連載小説『短歌ダンケシェーン』一巻(1002字)
私小説のつもりで書きます。
ある人との恋の短歌のやり取りを
記録するものです。
仮にその人を Y さんとします。
私は K とします。
元は、公に詠まれていた
彼女(と思しき)の歌に、
私が反応したことより始まりました。
Y
吹く風のままになりぬるひとひらの
こころの色は知られずもがな
この歌を読んで、
私は心惹かれました。
私も昔の言葉で歌を詠むことに
憧れていたので、
てっきり私に向けて詠まれた歌と
思い込むのでした。
ひとひらの花の心、つまりは
私(彼女)の心は知られない。
そんな大まかな解釈をしました。
ともかくも、そのつもりで
お返事の歌を詠みました。
K
始祖鳥の声など想ひ汝が空へ
つづく哉今春をかなしむ
彼女の歌は、
誰ともつかぬ相手に向かって、
優しく訴えているように思えたのでした。
私は、まずは気楽にアプローチするつもりで、
距離を置いた詠み方をした次第です。
最初から、印象が良かったので、
いつか、直接メッセージを送って、
二人だけで歌のやり取りをしたいと
早くも願いつつ、彼女の歌を
待ちました。
Y
散りいそぐいのちのほどはたまさかに
吾よりわづか先とばかりに
私は短歌の半人前です。
彼女の歌は手練れと思いました。
胸を借りるつもりで、
お互い歌を詠み合えればと
願いました。
この歌からは、
私は生き急いでいる、ということを
言いたかったのかなと思いました。
もっとも私相手に詠んだ訳では
無かったと思われるところなのですが。
つづけて。
Y
いづれ行く道なればなほ去りがたく
わが衣手に殘るひとひら
この歌を詠んで、
彼女のことが心配になりました。
死ぬには去りがたく、
花のひとひらを残す思い、
と読んだからです。
私はお返事をするつもりで、
詠むことにしました。
K
春ゆかば道に残れるひとひらの
花の香りも標とせむや
励ましの歌を詠んだつもりでした。
生きる目標を持って欲しい。
そんな気持ちを込めたつもりでした。
彼女が二首を詠みました。
Y
うつし世ものちの世さへもわかぬほどに
あまりて降れる花のあとかな
殘りなき身とはなりつつひとひらの
君が袖にもたづね來つらむ
こうして読みますと、
まるで私に対するお返事とも
受け取りたくもなったのでした。
ひとひらの花びらが
私の袖に来る。
勉強が足りない私ですが、
何となく言わんとしていることは
伝わって来るような気が
されたのでした。
(二巻へつづく)
~あとがき~
相変わらず、
フィクション小説を書きたい私
なのですが、
この歌のやり取りの記録は、
いつか書きたいと思っていました。
もし書き続けることができれば、
かなりの長編になります。
もっとも、読者の方に
興味を持ってもらえなければ、
値打ち、甲斐の無い話に
終わるのですけれども。
ともかくも、一巻を書きました。
およそ千字を目処に連載できればと
思っています。
よろしくお願いいたします。
つる かく 🍂
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