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3日間、フジロックの配信を観ながらずっと考えていたこと。

【8/20(金)〜8/22(日)「FUJI ROCK FESTIVAL '21」@ 新潟県湯沢町苗場スキー場】

2年ぶりのフジロックは、非常にシビアな逆境の中での開催となった。

今回の開催の是非については、様々な立場からそれぞれの意見が飛び交っている。たとえ、国や自治体が定めるルールを遵守し、徹底的な感染対策を講じた上での開催であったとしても、大型の有観客イベントを開催することに疑念や違和感を持つ人は多い。

その意味で、今回の2年ぶりの開催について、参加する/しないを問わず、決して手放しで喜ぶことができなかったという人も多いはずだ。参加者の中には、複雑な思いを抱えながら現地に足を運んだ人もいると思う。そうした現実を前に、音楽フェスというカルチャーを愛する者として、とても胸を締め付けられる気持ちになった。


開催前、僕が危惧していたのは、フジロックが「分断」の象徴になってしまうことだった。そして悲しいことに、実際にSNS上では、フジロック開催の是非を巡って数々の溝が生まれ、今もなお深まり続けている。

今さらここで言うまでもないが、Twitterは議論の場として不適切なプラットフォームであると改めて思う。この数日で、決して建設的とは言えない議論(のようなもの)を何度も目にした。立場も、前提認識も、大型の有観客イベント実施に関する理解の解像度も、何もかもが異なる者同士の議論やエアリプ合戦を見ていて、心が削られる思いをした。

そして、ともすれば、音楽やフジロックを愛する者同士の間にさえも、不可逆的な溝が生まれかねないヒリヒリとした空気を感じていた。僕自身、フジロックについて肯定的なツイートをすることが、誰かにネガティブな感情をもたらしてしまうのではないかという恐れもあった。可視化されていないだけで、もしかしたら見えない「分断」は今も進んでいるのでは、という不安も感じている。


そのような状況の中で、「開催する」と決断した主催者、「出演する」と決断したアーティスト、そして「参加する」と決断した参加者は、大きな覚悟をもって苗場に臨んだのだと思う。僕は今回、「3日間、自宅から配信ライブを観る」という選択をした。だから、これは僕の想像でしかないけれど、きっと会場には、例年にはない種類の緊張感が漂っていたはずだ。

今、こうした状況の中でフジロックのステージに立つこと。その迷いや葛藤については、アーティスト自身が自ら言葉にして綴っている。アクト中のMCで、正直にそうした心境を語るアーティストも多かった。


その一方には、「出演しない」と決断したアーティストもいる。それぞれの置かれた状況や大切にするものの優先順位は様々であるからこそ、出演する/しないを巡る選択に正誤や優劣はない。いつか再び、一昨年までと同じようにフェスを開催できる同じ未来に向けて、それぞれの選択を認め合っていくべきであると思う。


無数の想いが複雑に交差した今年のフジロック。3日間、自宅で配信を観ていた僕には感じられない現地のムードや空気感もあるはずで、それらについては、これから続々と公開されていくであろう参加者のレポートを参考にしたい。

一方で、数々の配信ライブを観ながら、絶対的に確信したことが一つだけある。それは、たとえどれだけ状況が混迷を極めようとしても、そこで鳴らされる「音楽」の意義や価値が損なわれることは決してない、ということだ。それぞれのアーティストが強い意志と覚悟をもって届けてくれたパフォーマンスは、どれも本当に素晴らしかった。

このご時世、フジロックの開催を巡って様々な批判の声が相次いでいることは承知しつつも、現場で、配信で、フジロックのアクトを通して味わった音楽体験は、そして「音楽」それ自体は、決して否定・非難されるべきものではないと思う。

たとえどのような立場やスタンスであったとしても、ステージに立つアーティストを応援すること、そのパフォーマンスを楽しむことについて、後ろめたさを感じる必要はない。SNSに溢れる感動や興奮の声を見ながら、僕はその確信を深めている。


かつてない逆境の中で開催された2年ぶりのフジロックは幕を閉じた。

まずは、今回の感染対策の効果検証の結果を待ちたい。今回の開催について客観的なデータに基づく評価が下るのは、おそらくそのタイミングだと思う。ポジティブな結果が出た新しい施策については、他のフェスへと横展開され、業界内で共有知が積み重ねられていく。直近の夏フェスについては開催中止の報せが相次いでいるけれど、既に各フェスの主催者やスタッフたちは、その次を見据えているはずだ。挑戦なくしては何も始まらない。だからこそ僕は、各フェスの未来を見据えた挑戦を引き続き応援していきたい。

そして、音楽フェスというカルチャーを愛する者として、長期化するコロナとの戦いの中で、真に進むべき方向を、立ち向かうべき相手を、そして変わらずに大切にすべきものを、それぞれ間違えずにいたい。想像力をもって思考し続けたい。ポジティブな未来を諦めないでいたい。そう強く思う。

また、一人の音楽ライターとして、「音楽」が僕たちにもたらしてくれるものを、一つひとつ言葉にしていきたい。たとえ、綺麗事や理想論と思われたとしても、フジロックをはじめとする数々のフェスやイベント、そして「音楽」は、「分断」ではなく、「友愛」や「連帯」の象徴になり得ることを、何度でも伝え続けていきたいと思う。

最後に、この困難の中においてフジロックを開催し、YouTubeの配信というもう一つの参加手段を用意してくれた主催者やスタッフ、そして、それぞれのスロットを担ったアーティスト、そうした全ての方たちの努力に、最大限のリスペクトを表したい。


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8/20(金)

RADWIMPS

最新曲「TWILIGHT」「SUMMER DAZE」のライブアンセムとしての映え方が凄い。そして、菅田将暉と共に披露した「うたかた歌」は、お互いへの愛とリスペクトに満ち満ちていた。迷いや葛藤の中でも、未来へ前進する強い意志を感じさせる名演だったと思う。

millennium parade

「FAMILIA」「U」「2992」の3連打、あまりにも破格すぎた。そしてラスト、ビジョンに一人一人のクレジットが映し出される展開にグッときた。これこそまさに「チーム」の勝利だと思う。クリエイティブの果てしない可能性を感じた。

Vaundy

新曲「花占い」が素晴らしい。やはりこの曲は、ライブで披露されると更に輝きを増す。歓声なき時代に生まれた、最高のフロアアンセムだと思う。「怪獣の花唄」も、既にロックアンセムとして確立されていて、本当に凄い。

くるり

くるりが最後に披露した「奇跡」が本当に素晴らしかった。10年前に綴られた言葉が改めて深く響く。《退屈な毎日も/当然のように過ぎてゆく/気づかないような隙間に咲いた花/来年も会いましょう》《さぁここへおいでよ/何もないけれど/どこへでも行けるよ/少し身悶えるくらい》


8/21(土)

Ken Yokoyama

コーネリアスの代打として出演。コロナ禍における分断やキャンセルカルチャーなど、今の日本を取り巻くあらゆる現実を真正面から引き受けながら、4人は「パンクロック」の精神を高らかに鳴らしてくれた。最新モードのKen Band、最高にカッコよかった。

King Gnu

若き王者としての風格に痺れた。破格のスケールに圧倒された。何より感動的だったのは、そのあまりにも巨大な才能に、今回やっと「舞台」が追い付いたこと。そして今日のフジロックのヘッドライナーさえも、一つの通過点に思える。ロックの未来は明るい。

THE ALEXX

僕の経験上、フジロックでの「思わぬ出会い」は、非常に高い割合で、GREEN STAGEの横のRED MARQUEEで起きます。移動中、何気なく立ち寄り、そこで初めて出会ったアーティストに衝撃を受ける。今年も、配信で同じ体験ができました。とてもカッコいい。


8/22(日)

Awesome City Club

緑色を基調とした衣装で、初のGREEN STAGEへ。「勿忘」の特大ヒットによって得た自信と確信は相当大きかったはずで、3人のポップスターとしての佇まいに強く惹かれた。これから更に、J-POPシーンを席巻していく存在になっていくはず。

STUTS

華やかなトラックやゲストのラップが素晴らしいのは言うまでもなく、全編を通して、MPCとバンドが織り成す「リズム」の力に強く魅了された。BIM、Daichi Yamamotoと披露した「Presence」、PUNPEEを迎えた「夜を使いはたして」等、ハイライトの連続でした。

忌野清志郎 Rock'n'Roll FOREVER

「デイ・ドリーム・ビリーバー」で幕を開け、「上を向いて歩こう」「雨上がりの夜空に(過去ライブ映像)」で大団円。フジロックが大切に守り続けてきた「忌野清志郎の精神=ロックンロールの精神」は、今年も健在だった。

電気グルーヴ

昨年のリベンジが実現、ついに電気の2人が初のヘッドライナーとしてGREEN STAGEに立った。感慨深い気持ちになるかと思いきや、そんな隙すらないほどに終始ぶっ飛びっぱなしの80分間。フジロック3日間の大団円を担った「富士山」、本当に最高だった。



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