Jump 歌詞と対訳
楽曲について
Jump / written by Michael Anthony, David Lee Roth, Alex Van Halen & Eddie Van Halen
天才ギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンを擁し1977年にデビューした米ハード・ロック・バンド、ヴァン・ヘイレン。またたく間にトップ・バンドにのし上がったものの、ヒット曲に関しては「You Really Got Me(キンクス)」や「Pretty Woman(ロイ・オービソン)」などカヴァー曲ばかりで、自作のヒットが無いのが彼らの悩みでした。
そんな彼らが満を持して1983年に発表した通算6作目のアルバム「1984」。そのリード・シングルとして発表されたのがこの曲です。エディの重厚なギター・リフを封印しシンセサイザーを大胆に用いたこの曲は、彼らにとって初の自作曲によるヒットになっただけでなく、Billboard Hot 100 でも見事 No.1 を獲得し、以降彼らの代表曲として知られています。
作者はバンドメンバー全員がクレジットされていますが、作詞に関してはフロント・マンのデイヴィッド・リー・ロスが担当したようです。
曲を聴く前にイメージしたいこと
行き詰まりを感じているのかい?それは自分をステップアップさせるチャンスだ。今こそ思い切って大きくジャンプしよう!という終始ポジティブなメッセージが、印象的なシンセサイザーの音色と共に展開していきます。サビの Might as well ~ は「~したほうがマシ」という慣用表現ですが、それだと少々後ろ向きな印象なので、和訳にあたっては多少前向きな言葉に変換しています。
英語版ウィキペディアによると、この曲はヨーロッパのサッカー・チームや米バスケNBA、アイスホッケーNHL、MLBシカゴ・カブスなどでテーマ曲として用いられた実績のあるスポーツ・アンセムなんだそうです。なので筆者はスタジアムいっぱいの観客が試合中・試合後に熱唱している姿をイメージして翻訳しました。
この曲はシンセサイザーを全面に出そうとするエディとギターサウンドにこだわるデイヴとの間に確執を生んだ問題作、といったエピソードをよく目にしますが、ではデイヴがこの曲を嫌いだったのかと言えば全くそうは思えません。前向きで元気の出る歌詞、シンプルな演出のミュージック・ビデオにおける軽やかな跳躍、楽しそうな表情を見ると、エディよりもデイヴのほうがこの曲を楽しんでいる印象です。リリース翌年、バンドを脱退しソロ・アーティストに転じたのは、自らが書いて歌うこの曲に背中を押されたデイヴのポジティブな決断だったのではないかと想像せずにいられません……それではどうぞ!
歌詞と対訳
I get up
俺は立ち上がる
And nothing gets me DOWN
誰にも 負けるもんか
You got it tough
君は苦境に立っている
I've seen the toughest AROUND
まさに 絶体絶命ってとこかな
And I know
わかるんだ
Baby, just how you FEEL
君が今 どういう気持ちなのか
You got to roll with the punches
どんな困難も切り抜けてきたんだろう
To get to what's REAL
勝利を手にするために
Oh, can't you see me standing here?
立ち尽くす この俺の姿を見ろ
I got my back against the record MACHINE
記録を破れなくて 追い詰められてるだろう
I ain't the worst that you've SEEN
でもそんなの 俺だけじゃないよね
Oh, can't you see what I MEAN?
何が言いたいか わかるだろ?
Might as well jump
跳ぶしかない
Might as well jump
思い切って 跳ぶんだ!
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプ!
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプさ
Hello, hey you, who said that?
なあ そんな嫌味、誰に言われた?
Baby, how you BEEN?
君は それにどう応えるんだ?
You say you don't know
「わからない」? そりゃそうさ
You won't know until you BEGIN
やってみなきゃ わかるもんか
Oh, can't you see me standing here?
立ち尽くす この俺の姿を見ろ
I got my back against the record MACHINE
自分を超えられなくて 追い詰められてるだろう
I ain't the worst that you've SEEN
でもそんなの 俺だけじゃないよね
Oh, can't you see what I MEAN?
何が言いたいか わかるだろ?
Might as well jump
跳んでみよう
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプ!
Might as well jump
思い切って 跳ぶんだ!
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプさ
Might as well jump
跳んでみよう
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプ!
Get it and jump
さあ 跳んでみよう!
Go ahead and jump
せーの、で ジャンプさ
I've seen the toughest around……多くの和訳記事では「君は苦境に立っているけど、俺は(他の)最悪の状況を見てきたから君の気持ちは判る」といった文脈で訳されていますが、拙稿では「俺」が見ているのは眼の前にいるこの you であると解釈しました。
roll with the punches……パンチをかわす、転じて「苦難に耐え忍び、うまくやる」という意味の慣用句。続く to get to what's real は直訳すると「真実は何かを得るために」ですが、筆者はこの曲がスポーツ・アンセムであることを意識して意訳しました。
back against the record machine……back against the wall で「壁に背をつけている=背水の陣、絶体絶命」という意味の慣用句。その展開形として the record machine を用いるのは日々レコーディング機材=曲作りや締め切りに追われるミュージシャンならではの発想だ、というのが定説ですが、筆者はこの record をアスリートならではの「記録」と解釈して意訳してみました。
I ain't the worst that you've seen……直訳すると「僕は君が目にした最悪の人物というわけではない」、転じて「もっと酷い状況の人はたくさんいる」ということを伝えたいんだと思います。このような捻った表現にしているのは、MACHINE - SEEN - MEAN というライミングを優先させた結果だと思われます。
作者デイヴ・リー・ロス曰く、この曲は自身が師事した格闘家ベニー・ユキーデに捧げた曲なのだとか。ベニー本人も Instagram で言及しているので信憑性は高いです。映画「スパルタンX」でのジャッキー・チェンとの死闘に熱狂した筆者世代にとっては、実に胸アツなエピソード!
