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19歳、不安な夜を支えてくれた一枚のCD

その昔、オッサンの私でも19歳の頃があった。高校を卒業後、東京に居て新聞奨学生をしながら予備校に通っていた。

当時よく聴いていた音楽がエンヤの「ウォーターマーク」だった。私が人生で初めて購入したCDアルバムで今でも愛聴し続けている。

当時の私は1階が中華料理屋で2階が4畳半の部屋のアパートで暮らしていた。ほぼ、身体一つで上京したので、持ち物と言ったら、布団とこたつ、カラーボックス一個、親戚がくれた小さな中古ラジカセ一つあるだけだった。テレビもなく、その年のベルリンの壁崩壊の映像を観たのは、数年後にテレビを買ってからという始末であった。


新聞配達をしながら、毎月ちょっとずつ貯金して新宿の家電量販店で、初めてのCDラジカセを購入。オーディオメーカーのアイワの製品だった。当時はアイワのオーディオが一番安価だったのである。それでもとても嬉しかったのを覚えている。せっかくのCDラジカセなのでどうせなら何かCDが欲しかったけれど具体的に何のアルバムを買うかは決めかねていた。


そんなある日、部屋でラジオを聴いていたらエンヤの「Orinoco Flow」が流れて、当時の私は雷に打たれたような強い衝撃を受け、エンヤの歌声にたちまち魅せられてしまったのだった。

この曲の入ったアルバム「ウォーターマーク」は当時としては、異色の音楽で、気の遠くなるような多重録音の繰り返しで制作されたアルバムだった。当時の音楽シーンでは珍しく、ケルト民族の音楽に影響を受けた斬新な楽曲で世界中でヒットを記録していたのである。

そういうわけで、このアルバムを買おうと決めて、次月に給料をもらってからCD売り場に直行。人生初のCD購入に至ったのであった。


当時の私は、毎晩次の日のことを考えて不安だらけであった。上京したばかりで仕事の覚えも悪かったので、先輩から毎日のように叱られていた。その先輩は、早稲田に合格していて、私が彼の配達区域を引き継ぐことになっていたんだけど、先輩は頭が良いので私とはレベルが違い過ぎて彼をイラつかせていたのだ。その後、先輩たちが去ってから独り立ちしたけれど、かなりのプレッシャーを抱えていた。

なので、私はこの調子で果たして続けられるのだろうかと毎晩不安でたまらなかったのだ。そういう自分の気分を落ち着かせるため、毎晩聴いていたのがエンヤの「Orinoco Flow」だった。当時、すがるような気持ちで聴いていたのを鮮明に思い出すことができる。

軽い気持ちで買ったものではなかったので、私の最初のCDには思い入れが非常に強い。PCに取り込んで現在も頻繁に聴いているアルバムでもある。当時のCDは売ったりなどはせず、今でも手元に残してある。


時が経って、オッサンの今でも不安を抱える日々。そんな時は決まってエンヤを聴いている。


音楽を心の拠り所としている人も世界中にいることだろう。私もその一人でなのである。


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