論:できないのではない。やらないだけだ
キャンパスは残せる
地方も守れる
世界ランキングは上がる
医学・公衆衛生・研究力は跳ねる
それでもやらない理由は、
構造が変わりすぎるから
ただ、それだけだ。
人口減少と財政制約が進めば、
いずれ避けて通れない議論になる。
その時、
「突然の改革」ではなく
「準備された統合案」があるかどうかで、
日本の大学の未来は決まる。
