L.A. Freeway 歌詞と対訳
楽曲について
L.A. Freeway / written by Guy Clark
テキサス出身のシンガー・ソングライター、ガイ・クラーク(1941年生まれ)。彼は音楽での成功を夢見てLAを拠点に活動しますが、コンクリートジャングルとスモッグと金欲にまみれた大都会の生活に疲弊し、1970年にLAを離れることを決意。この曲はその時の心境を綴った曲とされています。
ナッシュビルに拠点を移したのがきっかけになったのか、この曲は2年後の1972年、ジェリー・ジェフ・ウォーカーの目に留まり、彼の同年発表のアルバムに収録され、ガイは一躍ソングライターとして注目されることとなりました。ジェリー版が初出ですが、ガイは1975年に35歳での遅いデビューを果たし、デビューアルバム「Old No. 1」に自身のバージョンを収録しています。
ガイは2016年に亡くなりますが、その3年後の2019年にはガイを師と仰ぐスティーヴ・アールが、師のトリビュートアルバム「Guy」でカヴァー・バージョンを披露しています。
曲を聴く前にイメージしたいこと
音楽での成功を夢見て夫婦でLAで活動するものの、大都会での生活に疲弊してナッシュビルへの移住を決意。LAを脱出する際の心境が、ガイと妻スザンナの会話という語り口で綴られます。なんでもサン・ディエゴでのギグの後、スザンナが運転する車の後部座席で疲弊しきったガイがふと「If I can just get off of this L.A. freeway」というフレーズを思いつき、慌ててスザンナのアイ・ライナーを借りてハンバーガーの袋に歌詞を書き綴ったんだとか(参照:americansongwriter.com )。
2ndヴァースにデニスなる人物が登場しますが、彼はLAローカルのシーンでアップライトベース奏者として、ガイやタウンズ・ヴァン・ザントなどのソングライター界隈と共演していたデニス・サンチェスのこと。何の未練もないLAの生活で唯一、デニスとの別れを惜しむガイ。ですがデニスは1975年3月、ステージでの演奏中に心不全により28歳の若さで亡くなります。彼を偲ぶという意味でも、同年秋のデビューアルバムにガイはこの曲を収録したのでしょうね。この曲の持つもう一つのビハインド・ザ・ソングです……それではどうぞ!
歌詞と対訳
Pack up all your DISHES
食器を全て 荷造りして
Make note of all good WISHES
ごきげんようの挨拶は 心に仕舞っておこう
And say goodbye to the landlord FOR ME
大家の野郎とも もうおさらばだな
That son-of-a-bitch has always BORED ME
あのクソ家主 ずっとうんざりだったよ
Throw out all them L.A. PAPERS
古いL.A.タイムズは 全部捨てといてくれ
And that moldy box of vanilla WAFERS
カビが生えた バニラウエハースの箱もな
Adios to all this CONCRETE
アディオス! さらばコンクリートの街並み
Gonna get me some dirt road back STREET
これから走るのは 裏通りの未舗装の悪路だ
If I can just get off of this L.A. freeway
もし俺が L.A.フリーウェイを無事に出れたなら
Without getting killed or CAUGHT
殺されたり捕まったりせずに 無事に出れたなら
I'll be down the road in a cloud of smoke
砂煙の巻き上がる道を ひた走るんだ
To some land I ain't bought bought BOUGHT
絶対に 絶対に金で買えない土地に向かって
And it's here's to you, old Skinny DENNIS
この歌は君への置き土産だ 痩せっぽちのデニス
The only one I think I will MISS
この街で俺がもう一度会いたいと願うのは君だけだ
I can hear that old bass SINGING
あの古いベースの音色を 俺は忘れない
Sweet and low like a gift you're BRINGING
優しい低音は 才能を形にした君にしか出せない音
Play it for me one more time NOW
さあ もう一度弾いておくれよ 俺のために
Got to give it all we can NOW
今の俺が君にやれるものは 全部やるから
I believe every thing you're SAYING
そして君の助言を 俺は全て受け入れるよ
Just to keep on, keep on PLAYING
だから弾いてくれ 弾き続けてくれ
If I can just get off of this L.A. freeway
もし俺が L.A.フリーウェイを無事に出れたなら
Without getting killed or CAUGHT
殺されたり捕まったりせずに 無事に出れたなら
I'll be down the road in a cloud of smoke
砂煙の巻き上がる道を ひた走るんだ
To some land I ain't bought bought BOUGHT
絶対に 絶対に金で買えない土地に向かって
And you put the pink card in the MAILBOX
転居申込書を ポストに投函したなら
Leave the key in the front door LOCK
玄関の鍵は 差したままにしておくんだ
They'll find it likely as NOT
あいつらが きっと見つけるから
I'm sure there's something we have FORGOT
何か 忘れ物しているような気がするけど
Oh Susanna, don't you cry, BABE
ああ、スザンナ 泣かないでおくれ
Love's a gift that's surely HANDMADE
愛とは手作りの贈り物とは よく言ったものだ
We got something to BELIEVE IN
俺たちは 信じられるものがあるから
Don't you think it's time we're LEAVING?
さあ そろそろ出発しようか
If I can just get off of this L.A. freeway
もし俺が L.A.フリーウェイを無事に出れたなら
Without getting killed or CAUGHT
殺されたり捕まったりせずに 無事に出れたなら
I'll be down the road in a cloud of smoke
砂煙の巻き上がる道を ひた走るんだ
To some land I ain't bought bought BOUGHT
絶対に 絶対に金で買えない土地に向かって
If I can just get off of this L.A. freeway
もし俺が L.A.フリーウェイを無事に出れたなら
Without getting killed or CAUGHT
殺されたり捕まったりせずに 無事に出れたなら
I'll be down the road in a cloud of smoke
砂煙の巻き上がる道を ひた走るんだ
To some land I ain't BOUGHT
絶対に金で買えない土地に向かって
So pack up all your DISHES
食器を全て 荷造りして
Make note of all good WISHES
ごきげんようの挨拶は 心に仕舞っておこう
And say goodbye to the landlord FOR ME
大家の野郎とも もうおさらばだな
That son-of-a-bitch has always BORED ME
あのクソ家主 ずっとうんざりだったよ
L.A. Papers……ここは本来LAのローカル新聞L.A. Timesのことだがライミングを優先してL.A. Papersに換えている、と解釈しています。ただ紙巻きタバコの紙の銘柄でもL.A. Papersというのがあるらしく、そちらの説も捨てがたいです。
Sweet and low……lowはベースの低音のことだと思いますが、Sweet and low自体が優しさを示す古い慣用句(「そっとやさしく」という古い子守唄がある)で、それにもかけていると思われます。
A gift you're bringing……君が持ってくる贈り物、ですがgiftは「神から与えられた(=持って生まれた)才能」という意味もあり、前後の文脈を踏まえて意訳しました。
The pink card……アメリカの郵便サービスの住所変更書類のこと、曲が書かれた当時はこの紙がピンク色だったんだとか。
Love's a gift that's surely handmade……実はガイ・クラークはシンガー・ソングライターであると同時に優れたギター職人でもあります。そして妻スザンナも同様にソングライター兼画家として活動。このラインはスザンナのキャンバスに書かれていたものを拝借したんだそうです(参照:fretboardjournal.com)。ハンドメイド・クラフトマン同士の夫婦らしい、とても美しいフレーズですね。
