Take Me Home, Country Roads 歌詞と対訳

楽曲について

Take Me Home, Country Roads / written by John Denver, Bill Danoff, Taffy Nivert
アメリカのシンガー・ソングライター、ジョン・デンバーが1971年に発表した楽曲。Billboard Hot 100 の2位を記録し名実ともに彼の代表曲として知られています。ジョンのソングライター仲間、ビル・ダノフとタフィー・ナイバート(後に二人は結婚)が親戚と再会するためにメリーランド州の「クロッパー・ロード(Clopper Road)」をドライブしているうちに着想を得て書いた曲を原型に、ジョンが加わり完成させたそうです。
1973年にはオリビア・ニュートン=ジョンのカヴァー・バージョンが日本で大ヒット。そのバージョンはスタジオ・ジブリの映画「耳をすませば(1995年)」のオープニング・テーマに採用され、さらに独自の日本語詞をつけた劇中歌「カントリー・ロード」をエンディング・テーマとして展開し、アメリカのみならず日本においても国民的愛唱歌となっているのは、皆様ご存知の通りです。

曲を聴く前にイメージしたいこと

邦題は「故郷(ふるさと)へかえりたい」。コーラス部分が take me "home" なのでさもありなんですが、この曲における故郷とは具体的な出身地・出生地ではなく、多くの人々が共通して抱く心の原風景だと考えます。それは山であり、川であり、古くからある自然、そしてそれに寄り添うように綿々と続く田舎の生活……となると Country Roads とはつまり「田舎道」だと思われますが、そう断定すると聴き手の想像力発揮の妨げになるので筆者は敢えてこの部分を単に「カントリー・ロード」としました。
その曲名ゆえ、しばしばカントリー・ミュージックの代表曲と認識されがちですが、歌詞を紐解く限り、具体的なストーリー性を持たせるような「カントリーらしさ」はあまり無い、という印象です。
豊かな自然に囲まれて、昔と変わらず続く人々の生活の営み。そんなアパラチア地方への憧憬を「母なる山」と表現し、後半ではそこに実際の母親がオーバーラップ。遠く離れた母を想いながら月明かりの元で飲む密造酒はホームシックのほろ苦さ。居ても立っても居られず母を訪ねて車を走らせる……。
ライミング、アリタレイション(Mountain  Mamaなど語頭を合わせる手法)、キアスムス(Country roads take me home / Take me home, country roads に見られる交錯配列法)そしてダブル・ミーニングと、songwriting の全ての技巧を網羅。なおかつ少ない語数で美しく巧みに綴られる情景描写は、まさにジャンルを超越した芸術作品。この曲はアメリカ議会図書館に永久保存録音物として登録されているそうですが、訳してみて納得。この曲を「古典」と言わずして何と言いましょう……それではどうぞ!

歌詞と対訳

Almost Heaven, West Virginia
天国のような ウェスト・バージニア
Blue Ridge Mountains, Shenandoah River
ブルーリッジ山脈と シェナンドー川
Life is old there, older than the TREES
生命の営みは そこにある木々よりも古く
Younger than the mountains, growing like a BREEZE
山々はさらに古くから 悠然とそびえ立つ

Country roads take me home
カントリー・ロードが 私をいざなう
To the place I belong
立ち返るべき あの場所へと
West Virginia, Mountain Mama
ウェスト・バージニアの 母なる山へ
Take me home, country roads
連れて行ってくれ カントリー・ロードよ

All my memories gather 'round HER
私の記憶の多くは 貴女のことばかり
Miner's lady, stranger to blue WATER
炭鉱地の女性は 海とは縁がないものだ
Dark and Dusty, painted on the SKY
暗くくすんだ灰色に 染まっていく空の元
Misty taste of Moonshine, teardrop in my EYE
酌む「月明かり」は霞の味 目には涙がひとしずく

Country roads take me home
カントリー・ロードが 私をいざなう
To the place I belong
立ち返るべき あの場所へと
West Virginia, Mountain Mama
ウェスト・バージニアの 母なる山へ
Take me home, country roads
連れて行ってくれ カントリー・ロードよ

I hear her voice in the morning hour, she calls me
朝になると 貴女が私を呼ぶ声が聞こえる
The radio reminds me of my home far AWAY
ラジオを聴くと気づく 故郷がどれほど遠いのか
Driving down the road, I get a feeling
車を飛ばしながら 私はこんなふうに思うのだ
That I should have been home yesterday, YESTERDAY
なぜもっと早く帰ろうとしなかったんだろうと

Country roads take me home
カントリー・ロードが 私をいざなう
To the place I belong
立ち返るべき あの場所へと
West Virginia, Mountain Mama
ウェスト・バージニアの 母なる山へ
Take me home, country roads
連れて行ってくれ カントリー・ロードよ
Country roads take me home
カントリー・ロードが 私をいざなう
To the place I belong
立ち返るべき あの場所へと
West Virginia, Mountain Mama
ウェスト・バージニアの 母なる山へ
Take me home, country roads
連れて行ってくれ カントリー・ロードよ

Take me home, Down country roads
このまま連れて行ってくれ カントリー・ロードよ
Take me home, Down country roads
このまま連れて行ってくれ カントリー・ロードよ

  • Blue Ridge Mountains, Shenandoah River……実はブルーリッジ山脈もシェナンドー川もウェスト・バージニア州にはほとんどかかっていません。作者3名はこの曲の制作段階で誰もウェスト・バージニア州に行ったことが無く想像で書いたものと思われますが、どちらもアパラチアを象徴する景勝地ということで、大目に見てあげてください(笑)。

  • growing like a breeze……英語独特の慣用句で「そよ風の様に何気なく年を重ねている」という意味。ここを「blowing like a breeze」と歌う人もいますが、筆者は「growing」を採用しました。

  • West Virginia, Mountain Mama……「母なる山」からの流れで、後半以降で故郷への憧憬が女性に転換され、そこに母親がオーバーラップしてくるのがこの曲の大きな特徴ですが、West ”VIRGIN"nia という地名そのものが女性的な点も見逃せないポイントです。

  • Miner's lady……「炭鉱」もアパラチアを象徴する重要なファクター。田舎暮らしというとのんびり牧歌的なイメージですが、アパラチアにおいてはそうではなく、過酷な労働環境の元で懸命に生きる姿が想像されます。そのような人生の苦渋も、多くの人にとって回帰するべき原点なのかもしれません。

  • misty taste of moonshine……これはとても有名なダブル・ミーニング。moonshineは「月明かり」の他に「密造酒」という意味もあります。禁酒法時代に月明かりを頼りに製造していたというのが語源。「アパラチア山脈の縦横に切れ込んだ深い谷は外界から遮断され、月下の隠密行動に最適であった」とあり(出典コチラ)、これまたアパラチアを象徴する言葉でもあるようです。

  • ルート66然り、このカントリー・ロード然り。広大な国土を持つアメリカ人にとっては「Road」が人々が単に利用する生活基盤にとどまらない、あたかも人格を持っているが如く人々をどこかにいざなってくれる「相棒」のように表現されている点も、アメリカン・ミュージックを考える上で重要なポイントであると、この翻訳を通じて再認識しました。

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