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第9話:使い方が悪いと突っぱねない。不具合の裏にある「なぜ」を掘り下げる

自社ECサイト「AMVEL UMBRELLA STORE」を運営していると、前回の第8話でお話ししたような温かい応援レビューばかりが届くわけではありません。当然のことながら、「不具合が起きた」「壊れてしまった」というお客様からの切実な問い合わせも入ります。

こうした様々な声が届く中で、私が日頃からスタッフに強く伝えていることがあります。それは、届いた事象を単なる「クレーム」として処理するのではなく、その裏にある本質的な原因をどこまで真剣に考えられるか、ということです。

例えば、折りたたみ傘で時折いただくのが、「初めて傘を開いたら、骨が折れていた」という問い合わせです。

モノ作りの現場を知るプロの視点から言えば、この現象が製造時の「初期不良」として起こることは、構造上まずあり得ません。なぜなら、もし最初から骨が折れていたとしたら、工場での生産工程において傘生地をピンと張って縫い合わせることもできませんし、綺麗に折りたたんで製品箱に梱包することすら不可能だからです。輸送中に上から極めて強い圧迫を受けて骨が曲がるケースもゼロではありませんが、それも非常に稀なケースです。

では、なぜ「開いたら折れていた」という事態が起きるのか。

そのほとんどは、傘を開く際に、畳まれていた生地同士が内側で絡まった状態のまま、無理に強い力で一気に開いてしまったことが原因です。

製品に添付している使用上のご注意には、明確に「生地をほぐしてからゆっくり開いてください」と記載しています。しかし、新しい傘を手にして高揚しているときや、出先で急に雨が降ってきたとき、取扱説明書の注意書きを隅々まで丁寧に読んでから傘を開く人など、現実にはほとんどいません。それが消費者のリアルな行動です。

ここで、「説明書を読まずに乱暴に開いたお客様の使い方が悪い」と突っぱねてしまうのは簡単です。正論を盾にすれば、メーカーとしての責任を回避することはできるでしょう。

しかし、私たちは「使い方が正しいか、正しくないか」といった不毛な水掛け論でお客様と紛争を起こすつもりはありません。何より、そうした白黒をつけるための不毛なやり取りは、最前線で対応するスタッフの心を著しく疲弊させてしまいます。

だからこそ、アンベルでは「ご購入から1年間の無償保証」を原則としています。

たとえそれがお客様の使い方の癖によるものであったとしても、1年以内に何がしかの不具合が出た場合は、一切の言い訳をせず、すべて保証対応とする。そうした明確な仕組みを設けています。

なぜそこまするのか。それは、誰が悪いかを追及することに時間や精神を消耗するくらいなら、「なぜこのような不具合になってしまったのか」を真剣に考え、プロダクトの改良・改善に100%のエネルギーを集中させた方が、はるかに建設的だからです。

「お客様はなぜ、生地をほぐさずに開いてしまったのか」 「どうすれば、説明書を読まない人でも直感的に生地をほぐせるようになるのか」 「あるいは、万が一生地が絡まったまま無理に開いてしまっても、骨が折れずに受け流せるような構造は作れないか」

起きてしまった不都合な事実から逃げず、すべてをプロダクトの改良の血肉に変えていく。この合理的な仕組みと愚直なまでの品質への向き合い方があるからこそ、お客様との間に、長期にわたる強い信頼関係が育っていくのだと確信しています。

(第10話へ続く)


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