「素人」とは誰か━芸人が視聴者を見下すチョコプラ松尾の素人発言について思うこと

芸能人が、昔からテレビに出ていない一般人のことを「素人」と呼ぶ風潮があり、以前から違和感を覚えていました。

今回はその言葉の意味と背景について考えてみたいと思います。この「素人」文化は、上岡龍太郎や松本人志あたりから広まった印象があります。

それ以前のお笑い芸人は、バカなことをして笑われる側の“変な人たち”という評価だったように思います。しかし、松本人志の登場以降、尖った笑とか笑いに対する意識が変化しました。
松本人志は「客が笑わないのは、笑いを理解していないからだ」という論理を展開し、「お前らは笑いの素人だからわからない」といったスタンスを取るようになりました。

この発想は、お笑い芸人を“笑われる側”から“笑わせる側”へと位置づけ直し、視聴者を“笑いの素人”として下に置く構造を生み出したように感じます。

さらに、テレビに出る松本人志は高収入を得て、スターとして扱われ、「金を稼ぐ人=偉い人」という価値観を持つ人も多く、それも相まって、芸人は視聴者に笑いを“教える”立場に立つようになったのではないでしょうか。

このような構図の中で、芸人が視聴者を「素人」と呼び、格下として扱う思想が広まったのではないかと考えています。

これは、例えば音楽の世界ではあまり見られない発想だと思います。演歌が嫌いな人に対して「演歌の良さがわからない素人」とは言わない。好みの問題として尊重されるからです。
松本人志のように、自分と異なる好みを否定することで自らの立場を高めるという考え方は、90年代当時の若者にはなぜか刺さりましたが、現代ではあまり受け入れられないのかもしれません。

ただ、松本人志の思想はテレビ業界に浸透し、テレビ関係者全体が一般視聴者を見下す風潮を生んだようにも感じます。
しかし今では、一般人が情報発信し、芸能人以上に注目を集めたり、収入を得たりする時代になりました。こうした変化により、「お笑い芸人>一般人」という構図が崩れたことも、今回の松尾騒動の背景にあるのではないかと思います。

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