【童話】つながりのリボン🎀
🎀この作品について
ある日、家の隣にある蔵のなかで「つながりのリボン」を見つけた8歳のはるか。
やさしい言葉や行動をすると、リボンがふわりと光り、誰かとつながることに気づきます。
小さな思いやりのリボンが町にひろがり、やがて世界へ――。
「平和って、きっと、見えないリボンでつながっているんだね」
子どもたちにもあなたの心にも、やさしく届く、希望の童話です。

第1章 ふしぎなリボン
ある日、はるかは、家の蔵の中を掃除していました。
埃だらけの木の箱が、ぽつんと隅に置いてあります。
「これ、何かな……?」
パタン、と蓋を開けると、中には真っ白なリボンがくるくると巻かれていました。
リボンは不思議なことに、周りの光を集めてきらきら光っているのです。
そのとき――。
ふわり、と優しい声が聞こえてきました。
「それはね、つながりのリボンだよ。」
はるかはびっくりして、周りを見ました。
でも、誰もいません。
「つながりのリボン……?」
はるかはリボンをそっと手に取りました。
すると、温かいぬくもりが手のひらに広がってきます。
「お母さんに見せてこよう!」
はるかはリボンをポケットに入れて、家に戻りました。
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第2章 はじめて光ったリボン
家に帰ったはるかは、さっそくお母さんに声をかけました。
「お母さん、今日はお手伝いしてきたよ!」
はるかはいつもより元気に、靴をそろえて上がります。
その姿を見て、お母さんはにっこり。
「えらいわね。ありがとう、はるか。」
その言葉を聞いた瞬間――。
はるかのポケットの中で、なにかがふわりと光りました。
「え……?」
そっとリボンを取り出すと、白いリボンが淡いピンク色に光っているのです。
まるでリボンが、やさしい気持ちにこたえて色をまとったかのように。
はるかは目を丸くしました。
「つながりのリボン……。これって、ありがとうの時に光ったのかな?」
その晩、はるかはリボンのことが気になって、なかなか眠れませんでした。
『つながりって、どういうことなんだろう……?』
次の日。
学校で友だちのさとる君が、教室にノートを忘れて戻ってきました。
「さとる君、これだよ。」
はるかは笑顔でノートを手渡しました。
そのとき――。
リボンがまたふわりと光り、淡い水色のひとすじがさとる君の方へすうっと伸びていきました。
「……!」
はるかは思わず息をのみました。
「はるかちゃん、ありがとう!」
さとる君がにっこり笑います。
すると、水色のリボンはさらにきらりと輝きました。
『やっぱり、やさしい気持ちやありがとうって、リボンが光るんだ!』
はるかは心の中でそっとささやきました。
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第3章 つながりはどこまでも
それからのはるかは、毎日つながりのリボンをポケットにしのばせて学校へ行きました。
今日も、きっとリボンがふわりと光る瞬間があるかもしれない――そんな期待で胸がいっぱいです。
ある朝のこと。
通学路の角で、見知らぬ小さな男の子が、ランドセルを抱えて泣いていました。
「どうしたの?」
はるかが声をかけると、男の子は涙をぬぐいながら言いました。
「まちがえて違う道に来ちゃったの……。」
はるかは微笑んで、男の子の手をそっと握りました。
「いっしょに学校まで行こう。だいじょうぶだよ。」
手をつないで歩き出すと、その瞬間――。
ポケットの中のリボンがきらきらと七色に光り出しました。
『手をつなぐことでも、リボンは光るんだ!』
はるかは心の中で思いました。
学校に着くと、友だちのみゆちゃんが転んで膝をすりむいていました。
「いたいのいたいの、とんでいけ!」
はるかはみゆちゃんの膝に手をあてながら声をかけました。
そのとき、リボンはやわらかな黄色に光り、ふわりとみゆちゃんと結ばれました。
「ありがとう、はるかちゃん。なんだかちょっと痛くなくなったよ。」
その言葉に、はるかの胸の中までポカポカと温かくなりました。
それからというもの、はるかはリボンの広がりを楽しみに、小さなやさしいことをたくさんするようになりました。
ある日の放課後、はるかはふと空を見上げました。
青空に、かすかに色とりどりの細いリボンが舞っているのが見えたのです。
「……わたしだけじゃない。ほかの人のリボンもあるんだ!」
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第4章 悲しい出来事とリボンの力
ある日、学校でちょっとした事件が起きました。
いつも仲良しだったけんた君とみゆちゃんが、大きな声で言い合いを始めたのです。
クラスのみんなは静まりかえり、ピリピリした空気が教室を包みました。
はるかはポケットの中のリボンをそっと取り出しました。
今まできらきら光っていたリボンが、うすく灰色にくもっていたのです。
しかも、ピンと張りつめたリボンの一部がぷつんと音を立ててほどけかけている……。
『リボンが、ちぎれちゃう……!』
その日の放課後、はるかは、ふと昔、お母さんが話してくれた、ひいおばあちゃんの言葉を思い出しました。
「つながりのリボンは、やさしい言葉や行動でつながるもの。でも、悲しい言葉や怒りの心は、リボンをほどいてしまうんだよ。」
あの時はよくわからなかったけれど、今なら少しわかる気がする――。
翌朝、はるかはクラスのみんなに声をかけました。
「みんな、ちょっと聞いて……。
けんたくんとみゆちゃんのことで、みんなも悲しかったよね?」
はるかは勇気を出して話し始めました。
「わたしね……、リボンがちぎれそうになってるのが見えたの。
きっと、怒った気持ちや悲しい言葉が、リボンをほどいちゃうんだと思う。」
しばらく沈黙が流れました。
やがて、けんた君が口を開きました。
「……ごめん、みゆちゃん。ぼく、言いすぎた。」
みゆちゃんも目に涙を浮かべて言いました。
「わたしも、ごめんね。ありがとう、話してくれて。」
その瞬間、はるかのリボンがぱあっと明るく輝きました。
灰色だった部分があたたかなピンク色とやわらかな金色に変わり、すっと結び直されたのです。
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第5章 未来へのリボン
それからというもの、はるかの目には、世界が少しちがって見えるようになりました。
朝のあいさつ。
落ちていたゴミを拾う手。
ありがとう、の声。
そんな小さなひとつひとつの行動が、リボンとなってひろがっているのです。
ある晴れた日曜日、はるかは家族と公園に出かけました。
青空の下でお弁当を食べていると、ふと空を見上げました。
そこには、うすく色づいた何本ものリボンが、空高く風にゆられていました。
「お母さん、見える? 空にリボンがいっぱいあるよ。」
お母さんはやさしく微笑みました。
「きっと、それはやさしい心が結んだリボンね。世界中に、きっとたくさんあるんだわ。」
はるかは目を輝かせました。
「うん。わたし、もっともっとリボンを結んでいきたいな。」
風が吹いて、リボンたちがそよそよと踊ります。
それはまるで「平和のうた」を奏でているようでした。

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【あとがき】
この物語は、「目には見えないけれど、きっとあるはずのつながり」を子どもたちにも、あなたにも、感じてもらいたいと思って書きました。
日々の「ありがとう」や「ごめんね」、やさしい行動は世界に小さなリボンを結んでいく――そんな想像を楽しんでもらえたらうれしいです。
つなぐ|HIROMI 🌸
平和の種を蒔く人
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わたしも、あなたのあたたかさを誰かに繋げていきます🕊️
