16万5000kmの相棒
今月、車を買い替えた。
20代になったばかりの頃、自分でローンを組んで買った、初めての車だった。
あれから13年。
16万5000kmを超えた。
ちっちゃくて、最低ランクのモデルだったから、鍵はボタン式じゃないし、クーラーはカチカチ回すダイヤル式。
サイドミラーだって手動。
当時はお金もなかったから、ETCもナビも付けなかった。
乗り心地が良いかと聞かれると、正直今でもよくわからない。
でも、どこに行くのも一緒だった。
世界の広さ、面白さ、人の温かさ、そんなことを一緒に味わった車。
泣きたい夜は、一晩中ドライブをした。
実家に住んでいた私にとっては、唯一の逃げ場だったから。
キャンプ用の小さな椅子とテーブル、それから寝袋をいつも積んでいて、初めての遠出や車中泊も、この車と一緒だった。
海も川も、公園も。
いろんなところで、のんびりと一人時間を楽しんだ。
この車で車中泊をするというと、みんなに驚かれたけど、自分だけの秘密基地みたいで大好きだった。
快適な車中泊だったかと言われると、ちょっと微妙なんだけど。
でも、この車があったからこそ、自分が見たい景色や、見える景色が広がった気がしている。
そんなこの車だけど、今月、手放すことにした。
車体はいろんなところの塗装が剥げているし、何度も修理したけど、ブレーキを踏むとキィキィと音がなる。
クーラーの効きも悪くなってきた気がするし、この間は給油口のフタまで開かなくなった。
まだ乗れる。
まだ乗れる。
と誤魔化していたけど、もう限界だった。
いつの間にか、13年。
最初の頃は、赤い車体が緑に映えて、それがとても綺麗で、何枚も写真を撮っていた。
けれど、どんどん年季が入ってくると、傷や塗装が剥がれている場所ばかり目について、いつの間にか写真を撮ることもなくなっていた。
そういうことを思い出して、手放す日が近づいてくると、今さらだけど何枚も写真を撮った。
そして、前日。
久しぶりに夜のドライブに出掛けた。
寝袋を広げて、お弁当を食べて。
ちょっとだけ、車中泊っぽいことをして、昔のことを思い出すようにゆっくり過ごした。
――ああ、この子は、私の相棒だったんだ。
食後にBOSSの缶コーヒーを飲みながらそう思った。
君がいたから、私はここまで来れた。
13年間、ありがとう。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでくださってありがとうございます。
頂いたお気持ちは、これから言葉を綴るための力とさせていただきます。