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武元唯衣はグループを大人に導いてた人。はっきりとした評価をされにくい形で。

武元唯衣(ちゅけさん)の卒業発表。ちゅけさんは能力の高い部分が表向きに評価されていきにくい人だなあとよく思ってた。

やっぱり暗い時代の欅坂から櫻坂に改名したころ、松田キャプに次いで冠番組とかしっかり作っていける人という印象がある。

長く見てる人ならわかるように冠番組の前身「欅って、書けない?」がメンバーみんな番組作りという意味でひどい状態だったので、「そこ曲がったら櫻坂」からスタッフもメンバーもちゃんと作るようになったよね。

まつりちゃんから、ちゅけさんまで、ぱっと見たままだと番組を賑やかしてくれる明るい人とか乱暴に判断しがち。実際にはまつりちゃんは銀行員に勤務していた社会人だったし、ちゅけもんさんは青山学院大学の学生としてグループと並行しながら通学し、卒業した人でもある。つまり番組でふざけてるように見えてるけど、スタッフ側と連携して番組づくりをできるように動ける大人なんだよな。

かくして気難しい子供が番組で静かにしてるが、実際にはぜんぜんどうしたらいいかわかんない状態に押し込められがちだった欅坂時代から、まともにバラエティをやることで急速に大人になるという過程を辿ったのが櫻坂ともいえる。

そんな大人か子供かという時期で、ちゅけさんは案外、グループ全体のなかでまっとうな社会人として仕事しつづけた人だなーと私は考えているのであった。祖父が馬の調教師だった流れもあってか競馬の仕事もやり始めるというあたりも社会人みたいな。

や、私の社会人観がヘテロ男性の被雇用者に偏りすぎてるな。これ。バラエティ・競馬。20代の女の子に言う言葉じゃない。と、思いながらもちゅけさんの良さはそっちにもちょっと寄っていっちゃうとこはあるんだけど。

そんな仕事ぶりの一方で、なかなかバラエティやトークできっちり現場が要求するものを提供できても、それが本業である表題曲などに選ばれにくくなってきてしまったのも事実。

私は表題は、櫻坂ならではの演技性や物語性を持つメンバーじゃないと選ばれないなあと思ってる。これはダンスが上手いとも、バラエティでいい仕事ができるとも違うやっかいなもの。たとえば大園さんとちゅけさんだとダンスもバラエティもちゅけさんの方が優れているわけ。でも、櫻坂の演技性や物語性からすると大園さんのほうが選ばれるのもわかる。

だからちゅけさんが一番得意分野でやればやるほど、櫻坂を他の外仕事に出しても安心できるほどのイメージを作るのと裏腹に、核の部分である表題に選ばれにくくなっちゃうのかなあという皮肉さも見て取れてたよ。

ただ、決して悲哀では終わってるわけでもなくて。

スタッフもちゅけさんのハイライトとなる資質はわかっているから、「油を注せ」でバックスセンターに抜擢したり、ライブで曲の繋ぎとなるダンスシーンでコレオグラファーに抜擢したりしてる。

いまもさまざまな番組に呼ばれて堅実な仕事をしているし、それは卒業したとしても続くだろうなあと感じるのだった。

そしてなによりちゅけさんの大人さは、表の芸能面以外で一番わかるのは、グループ卒業前に青学を卒業したときのブログだな。これを読むと、誰でも表の活動以外で大人びていくちゅけさんを理解できると思う。

冠番組でもアピールされてることに、地元滋賀県がある。大学でも滋賀に貢献できるようなことを学びに行っていたとのこと。これだけでもまっとうだが、特に次のような記述を読むとちゅけさんの奥行きを感じられるのではないか。

また、もう一つ意欲的に学んだことがあります。
それは障がい者支援についてです。
このことについても、この学部なら学べることは最初からわかっていました。

私には小学生の頃から、今でも関係が続いている、障がいを持っている同い年の友人がいます。
その子には、本当にたくさんの優しさを教えてもらいました。
私は、その子のことが心から大好きで、
今まで関わることで学ばせてもらったことをきっかけに、
今は自分が障がい者の方々への支援が直接できないとしても、せめて心の面だけでも、そして今の社会情勢についても、学びたいって思っていました

ここから実習で「巻き起こる社会情勢や問題を
職員さんから直接お話を聞かせていただくことで知れた」と語るのだが、ちゅけさんが通っていたのが神奈川県相模原市のキャンパスということもあり、あの事件も頭をよぎってしまう。ブログでは言及していないが、やはり植松聖の起こしたやまゆり園の事件と、そこから巻き起こった反応についても考えさせられるのだ。ここも考えてみたら、障害を持つ幼馴染との関係があったら怖くてしょうがない事態なのがありそうに思う。

こうした実習にて、「心に残っていることがあって
施設で過ごされているみなさんにとって
音楽がとても大きな存在だったということを凄く感じた日のことです」ということを経験。そうして「櫻坂の活動をより頑張ろうと思えた瞬間でした」と確信するのはちゅけさんの見え方がひとつ変わるところじゃないだろうか。

他にも「偶然の答えの制作と、自分でLGBTQについての資料を作るという課題が、近い時期にありました」ということや、グループ以外にも大学の同級生の活動に刺激を受けるなど、テレビで見る以外にもあまりに強く成長しているのがうかがえる。こういう学部で過ごしてきたなら秋元さんの「愛しあいなさい」の歌詞もどうかしていると確実に考えたと思うがまあそれはそれかも。

ともかく、井上梨名に続いてちゅけさんの卒業とは、確かにグループを大人に導いてた一人というだけでなく、今どきの社会でまっとうな大人がひとり去っていくことでもある。

欅坂末期というグループ最悪の時代を経て、ここまで地に足が付いた大人に成長し、卒業していけるというのは、私は寂しさよりもすごいことだと思う。ちゅけさん残りの活動期間は、バラエティの裏にほの見えていた奥行きをみていければ。