【北海道】釧路市立博物館1階展示案内|マンモス・湿原・海のいのちから知る釧路の自然
釧路と聞くと、まず湿原を思い浮かべる方も多いかもしれません。
けれど1階展示を歩くと、釧路の自然は湿原だけではないことに気づきます。
川があり、森があり、湖があり、冷たい海がある。
そのすべてがつながって、道東らしい風景をつくっているのだと感じられるフロアです。
釧路市立博物館1階展示のテーマは「釧路の自然」
釧路市立博物館の1階常設展示は、釧路の自然を広く紹介するフロアです。
「マンモス」「釧路の大地」「釧路湿原の植物・イトウ・ヤチボウズ」「釧路の昆虫・鳥類・ほ乳類」「釧路の海」「クジラ・海藻類」など、湿原から海まで、釧路の自然を立体的にたどる展示が並びます。
展示室には、剥製、骨格標本、模型、植物標本などが立体的に配置されています。
写真で見るよりも、ずっと近い距離。羽の細かさ、動物の体の大きさ、昆布の長さ、魚の存在感まで、目の前で受け取れるのが魅力です。

子ども連れでも歩きやすく、大人にとっても発見の多い空間。
釧路湿原や阿寒湖へ向かう前の“自然の予習”として、ゆっくり見ておきたい展示です。
マンモスからはじまる、北の大地の時間
1階展示は、いまの釧路からではなく、もっと長い時間から始まります。
マンモスの展示。
マンモスは、数万年前のウルム氷期に、陸続きとなったユーラシア大陸から多くの動物とともに北海道へ渡ってきました。展示されている全身骨格は、ロシアで見つかった化石をもとに作られたレプリカで、体の長さ3.5m、体の高さ2.9m、牙の長さ2.5mです。

いまの釧路の風景からは少し遠い、氷期の北海道。
その時間を思うと、足元の大地が違って見えてきます。
湿原の水面も、海から吹く風も、春採湖の静けさも、長い地球の時間の先にあるもの。
1階展示の入口で、旅の視点がふっと遠くまで広がります。
釧路の大地を知る。湿原、海、カルデラへ
釧路の自然を知るうえで、大地の展示も大切な入口です。
釧路川を境に、東側は根室まで岩石海岸、西側は砂浜海岸が続きます。沖合には延長150km以上、水深5,000mあまりの釧路海底谷。市街地の北側には東西幅25km、南北幅36kmに及ぶ日本最大の釧路湿原が広がり、その北側には阿寒・屈斜路・摩周のカルデラが隣接しています。
湿原、海、火山地帯。
道東の風景は、いくつもの自然の力が重なってできたものです。
展示を見てから釧路湿原へ向かうと、広い草原のように見えていた場所の奥に、川の流れや海の記憶、火山の時間まで感じられるかもしれません。

釧路湿原の植物、イトウ、ヤチボウズを知る
釧路といえば、やはり湿原。
1階展示では、湿原の植物や、湿原に生きる魚、独特の地形にも触れることができます。
釧路湿原の約80%はヨシやスゲの湿原で、川や湧き水に潤され、地下水位が高い環境です。低層湿原ではヒメカイウやミツガシワ、ハンノキなどが見られ、高層湿原ではヒメシャクナゲ、イソツツジ、ツルコケモモ、モウセンゴケなどが見られます。
印象に残る展示のひとつが、イトウ。
イトウはサケの仲間で、日本最大の淡水魚です。成長すると魚だけでなく、カエル、ネズミ、ヘビなども食べ、釧路湿原の食物連鎖の頂点に位置します。

そして、ヤチボウズ。
カブスゲやヒラギシスゲなどのスゲ類が盛り上がって株をつくるもので、低温過湿の湿原環境の中で、40〜50cmほどの高さに育ちます。ぽこぽこと頭を出すような姿に、名前の親しみやすさも重なります。
釧路湿原を歩くとき、足元の草や水辺を何気なく見過ごしてしまうことがあります。
でも、ここで少し知ってから外へ出ると、湿原はただ広いだけの場所ではなくなります。
小さな植物。
水の深さ。
魚の気配。
目に見えないつながりが、少しずつ立ち上がる時間です。
昆虫、鳥、ほ乳類。近くで見る道東の生きもの
1階展示では、釧路の昆虫、鳥類、ほ乳類の展示も見応えがあります。
大きな昆虫模型や標本、エゾシカ、ヒグマ、リス、フクロウやワシの仲間たち。
展示室で近くに立つと、写真ではわからない体のつくりや大きさに驚かされます。
エゾシカは北海道全域にすむニホンジカの一種で、オスの角は毎年生え変わります。ヒグマは日本でもっとも大きな陸上ほ乳類で、日本では北海道にのみ生息しています。

鳥の展示では、タンチョウ、シマフクロウ、クマゲラ、オオワシ、オジロワシなど、釧路地方と関わりの深い鳥たちに出会えます。道東地方は海、湿地、草原、山林と多様な環境に恵まれ、多くの鳥たちのすみか、越冬地、繁殖地、通過地点になっています。
フクロウの黄色い目。
エゾシカのやわらかな毛並み。
リスの小さな体。
ヒグマの重み。
展示室では、動物たちがふいにこちらを見ているような瞬間があります。
野生動物ウォッチングへ出かける前に見ると、実際のフィールドでの出会いが、より慎重で、より大切なものに感じられます。
釧路の海の展示へ。カニ、魚、海獣、クジラ、コンブ類
1階展示の後半では、釧路の海へ視点が広がります。
釧路の自然というと湿原の印象が強いかもしれません。
けれど、釧路は海のまちでもあります。
展示では、タラバガニ、ハナサキガニ、ケガニなど、北の冷たい海にすむカニ類を紹介。釧路の海にはクジラ、アザラシ、オットセイ、トドといった哺乳類も生息し、釧路地方で見られるサケの種類として、シロザケ、カラフトマス、サクラマスが挙げられています。
コンブ類の展示も、道東らしい見どころです。釧路から根室までの太平洋沿岸ではナガコンブがよく見られ、厚岸から根室、知床半島の羅臼までの沿岸ではオニコンブが見られます。

そして、クジラの骨格標本。
秋になると釧路沖にはミンククジラが回遊します。シロナガスクジラは世界最大の哺乳類で、展示されている下あごの骨は6.7mあります。
湿原から海へ。
森から川へ。
川から沖合へ。
1階展示を歩くと、釧路の自然がひとつの大きな循環として見えてきます。
港で食べる魚やカニ、旅館で味わう昆布だしも、こうした海の豊かさとつながっていることに気づかされます。
道東アドベンチャートラベルの前に、釧路の自然を知る
北海道でも注目されている旅のスタイルに、アドベンチャートラベルがあります。
アドベンチャートラベルは、「身体的活動」「自然」「異文化体験」の3要素を組み合わせた旅行形態。北海道は、雄大な自然、豊かな食、アイヌ文化や縄文遺跡群などの独自文化、サイクリングやカヌー、スキーといった多様なアクティビティを楽しめる地域として紹介されています。
釧路市立博物館の1階展示は、道東の自然体験へ向かう前の準備にぴったりです。
釧路湿原を歩く。
カヌーで川を進む。
タンチョウや野鳥を探す。
阿寒湖や屈斜路湖へ足をのばす。
その前に、湿原の植物やイトウ、鳥やほ乳類、釧路の海の生きものを知っておく。
それだけで、フィールドでの時間は少し変わります。
ただ「見る」のではなく、気づきながら歩く旅へ。
1階展示は、道東アドベンチャートラベルの静かな予習編です。
釧路・阿寒湖エリアの旅とあわせて
釧路市立博物館の1階展示を見たあとは、実際の自然へ出ていきたくなります。
春採湖を歩く。
釧路湿原へ向かう。
阿寒湖や屈斜路湖方面へ車を走らせる。
展示室で出会った生きものや植物の記憶が、外の風景に重なっていく時間です。
釧路市街地から阿寒湖温泉までは、車で約1時間30分が目安です。湿原の広がりから、森の気配、湖畔の空気へ。少しずつ景色が変わっていく道のりも、道東らしい旅の一部になります。阿寒湖は阿寒摩周国立公園に位置するカルデラ湖で、温泉や遊覧船、季節ごとの自然景観も楽しめるエリアです。
阿寒湖畔で宿泊を考えるなら、鶴雅グループ公式サイトで宿や過ごし方を確認しておくと、旅程を組み立てやすくなります。鶴雅グループは北海道内で温泉旅館・ホテル、レストラン、ベーカリーを展開し、阿寒湖・屈斜路湖エリアにも複数の施設があります。
博物館で釧路の自然を知り、フィールドへ出て、夜は阿寒湖畔の温泉で余韻をほどく。
展示室で見た湿原の植物、鳥、魚、海のいのちが、旅の記憶の中でゆっくりつながっていきます。
道東を急がず味わうなら、釧路市立博物館から阿寒湖畔へ。
学びと自然、そして温泉の時間を重ねる、深呼吸のような旅の流れです。
アクセス・利用メモ
釧路市立博物館は、北海道釧路市春湖台1-7にあります。開館時間は午前9時30分から午後5時まで。入館料は一般・大学生480円、高校生250円、小・中学生110円で、マンモスホールのみの利用は無料です。休館日は月曜日が基本ですが、祝日や季節によって扱いが変わるため、訪問前に最新情報を確認しておくと安心です。
FAQ
釧路市立博物館1階展示では何が見られますか?
釧路市立博物館1階展示では、マンモス、釧路の大地、釧路湿原の植物、イトウ、ヤチボウズ、昆虫、鳥類、ほ乳類、釧路の海の生きもの、クジラ、海藻類などが見られます。釧路の自然を広く知るためのフロアです。
子ども連れでも楽しめますか?
楽しみやすい展示です。動物の剥製、大きな昆虫模型、魚やカニ、クジラの骨格標本など、見た目にわかりやすい展示が多くあります。親子で「これは何だろう」と話しながら歩けるフロアです。
釧路湿原へ行く前に見るのがおすすめですか?
おすすめです。釧路湿原の植物、イトウ、ヤチボウズなどを知ってから現地へ向かうと、足元の植物や水辺の見え方が変わります。旅の予習として立ち寄りたい展示です。
動物や鳥の展示はありますか?
あります。エゾシカ、ヒグマ、昆虫、鳥類など、釧路や道東の自然に関わる生きものが紹介されています。タンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシなど、釧路地方と関わりの深い鳥たちにも触れられます。
海の展示もありますか?
あります。カニ類、サケ、海獣類、クジラ、コンブ類など、釧路の海に関わる展示が充実しています。釧路が湿原のまちであると同時に、海のまちでもあることを感じられます。
所要時間はどのくらい見ておけばよいですか?
1階だけでも、写真を撮りながらゆっくり見るなら30〜45分ほどあると安心です。館内全体をめぐるなら、1時間半ほど見ておくと落ち着いて回れます。
雨の日でも楽しめますか?
はい。1階展示は屋内でゆっくり見られるため、雨の日や風の強い日にも立ち寄りやすい場所です。春採湖や釧路湿原散策の予定を調整したい日にも向いています。
まとめ
釧路市立博物館の1階展示は、釧路の自然をただ“見る”だけの場所ではありません。
マンモスから始まる大地の時間。
湿原の植物とイトウ、ヤチボウズ。
森や草原に生きる動物たち。
冷たい海に暮らす魚、カニ、海獣、クジラ、コンブ。

展示室を歩くうちに、釧路の風景が少しずつ立体的になっていきます。
釧路湿原へ行く前に。
阿寒湖へ向かう前に。
港町・釧路の食を楽しむ前に。
1階展示で自然の背景を知っておくと、旅先で出会う景色や味わいが、もう少し深く心に残るはずです。
次回は2階展示へ。
釧路の先史時代から近世・近代、産業や暮らしの記憶をたどりながら、まちの歴史へ進みます。
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