エアコンで国論が二分するフランス:欧州を調べて改めて感じた「日本は断熱ファーストを目指すべき」という話




今年の欧州では熱波のニュースが相次いでいます。

イギリスでは「新築住宅に冷房設備を義務化すべきではないか」という議論が起こり、フランスでは「エアコンは環境に悪い」という従来の価値観が揺らぎ始めています。

一方で、スペインやイタリアでは「暑いのだからエアコンを使うのは当然」という実用的な考え方が主流です。

欧州各国の状況を調べていて、私は一つの結論にたどり着きました。

日本が目指すべきなのは「エアコンファースト」ではなく、「断熱ファースト」ではないか。


欧州は「エアコンを使うか」ではなく、「住宅性能をどう高めるか」を議論している

イギリスは昔、エアコンがほとんど不要な国でした。

しかし近年は30〜40℃近い熱波が発生し、

  • 新築住宅

  • 病院

  • 学校

への冷房整備が議論されています。

フランスでも、これまで強かった

「エアコンは環境に悪い」

という考え方が変わり始めています。

一方、スペインやイタリアでは

「暑いんだから使えばいい」

という実用主義です。


しかし、どの国にも共通していることがあります。

それは、住宅性能を高めることを非常に重視していることです。


北欧・ドイツが参考になる

私が特に参考になると思ったのは、

北欧やドイツです。

彼らはまず、

  • 高断熱

  • 高気密

  • トリプルガラス

  • 外付けブラインド

  • 日射遮蔽

  • 熱交換換気

を整えます。

つまり、

家そのものを魔法瓶にする。

そして、それでも暑ければヒートポンプ(エアコン)を使います。

順番が逆なのです。

日本では

「暑い」

「大きなエアコン」

となりがちですが、北欧では

「まず暑くならない家を作る」

という発想です。


日本はまだ住宅性能に改善の余地がある

日本は

  • 夏は猛暑

  • 湿度が高い

  • 冬は寒い地域も多い

という世界でも厳しい気候です。

それにもかかわらず、昭和期に建てられた住宅を中心に、夏は暑く、冬は寒い家が数多く残っています。

その結果、エアコンを強力に動かし続ける必要があります。

これは

  • 電気代

  • 快適性

  • 健康

  • CO₂排出

のどれを考えても効率が良いとは言えません。

まずやるべきは断熱です。

断熱をすれば、必要なエアコンや電気も減ります。

必要な電気が減れば、日本の輸入も減り、円安のブレーキにもなります。CO2も減るでしょう。


岩手県紫波町・オガールは「断熱ファースト」を実践している

紫波町・オガールプロジェクトでは、公共施設や民間施設、そして近隣の住宅において

高断熱・高気密を重視した建築

が採用されています。

https://stg.img.japandx.co.jp/cmsjapandx/shiwa-town/material/files/group/11/shiwa_ecohouse.pdf


これは単なる環境対策ではありません。

  • 光熱費を抑える

  • 利用者の快適性を高める

  • 長期的な維持管理費を減らす

  • 地域産材を活用する

など、経済性まで考えたまちづくりになっています。

つまり、

「断熱はコストではなく投資」

という考え方です。

欧州で見られる住宅思想と、オガールの考え方には共通点を感じます。


「断熱かエアコンか」という議論ではない

SNSでは、

「エアコンばかり推進され、断熱が軽視されている」

という意見を見かけます。

中には、

「経済産業省がエアコンを売るために断熱を阻害している」

という主張をする方もいます。

私はそこまで断定できる証拠は見たことがありません。

そのような意図的な政策誘導を示す公開資料があるとは確認できていません。

一方で、

住宅政策は

  • 国土交通省:どういう規制?

  • 経済産業省:エアコンなど売るぜ!

  • 環境省:エコ!

などに分かれており、

設備導入への支援が目立つ一方で、住宅性能そのものへの関心が十分に共有されてこなかった、という批判には耳を傾ける価値があると思います。

数年前に日本じゅうの公立小中高校にエアコンが付きましたが、それよりも先に断熱をしっかりやるべきだったのではないでしょうか。

火がついているやかんに冷たい水を入れてもなかなか冷たくなりません。

まずやるべきは火を消すことです。


医療者として感じること

医療者として、

高齢者に

「エアコンを使ってください」

と伝えることは重要です。

しかし、もっと重要なのは、エアコンがなくても極端に暑くならない家を増やすこと ではないでしょうか。

高断熱住宅は、夏だけではありません。

冬には

  • ヒートショック予防

  • 高血圧の改善

  • 呼吸器疾患の軽減

なども期待されています。

つまり、住宅性能そのものが健康政策なのです。


日本が目指すべき「断熱ファースト」

私は、日本が目指すべき順番は、

①断熱

②日射遮蔽(庇・外付けブラインド・植栽など)

③自然換気

④必要時のみ高効率エアコン

だと思います。

エアコンは必要です。

猛暑では命を守るための医療機器と言ってもいいでしょう。

しかし、最初からエアコン頼みではなく、

住宅そのものを暑さ・寒さに強くする。

この発想が、これからの日本には必要なのではないでしょうか。



#断熱 #高断熱住宅 #高気密住宅 #オガール #紫波町 #住宅性能 #エアコン #熱中症 #ヒートショック #北欧住宅 #ドイツ住宅 #パッシブハウス #ヒートポンプ #省エネ #住宅政策 #脱炭素 #まちづくり #地方創生 #健康住宅  


いいなと思ったら応援しよう!