阿寒湖温泉の森へ、未来の一本を。前田一歩園の植樹祭とエゾマツの物語
阿寒湖温泉を訪れると、まず湖の美しさに目が向きます。
けれど、その湖を包むように広がる森にも、長い時間をかけて受け継がれてきた物語があります。

先日、私たちは前田一歩園の植樹祭に参加してきました。
会場に集まったのは、学童を含む約170人。阿寒湖温泉に暮らす方々だけでなく、釧路市内や東京から訪れた方の姿もありました。
人が集まり、苗木が並び、土の匂いが立ちのぼる朝。植えたのは、北海道の木にも指定されているエゾマツです。
北海道は、昭和41年9月30日にエゾマツを「北海道の木」に指定しています。
鶴雅グループは創業70周年記念事業の一環として、今回の苗木を用意させていただきました。
阿寒の森を守り続けてきた前田一歩園
阿寒湖のまわりに広がる森は、ただ自然のまま残ってきた場所ではありません。守ろうとした人がいて、手をかけ続けてきた人がいて、今の景色があります。
その中心にあるのが、前田一歩園の取り組みです。
初代園主・前田正名氏は、阿寒の景観に深く心を動かされ、この山を「伐る山」ではなく「観る山」にすべきだと語ったと伝わっています。
木を伐って使う山から、景色として、自然として、次の時代へ残していく山へ。

今、私たちが阿寒湖温泉で眺めている緑は、その想いの積み重ねの中にあります。湖畔を歩いたときに感じる空気の澄み方も、窓の外に広がる木々の気配も、誰かが長い時間をかけて守ってきたもの。
植樹祭の場に立って、改めてそう感じました。
苗木を受け取る
植樹祭では、参加者がそれぞれエゾマツの苗木を受け取りました。
両手でそっと支えるほどの苗木。森の木々に比べると、まだ細く、若い存在です。けれど、根には土がつき、手に持つとしっかりとした重みがありました。
これからこの場所で生きていく木。そう思うと、自然と扱う手が丁寧になります。
土を掘り、苗木を置き、根元へ土をかぶせる。作業としては、とても単純なものです。けれど、しゃがんで土に触れていると、自分たちが今、ほんの少しだけ森の時間に関わっているような気がしました。

「小学生の時に植えたんです」
植樹祭の途中で、地元の方が森の一角を指して、こう話してくれました。
「あの辺りは、小学生の時に植えたんです」
その一言で、目の前の森の見え方が変わりました。

今、森として見えているあの木々も、最初は誰かが手で植えた小さな苗木だった。そして、森として形を見せ始めるまでには、35年ほどかかるのだそうです。
35年。
人の暮らしで考えると、とても長い時間です。
そう思うと、今日植えたエゾマツの苗木が、ただの一本ではなく、ずっと先の阿寒へ向けた小さな約束のように感じられました。
小学生の頃に植えた木を、大人になって眺める人がいる。
そしてまた、次の世代のために苗木を植える。
阿寒の森は、そうやって人の記憶とともに育ってきたのだと思います。
「LOVE AKAN」と書かれた札
植えた苗木のそばには、参加者が書いた木の札も添えられました。
名前や日付、思い思いの言葉。
その中に、「LOVE AKAN」と書かれた札がありました。
短い言葉です。

けれど、その言葉を見たとき、この植樹祭がただ木を植えるだけの時間ではないことが伝わってきました。
阿寒が好き。
この森を残したい。
未来の誰かにも、この景色に出会ってほしい。
そんな想いが、小さな札の中に込められているようでした。
観光と自然を、別々にしないこと
阿寒湖温泉は、湖と森と温泉に支えられている場所です。
窓の外に広がる緑。
朝の空気の清々しさ。
散策の途中でふと立ち止まりたくなる景色。
旅の中で心に残るものの背景には、自然を守り続けてきた人たちの積み重ねがあります。前田一歩園の植樹祭に参加して、観光と自然保護は別々のものではないのだと感じました。
地域の人が森を守る。
訪れる人が森を知る。
企業もその一部として関わっていく。
今回、鶴雅グループ創業70周年記念事業として苗木を用意させていただいたことも、阿寒の自然とともに歩んできた感謝を、次へつなぐ小さな一歩になればと思います。

阿寒湖温泉にお越しの際は、森にも目を向けてみてください
阿寒湖温泉にお越しの際は、湖だけでなく、その周りに広がる森にも少し目を向けてみてください。
木々の間を通る風。
足元の草花。
季節ごとに変わる森の色。
そこには、前田一歩園をはじめ、多くの人たちが守り、育ててきた時間があります。
阿寒湖温泉の旅が、ただ景色を眺めるだけでなく、その背景にある人の想いや取り組みにふれる時間になれば嬉しく思います。

FAQ(よくある質問)
Q. 前田一歩園とは何ですか?
阿寒湖周辺の森を守り続けてきた財団です。初代園主・前田正名氏の想いを受け継ぎ、阿寒の自然を次の世代へつなぐ森づくりに取り組んでいます。
Q. 今回植えた木は何ですか?
エゾマツです。北海道を代表する針葉樹で、北海道の木にも指定されています。
Q. 植樹祭にはどのくらいの人が参加しましたか?
学童を含む約170人が参加しました。阿寒湖温泉に暮らす方々のほか、釧路市内や東京から参加された方もいらっしゃいました。
Q. 鶴雅グループはどのように関わりましたか?
鶴雅グループ創業70周年記念事業の一環として、今回の植樹祭で植えるエゾマツの苗木を用意させていただきました。
Q. 植えた木はどのくらいで森になりますか?
地元の方のお話から、森として形を見せ始めるまでには35年ほどかかると知りました。それでも森の時間で見れば、まだ幼い木なのだと感じます。
Q. 阿寒湖温泉で森を楽しむことはできますか?
阿寒湖温泉周辺では、湖畔の散策などを通して森の空気を感じることができます。季節や天候に合わせて、無理のない範囲で楽しんでみてください。
まとめ
前田一歩園の植樹祭に参加して、森を見る目が少し変わりました。
木は、自然に大きくなるもの。
そう思っていたけれど、その始まりには、誰かが土を掘り、苗木を植え、根元に土をかぶせた時間があります。

そして、その時間は一度きりではなく、何年も、何十年も続いてきました。
小学生の頃に植えた木を、大人になってから眺める人がいる。
今日植えた木を、いつか誰かが森として見上げる日が来る。
阿寒の森は、そんな静かな約束の積み重ねで育っているのかもしれません。
阿寒湖温泉へお越しの際は、湖の美しさとともに、その周りに広がる森にも心を寄せてみてください。
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