3D空間生成AI「Marble」は現実空間をどこまで再現できるか
こんにちは。MESONの高村です。
2025年11月、World Labs社が3D世界生成サービス「Marble」を一般公開しました。
今回はこのMarbleで利用できる複数の手法を使って、MESONオフィスを対象に現実空間の3DGS(3D Gaussian Splatting)化を試みたので、その検証結果をお伝えします。
Marbleとは
MarbleはWorld Labs社が2025年11月にリリースした、3DGS生成サービスです。テキスト・画像・パノラマ・動画から、探索可能な3D空間を生成できます。
入力形式
テキストプロンプト
単一画像 / 複数画像(4方向指定 or Auto layout)
360°パノラマ
動画(100MB以下)
出力形式
SPZ / PLY(3DGS形式)
GLB(3Dメッシュ形式)
PNG(360°パノラマ画像)
Web共有リンク / VR対応リンク
生成の仕組み
Marbleは生成過程でパノラマ画像を経由します。
入力(テキスト / 写真 / 動画) → パノラマ画像生成 → 3DGS生成
Marbleを使った生成において360度画像以外を入力した場合、まず「パノラマ画像が綺麗に生成できるか」というハードルが生じます。
また、ある1点からのパノラマを元に3DGSを生成するため、入り組んだ地形や複雑な形状の再現は仕組み上難しいです。
したがって生成したい3D空間が正方形(正円)に近いほど綺麗に生成できる傾向があります。
World Labsの想定するワークフローは「小規模の空間ごとに3DGSを生成し、それを組み合わせて広いworldを作る」というもののようです。
検証結果
弊社オフィスを対象に、Marbleで利用できる各手法にどのような結果の差が生じるか検証を行いました。
画像を使ったWorld生成を行った場合、共有時WorldだけでなくWorld生成に用いた画像自体も共有されてしまうため、プライバシーの問題から今回はWorldのスクリーンショットをベースにした紹介になります。
動画から生成 → 現状では実用が難しい
オフィスで360度その場で回転しながら撮影した動画で試しました。
結果、空間の再現精度はかなり低く、要素レベルでしか内容を拾えていませんでした。
どうやら動画から自動生成されるテキストプロンプトにかなり影響を受けているようです。
しかし動画入力ではテキストプロンプトを編集できないため、こちらで調整する術はありません。

生成したWorldへのリンク:
複数枚画像から生成 → 360度画像に次ぐ精度
Front/Back/Right/Leftの4枚を指定する手段です。

比較的綺麗に再現できており、他手法と比較して物のディテールも取れている印象です。
現実空間をMarbleを使って3DGS化してみたい場合はこの手段か、以下の360度画像からの生成になると思います。

360度画像から生成 → 提供されている手法の中では最も再現度が高い
かなり絵は荒くなってしまいますが、撮影データとの整合性がはっきり取れているように見えました。

編集・生成機能
Marbleには一度生成した3D空間を編集したり、3D上で配置した空間を元に3DGSを生成する機能があります。
Expand機能
生成したワールドの端へ移動し、そこを起点に新たなGSを生成してワールドを拡張できます。
ただし、拡張時にプロンプトを指定できないため、どんな空間が生成されるかは運任せになります。意図した空間を作りたい場合は、別途ワールドを生成してStudio機能で接続する方が確実です。


Studio機能
GSの削除や、複数ワールドの接続が可能です。move toolで位置合わせをしながら、異なるワールドを組み合わせて広い空間を構築できます。



3DGSであるため仕方がないですが、今回のような用途では編集しても上記画像のように接合部分は粗が目立ちがちになります。
しかしWeb上で編集まで一貫してできるのはメリットと呼べると思います。
Chisel機能
キューブなどの3Dオブジェクトを壁や家具に見立てて配置し、それを元に3D空間の生成ができます。
ただし本機能の注意点として、配置したオブジェクトにつけている名称はパノラマ生成時に考慮されません。
つまり「このキューブはソファ、これはテーブル」といった具体的な指示を正確に行う術がなく、人手で配置したキューブがソファーとしてパノラマ生成されるか、テーブルとしてパノラマ生成されるかは、ほぼ運任せになってしまいます。

Marbleの向き・不向き
向いていない:現実空間の忠実な再現や設計意図の反映
ある一点からの視点の3DGSしか生成できない
細部の再現精度に限界がある
複雑な形状の再現が難しい
現実空間を3DGS化したい場合は、やはり従来の撮影が適しています。
また生成物の内容の制御が困難なので、表現したい3D空間があった場合、その設計の反映・編集も難しいです。
向いている:非現実空間の創造・インスタントな空間生成
コンセプトアートからの3D空間生成
ゲーム・映像向けのファンタジー背景
建築・インテリアの初期イメージ共有
シンプルな室内空間のビジュアライズ
など
Marbleは「現実をスキャンする」より「非現実な世界を創造する」ツールとして強みを発揮すると思いました。
非現実なモチーフであれば表現の粗もほとんど目立たない印象ですし、後述するAPIも公開されたので、パーソナライズされたXR体験の一つとして、体験の最中にユーザーの好みに即した空間生成を行うことなども考えられるようになりました。
World API
先日2026年1月21日にWorld APIが公開されました。Marbleの3D生成機能を、自社サービスやワークフローに組み込めるようになります。
利用用途の例としては、以下が挙げられています。
・ゲーム・イマーシブメディア
既存の視覚コンテンツをインタラクティブな空間に変換。例としてEscap
e.aiが2D映像をナビゲーション可能な3D環境に変換している事例を紹介
・ロボティクス・シミュレーション
物理的にもっともらしい環境を迅速に生成。NVIDIA Isaac
SimやMuJoCoなどのシミュレータに統合可能で、手作業では遅く高コスト
な環境構築を自動化
・建築・デザイン
Interior AIやxFiguraといったツールにより、初期段階の視覚的アイデアが数秒で探索可能な環境に変換。クライアントとの視覚的コミュニケ
ーション効率が向上
料金はクレジット制で、1回の生成あたり約$0.12〜$1.20(品質モードにより変動)程度のようです。
https://www.worldlabs.ai/blog/announcing-the-world-api
まとめ
今回、MESONオフィスを対象にMarbleで現実空間の3DGS化を検証しました。
結果としては、現実空間の再現という用途にはあまり向いていない(そもそもサービスのターゲットではない)と感じました。
一方で、非現実な世界の創造やインスタントな空間生成には可能性を感じました。World APIも公開されたため、当APIを活用した体験開発も検討しています。
MESONの取り組み
MESONでは3DGSを取り扱うプロジェクトにも多数取り組んでいます。
3Dスキャナーを用いた高精度な3DGSデータの撮影・作成はもちろん、3DGSを利用したアプリケーションや新たなワークフローの開発にも取り組んでいます。
現実空間に忠実な3Dデータを用いた、コンテンツ制作、業務効率化やアーカイブ化など、3Dデータを活用したプロジェクトをご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。
