【最終話】泣き虫ユニバース 第8話|涙の鐘は、みんなで鳴らす
⏰ 17:55の魔法、泣き虫ユニバース最終話をお届けします❣️
月曜の涙と笑いを、あなたのひとときに。
プロローグ
泣き虫村の広場に、再び紙が貼られた。
《最終競技──涙の鐘鳴らし》
第1回から続いた涙フェスティバルも、いよいよ最後。
勝者はただ一人、鐘を鳴らすはずだった。
だが、この日ばかりは広場に集まった誰もが胸を高鳴らせていた。
「今日は、誰が泣くのか」
「いや、きっと全員が泣く」
村全体がそんな予感に包まれていた。
集結
探検家はティッシュ箱を背負い直し、研究者は分厚いノートを胸に抱え、外交官はクーラーボックスを冷気ごと携え、コレクターは木箱を撫で、スポーツ選手はバケツを掲げた。
そして私は司会台に立つ。
名前を呼ばれなくても、もう寂しくはない。
みんなの真ん中で泣き笑いするのが、私の役目だから。
【司会(私)】「さあ──最終競技を始めます!」
第一幕:涙の共演
競技はシンプルだった。
「いちばん美しい涙を流した者が鐘を鳴らす」
最初に飛び出したのは探検家だった。
【探検家】「今日の秘宝は、“負けても笑える涙”!」
ティッシュを投げ出し、子どもみたいに泣きじゃくる。
その無邪気さに、観客がつられて笑い泣き。
続いて研究者が立ち上がる。
【研究者】「結論……涙の価値は数式では測定不能!」
ノートを掲げ、しわくちゃのページを開くと、にじんだ文字が夕日に透けて光った。
外交官が静かにアイスを取り出す。
【外交官】「これは最後の一本。“分け合う甘さ”は∞(無限大)だ!」
アイスを割って観客に配ると、広場全体が一斉に笑顔と涙で溶けていく。
コレクターは木箱を開けた。
【コレクター】「今日までに集めた“ありがとう”全部、放出します!」
光の粒が空に舞い上がり、夜空の星のように広場を包む。
最後にスポーツ選手がバケツを掲げる。
【スポーツ選手】「世界記録更新──涙マラソン完走だ!」
走りながら泣き続け、バケツいっぱいの涙をゴールにぶちまけた。
観客席までしぶきが飛び、笑いと嗚咽が入り混じる。
第二幕:鐘の前で
それでも鐘はまだ鳴らない。
ルールでは「勝者ひとり」が鳴らすことになっていた。
だが観客も仲間も、誰が勝者かを決められなかった。
【司会(私)】「……選べない。だって、みんなが一番泣いて、一番笑ってる」
沈黙のあと、誰かがぽつりとつぶやいた。
【子ども】「みんなで鳴らせばいいじゃん」
その言葉に広場がざわめき、そして拍手が広がった。
クライマックス
六人──探検家、研究者、外交官、コレクター、スポーツ選手、そして私。
私たちは鐘の前に並んだ。
【探検家】「秘宝は、みんなで分け合うもの」
【研究者】「データも、ひとりでは意味を持たない」
【外交官】「条約は、両者がいて初めて成立する」
【コレクター】「やさしさは、渡してこそ光になる」
【スポーツ選手】「世界記録は、仲間と走ってこそ生まれる」
【司会(私)】「名前のない私も、みんなといれば司会者になれる」
全員で綱を握り、力を合わせて鐘を引いた。
ゴォォォン……
大きな音が村中に響き渡る。
涙のしずくが鐘の上から飛び散り、夕日に照らされて虹のように輝いた。
エピローグ
鐘の音が止んだとき、村人も観客も、みんな泣いていた。
でもそれは悲しみではなく、笑顔と混じった涙だった。
【司会(私)】「これにて──涙フェスティバル、閉幕です!」
誰かが言った。
【観客】「……なんのはなしですか」
その声にまた全員が笑い、泣いた。
泣き虫村の夜空には、コレクターが放った光と涙の虹が溶け合い、星座のように輝いていた。
こうして泣き虫ユニバースの第一章は幕を閉じた。
けれども物語はまだ続いていく。
涙があるかぎり、私たちはまた広場に集まるのだから。
💧とってもくだらないお話にお付き合いくださり、ありがとうございました‼️
全話はこちらから⤵︎✨
❁ … 愛をこめて … ❁ つなぐ|HIROMI🌸 平和の種を蒔く人
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