What a Wonderful World 歌詞と対訳
楽曲について
What a Wonderful World / written by Bob Thiele, George David Weiss
ジャズ・トランペッター兼ヴォーカリストにして20世紀を代表する音楽家の一人、ルイ・アームストロング。彼が歌唱し1968年にシングルとして発表した楽曲で、晩年の代表的録音の一つです。
アメリカでは当初大きなヒットには至りませんでしたが、イギリスでシングルチャート1位を記録。その後1987年公開のアメリカ映画「グッド・モーニング・ベトナム」の劇中に使用されたことで再注目され本国でリバイバル・ヒット。さらにホンダ・シビックなど数々のCMに起用されたことで日本のお茶の間にも知られることとなり、以降世界中でポップスのスタンダードとして定着しています。
作者はエルヴィス・プレスリーの「好きにならずにいられない(Can't Help Falling in Love)」等を手掛けたジョージ・デヴィッド・ワイスと ABCレコードのプロデューサー、ボブ・シールの連名。ですがボブに関しては1988年まではジョージ・ダグラス(George Douglas)というペンネームでクレジットされていました。推測ですが当時ボブがABCの上層部とソリが合わず秘密裏に制作したため、という事情があるようです。
曲を聴く前にイメージしたいこと
有名な曲なのでわざわざ解説するまでもないのですが、新緑の木々にバラが咲き誇る描写からちょうど5月くらいのイメージで翻訳しました。緑、赤、青、白と日常生活を彩る様々な色に触れ、嗚呼素晴らしき哉この世界と感嘆する様子を描いています。
songwriting 的な特筆は何といってもそのタイトル。「W・W・W」のアリタレイション(頭韻)は、楽曲のタイトルとしては人類史上最高傑作なんじゃないでしょうか。シンプルな言葉選びと王道ライミング+アリタレイションの組み合わせは、一字一句どの言葉も差し引いたり付け加えたりできない完璧さで songwriting のお手本ここにあり、と言えます。
問題はこの楽曲が作られた頃のアメリカは全くワンダフルでは無かったこと。ベトナム戦争の泥沼化、公民権運動の挫折 etc. 憎しみが憎しみを呼ぶ負の連鎖に人々は疲弊。そんな時期だからこそ誕生した楽曲といえるかもしれません。しかしリリース後60年近く経った今だからこそ、僕たちはこの楽曲を高らかに歌い、混沌が広がり分断が進むこの世界の潮流に抗っていくべきではないでしょうか……それではどうぞ!
歌詞と対訳
I see trees of green, red roses TOO
まばゆい新緑の木々 赤いバラの花々
I see them bloom for me and YOU
君と僕のために 咲いているんだね
And I think to myself
そして僕は想うんだ
What a Wonderful World
なんて素晴らしい世界なんだろう
I see skies of blue and clouds of WHITE
遥かなる青い空 幾つもの白い雲
The bright blessed days, the dark sacred NIGHTS
輝ける祝福の日々 厳かで神聖なる夜
And I think to myself
そして僕は想うんだ
What a Wonderful World
なんて素晴らしい世界なんだろう
The colors of the rainbow, so pretty in the SKY
鮮やかな虹色の旗が 空を美しく彩り
Are also on the faces of people going BY
行き交う人々の 表情にも映り込む
I see friends shaking hands, saying, "How do you DO?"
「ご機嫌いかが」と握手する 友人同士は
They're really saying, "I love YOU"
「愛しているよ」と 心の中で伝え合う
I hear babies cry, I watch them GROW
ほら、赤ちゃんが泣いているよ 成長を見守ろう
They'll learn much more than I'll ever KNOW
彼らは 僕らよりもずっと多くを学ぶのだから
And I think to myself
そして僕は想うんだ
What a Wonderful World
なんて素晴らしい世界なんだろう
Yes, I think to myself
そう、僕は想う
What a Wonderful World
なんて素晴らしい世界なんだろう
I see skies of blue……数を数えられない sky が複数形になっているのは、意味を強調する強意複数(「Just a Song Before I Go」の項もご参照あれ)。sky はてっきり不可算名詞かと思いきや、空模様や地域ごとの空など表情を変えるものを指す際に複数形を用いる可算名詞として扱うそうな。英語って難しい!
The colors of the rainbow……本来なら虹色と訳すところですが、The colors が旗・国旗という意味もあり敢えてそのように訳しました。というのもこの語句に 5月=鯉のぼりの吹き流しをイメージしたためです。後に出てくる「子どもの成長を見守る」という点にも通じるでしょ?
How do you do?……英語の挨拶で一番最初に習ったのがコレ、という記憶がありますが、調べてみると実はかなり古風&フォーマルな言い方でネイティブは全く使わない表現なんですね!知らんかった。かしこまった挨拶でも心はちゃんと通わせていることを表現するこの2ライン。右手で握手しながら左手に拳銃を隠し持つような外交上のメンタリティを持つ世界の為政者全員に聞かせてやりたいフレーズです。
