【街歩き】東濃に連なる3都市 岐阜県 中津川・恵那・瑞浪市
岐阜県の東濃と呼ばれる地域は複数の都市が連なり鉄道や道路で一直線に結ばれている。街道の宿場町として、陶磁器の産地としてそれぞれの街は栄え、現在に至るまで独自の都市圏を有している。
今回は東濃の中でも東側に位置する3都市について、中心市街地を徒歩と車で回った時の様子と都市ごとの違いをまとめてみようと思う。
・中津川市
中津川市は岐阜県東農地区の最東端にあたる都市で、中山道の宿場町として栄えてきた歴史を持つ。
まずはJRの中津川駅から駅周辺の景色を見てみよう。

駅前には旧ダイエーの建物を活用した「にぎわい特産館」と呼ばれる施設が存在する。施設内は観光客を中心にそれなりの人通りがあり、スーパーが閉店したあとも、名前の通り駅前の賑わいを作ることに貢献しているようだ。

駅前には南側西側それぞれに商店街が伸びる。お世辞にも人通りが多いとは言えないが、通りそのものはきれいに整備されているので景観としてはそこまで寂れたイメージを感じない。



古き良き商店街といった感じで営業しているお店も多い
少し歩くと、旧中山道と中津川宿跡が見えてくる。
かつての宿場町周辺は観光エリアとして綺麗に整備されている。地方都市でも場所によっては街や道の整備が不十分で景観が悪化している所があるのだが、中津川市は中心部でも街が綺麗に手入れされていて好印象。



では、ここからは車で中津川市中心部をざっと周ってみる。
中津川駅から少し離れた場所にはスーパーマーケットや多数の飲食店が入る商業施設があり生活の利便性が確保されている。スターバックスもあるのが嬉しい限り。

スーパーや飲食店が入る複合施設がある
続いて中津川市役所にやってきた。周辺は住宅地の他、川を挟んだ向かいに工業地帯が広がっている。ここには機械、電子系の工場が集積しており、現在の中津川市における産業の中核を担う。


最後に国道19号沿いへ。現在の市街地はこの国道沿いに広く分散する形で広がる。典型的な車社会の街並みだ。

このまま街を後にして、次に恵那市へと向かった。
・恵那市
恵那市は中津川市の西隣に位置し、複数の町や村を合併して誕生した都市である。市内には恵那峡や岩村城などの観光地が存在する。
早速恵那駅前から散策を始める。
駅前は小規模な商店と住宅地が広がり大きく栄えている感じではない。しかし駅前広場は綺麗に整備されていて、街並みの印象はとても良い。



かなりきれいに整備されている
駅前通りを少し歩き、今度は東に歩いてみる。恵那市の中でも恵那駅周辺の大井町は中山道大井宿として発展した歴史を持つ。中山道沿いに出ると古い民家が並び街道の面影が感じられる。


古い民家も保存されており当時の面影が残る
中山道を今度は西に歩く。こちらは昭和にできたと思わしき商店街が並ぶ。しかし多くの店がすでに閉店しているようで、活気があるとは言い難い。


嘗ては賑わっていたらしい商店跡が並ぶ
駅前大通りに戻ってきた。
駅から歩いて5分程の場所には、スーパーなどが入る複合商業施設がある。この施設のおかげで中心部でも買い物の利便性は高いが、それ故に旧来の商店街は需要は需要がなくなり衰退してしまったのだろうか。

ショッピングセンターがある
少し車を走らせ、今度は恵那市の市役所周辺にやってきた。
この市役所から国道19号までのエリアには郊外型の商業施設や飲食店が多数集積し、非常に活気がある。多治見市は別格として、東濃各都市の中ではトップクラスに栄えているのでは?と思える程度には発展していた。

街中でありながらロードサイド型の大型店舗が多い

生活上の利便性は高い
特に国道に出るとそれが顕著で、道沿いに密集するようにして店が並ぶ光景は圧巻である。人口では恵那市は中津川市よりも少ないのだが、中心部の街としての発展ぶりはむしろ恵那市の方が上回っていると感じる。

思わず圧倒された
国道沿い街並みを見た後は、最後の訪問地である瑞浪市に移動した。
・瑞浪市
瑞浪市は今回取り上げた3市の中で最も西に位置する、陶器や化石が名産の街である。
瑞浪駅前から早速散策を始める。



駅前を見た率直な感想は、余りにも古びている、寂れているというものだった。言い方がキツくなってしまうが、本当にそうとしか言いようがない。市の中心駅の駅前がこれなのか、と厳しい気持ちになってしまった。
瑞浪駅前は地方の駅にはよくある、昔ながらの商店街が広がるエリアだ。しかしいずれの建物も老朽化が顕著で、人や車の通りも非常に少ない。中津川や恵那の駅前も決して栄えている雰囲気ではないが景観としては最低限の整備がなされていたので、瑞浪駅前は余計にマイナスな印象を受ける。評判のいい店も幾つかあるようだが、景観面でのネガティブなイメージが先に来るのは残念だ。

何十年も前からここにあったと思われる駅前ビル

「寂れている」という厳しい印象になる


駅前がこうした光景なのは悲しい
ただし、駅から少し外れた南北に延びる通りは住宅、道路とも近代的に整備されており、中心部全体が古びている訳ではない。これまた地方にはありがちな、駅から離れた郊外で新規開発が行われ、中心部は時代から取り残されるといった現象が起きていると考えられる。

綺麗に整備された通りがある
今度は線路を超えて瑞浪駅北側の様子を見てみる。
北側は小規模な商店がある以外は閑静な住宅地といった感じ。いずれの建物も年季が入っており昔からある街だと一目でわかる。


車で少し移動し瑞浪市役所前にやってきた。
市役所周辺も住宅がメインで大きく賑わっている感じはない。ただし、国道19号に近い立地であるためか新しめのアパートも散見され、駅前よりは「新しい」街という感じがする。


恵那や中津川のような商業施設は少なく、のどかな雰囲気
その国道19号沿いに出てみると、瑞浪駅前とはまるで違う光景が広がっている。郊外型の店舗が広範囲に点在していて人や車の量も桁違いだった。駅前と国道沿いのギャップでいえば瑞浪が最も大きい印象だった。

訪問はここで終了。簡潔にではあるが3市の中心部を周りその違いを感じ取ることができた。
・3市の共通点と違い
3市とも共通していたのは、鉄道駅前よりも国道19号沿いに新しい市街地が形成されていて、人や車の流動もそちらに持っていかれている事である。
これは岐阜県が日本有数の車社会であることを考えると、必然とも言える現象だろう。鉄道駅や駅の前は多少の整備こそなされど駅舎の大規模な改築もなされておらず、率直に時代から取り残されている感は否めない。特に瑞浪駅前は商店街の老朽化が著しく、景観上も決して好ましくない状況だ。
一方で、市内在住者の分布は、商業エリアのそれとは大きな違いがみられる。
3市とも中心部ほど人口密度は高い傾向にあるが、中津川市や恵那市は中心部から郊外まで住人の平均年齢や若い世代の分布に大きな偏りがない。若い人が広く薄く住んでいる状態だ。しかし瑞浪市は国道19号沿いの地域に若い世代が集中し、駅前と郊外ではその比率が非常に低い。国道に沿って新しい街を形成している。


2枚とも
https://pop-obay.sakura.ne.jp/SA_PC00200_PopulationByAge/SA_PC00200A/SA_PC00200A_21206.html より


2枚とも
https://pop-obay.sakura.ne.jp/SA_PC00200_PopulationByAge/SA_PC00200A/SA_PC00200A_21210.html より


2枚とも
https://pop-obay.sakura.ne.jp/SA_PC00200_PopulationByAge/SA_PC00200A/SA_PC00200A_21208.html より
中津川、恵那は平成の大合併で近隣市町村を併合し広大な面積を持つ市となったが、瑞浪ではそうした併合は起きなかった。合併が行われて20年の歳月が経つが今も旧町村部には独自の街が形成されている訳で、中津川と恵那は拠点が複数に分散している状態だ。街の構成の違いが人口分布にもそのまま反映されているのかもしれない。
・3市の今後
3市とも人口が減少傾向、かつ若年層の人口流出が続く点、日本人若年層の減少を外国人労働者の受け入れで補っているのは共通している。中津川や恵那では製造業も盛んなのだが地元に残り就職する道を選ぶ若者は多くないようだ。


https://pop-obay.sakura.ne.jp/figures/top/top_21206.html より


https://pop-obay.sakura.ne.jp/figures/top/top_21210.html より


https://pop-obay.sakura.ne.jp/figures/top/top_21208.html より
恵那市では転入、転出理由の内訳も公表されている。転出理由として職業上の理由が最も多いが、結婚離婚や生活の利便性、住宅事情もそれなりの数を占めている。中心部の発展度合いは非常に高い恵那市だが、生活面では不便も多い街なのだろうか。


https://www.city.ena.lg.jp/material/files/group/5/zinko.pdf より
更には中津川市と瑞浪市にキャンパスを構える大学の多治見市への移転集約も発表されており、更に若者の流出が進む懸念が出ている。
そんな東濃地域で今後大きな変化をもたらすのは、間違いなくリニア中央新幹線の開業と新駅及び車両基地の設置だろう。
リニアの岐阜駅は、中津川市内の美乃坂本駅に隣接する形で建設される。併せて美乃坂本駅周辺も交通拠点として整備される予定で、駅周辺の人の流れには大きな変化が起きると予想される。
東濃地区は製造業が盛んな地域であり、各市の地域別人口を見ると工業団地を形成する地域では人口動態も安定している事が確認出来た。リニア駅の出来る坂本地区もそのうちの一つだ。この地域に人を呼び込むには、特に製造業や工業の強化が重要な要素となる。
リニア駅や車両基地の新設でこの地域には新たな雇用が見込まれるが、それに留まらず周辺に製造業を中心とした企業を誘致する、そして若者の移住定住を積極的に進めることが、地域の持続性を左右するといっても過言ではない。

中津川市では製造業の従業者が全体の3割以上を占める
また、住環境についても並行して整備する事が必要だ。3市とも国道沿いに市街地が広く分散する都市構造となっており、鉄道駅周辺の街中心部は時代に取り残された様相となっているのは否定できない。公共、商業施設問わず新規開発による刷新が不可欠だ。
現時点で大きな動きを見せているのが瑞浪市。駅の北側に公共複合施設を設置し駅北口やロータリーと併せて駅を交通拠点として整備する計画が持ち上がっている。老朽化の激しい商店街に駅の玄関が囲まれている現状を踏まえると、反対側に真新しい乗り場や施設が出来る意義は大きいだろう。

また、中津川市においても中津川駅前の賑わいプラザを老朽化により用途廃止するとしており、今後再開発が見込まれる。恵那市にもいずれは同じような動きが起きるのを期待したいところだ。
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/material/files/group/42/nigiwaiplazakousou2508.pdf
人口減少、市街地の郊外移転といった他の地方都市と同様の問題を抱える東濃の各都市であるが、リニアを中心とした新しい街づくりの動きも見せており、今後も大きな変化が起きると予想される。街が今後発展していくことに期待したい。
