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ありがとう、全てのエヴァンゲリオン。そして今、新世紀へ。

【『シン・エヴァンゲリオン劇場版』/庵野秀明監督】

ついに、四半世紀にわたって紡がれ続けてきた『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズが「終劇」を迎えた。それも、想像し得る限り、最も幸福な形で。

この壮大な物語を完結させるために、庵野監督が導き出した選択。それは、それまでの全ての「エヴァンゲリオン」との決別である。『新劇場版:Q』に至るまでに拡大したカオスを収束させるためには、この終わり方しかなかったのだろう。

虚構(イマジナリー)の世界を飛び出して、僕たちの目の前に広がる現実(リアリティ)の世界を生きる。それは「エヴァンゲリオンが存在しない世界」であり、ラストシーンにおいて、マリと共に新しい一歩を踏み出した碇シンジは、もう僕たちが知っている彼ではなかった。声優が、神木隆之介へと変わっていたことが、その何よりの証拠である。

この25年間、僕たちを魅了し続けてきた「現代の神話」に、不可逆的なピリオドを打ち込んだ今作『シン・エヴァ』は、一つのアニメシリーズの完結作という本来の役割を超えて、計り知れないほどに深い意義を誇る作品となったのだ。


その意義について語ること。それは、庵野秀明という稀代のクリエイターの歩みを語ることと同義である。なぜなら、これは、彼の人生を懸けたシリーズであり、同時に、彼自身の生き様と価値観を投影した私小説であり、25年にわたる壮絶なドキュメントであったからだ。

その歩みは、もはや説明不要なように、決して容易いものではなかった。そして、このシリーズは、彼の極めてパーソナルな狂気を結晶化させた作品ではあるが、しかし決して、彼一人だけの力では、この幸福な形の「終劇」に至ることはできなかっただろう。

今作のエンドロールの長さが、『シン・エヴァ』を完成させるために集ったスタッフの多さを表している。まさに、日本のアニメ界のプライドを掲げた総力戦だ。だからこそ、この『シン・エヴァ』は、「絶対的な他者と向き合い、共に生きる」という本来のメッセージをより力強く掲げながら、懸命に前へ進もうとする「意志」と「覚悟」の物語となったのだと思う。

そして、エンドロールの最後に映し出されるのは、この国におけるクリエイター/観客たちの想いを一身に引き受けながら、日本のアニメシーンの未来のために満身創痍で創作に向き合い続けてきた「総監督 庵野秀明」のクレジットである。そのたった七文字に秘められた深い意義に、心が震える。

この果てしない感動を、僕たちは、この先もう二度と味わうことができないかもしれない。今、劇場で、庵野監督たちと共に「終劇」を体験できることは、彼らと同じ時代を生きる私たちの特権なのだ。そしてそれは、とても幸福な映画体験であると思う。


庵野監督と「エヴァンゲリオン」の物語は、ここに幕を閉じた。しかし、彼のクリエイターとしての歩みは、次のフェーズへと突入していく。

シン・ゴジラ。

シン・エヴァンゲリオン。

シン・ウルトラマン。

そして、シン・仮面ライダー。

特撮への限りない愛と敬意をもって、その「原点」に真正面から向き合い、新しい時代におけるアップデートに挑む。そして、先達たちの魂を次の時代へと継承していく。

庵野監督が牽引する『シン』シリーズが、この先にどのような展開を迎えるのかは、まだ誰にも分からない。一つだけ言えるのは、彼が新しい作品づくりに挑み続ける限り、この国におけるクリエイティブの光は決して失せはしない、ということだけだ。

2020年代という新しいディケイド。ここから幕を開ける「新世紀」に、僕はとても大きな希望を感じている。





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