【相続コラム357:相続手続きの現場編(第24話②)】転籍が多い方の相続で、戸籍収集が大変になる理由(中編)
前編では、転籍が多い方の相続では、本籍地が変わるたびに戸籍の請求先も変わり、戸籍収集が大変になりやすいとお伝えしました。
中編では、実際の相続手続きで、転籍が多い場合につまずきやすい場面について整理します。
■一つ戸籍を取るまで、次の請求先が分からない
転籍が多い方の戸籍収集では、最初からすべての請求先が分かるとは限りません。
死亡時の戸籍を取得して初めて、転籍前の本籍地が分かることがあります。
そして、転籍前の戸籍を取得すると、さらにその前の本籍地が記載されていることもあります。
つまり、戸籍を一通取得するたびに、次の請求先が見えてくるのです。
ご家族としては、「必要な役所にまとめて請求すれば早い」と感じるかもしれません。
しかし実務では、戸籍を確認しなければ次の請求先を判断できない場面があります。
そのため、転籍が多い相続では、どうしても段階的に進める必要が出てきます。
■自治体が増えるほど、手間も増える
戸籍の請求先が一つであれば、手続きは比較的整理しやすくなります。
しかし、転籍により複数の市区町村へ請求が必要になると、その分だけ手間が増えます。
郵送請求の場合には、申請書、本人確認書類、定額小為替、返信用封筒などを自治体ごとに準備する必要があります。
また、自治体によって請求書の様式や確認事項が少しずつ異なることもあります。
一つひとつは小さな作業でも、請求先が増えると負担は大きくなります。
さらに、自治体ごとに返送までの日数が異なるため、どこに請求中で、どこから届いたのかを整理しておく必要があります。
一部の戸籍だけが先に届くと、その時点で次の請求先が分かることもあります。反対に、別の戸籍が届くまで判断を保留しなければならないこともあります。
転籍が多い方の戸籍収集では、戸籍そのものの数だけでなく、請求先の数も実務上の負担になるのです。
■古い地名や市町村合併で迷うこともある
転籍前の本籍地が古い戸籍に記載されていても、その地名が現在の自治体名と違うことがあります。
市町村合併や行政区画の変更により、現在は別の市町村が戸籍を管理している場合もあります。
古い戸籍に書かれた本籍地を見て、
「これは今のどこの役所に請求すればよいのか」
と迷うことがあります。
この確認を誤ると、請求先を間違え、回答を待った後に再請求が必要になることもあります。
転籍が多い場合には、戸籍の記載を読むだけでなく、現在の請求先を確認する作業も重要になります。
■中編まとめ
転籍が多い方の戸籍収集では、一通取るまで次の請求先が分からないことがあります。
また、請求先の自治体が増えれば、その分だけ準備や確認の手間も増えます。
古い地名や市町村合併により、現在の請求先を確認する必要がある場合もあります。
次回の後編では、転籍が多い相続で戸籍収集を遠回りさせないために、実務ではどのように整理して進めるのかをお伝えします。
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