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第45話 失敗の先に灯る夢

工場での1年半は、確かに達成感をくれた。
仲間たちと汗を流し、「辞めないで」と言われたあの瞬間は、今も心に刻まれている。
それでも、胸の奥で何かが疼いていた。
――もっと自分を試したい。
自分がどこまで行けるのか、知りたかった。


今思えば、あの頃の私は無謀だったのかもしれない。
自分の行動が何を意味するのか、きっとわかっていなかった。


派遣会社のお兄さんが、穏やかな声で言った。
「もう少しお金を貯めてからでもいいんじゃない?」

その言葉は、施設を出たあの日に聞いた助言と同じだった。
けれど、私の心は抑えきれなかった。
いつも、いてもたってもいられず、動き出してしまうのだ。


起業の準備は整った――少なくとも、そう信じていた。
自分の力で人を集め、夢を形にできるのか。
試してみたかった。
セミナーを開き、自分の講座を届ける。
そこから契約に繋げるつもりだった。


だが、集まったのは、たった2人。
会場に響く自分の声が、どこか空虚に感じられた。
契約には至らなかった。


失敗だった。
それでも、なぜか心は沈まなかった。
「何が必要かは、やってみなければわからない」――そう自分に言い聞かせ、前を向いた。
失敗は、道を教えてくれる。
次はもっとうまくやれる。そんな確信があった。


だが、現実は厳しかった。
お金が底をついた。
毎月10万円の学びへの投資は、とうに私の懐を越えていた。


また、仕事を探さなければならなかった。
工場派遣。お金がいいからだ。
今度見つけたのは、四国。
九州よりも、さらに遠い土地だった。


母の声が電話越しに震えた。
「なんでそんな遠くに行くの?」
心配と寂しさが混じるその声に、胸が締めつけられた。
「仕方ないの。夢を叶えるために。」
そう答えたけれど、私自身、不安でいっぱいだった。


四国は、旅行で通り過ぎただけの土地。
知らない街、知らない人々。
どんな暮らしが待っているのか、想像もつかなかった。


それでも、私は思う。
「何とかなる。何とでもなる。」
仕事さえあれば、生きていける。
夢を追い続ける限り、私は負けない。


子供には、何も言えなかった。
小さな背中に別れを告げる勇気がなかった。

飛行機の窓から、九州の山が遠ざかっていく。
心にぽっかりと空いた穴を抱えながら、
私は新しい地へ向かった。


どんな出会いが待っているのだろう。
どんな光が、私を導いてくれるのだろう。
不安と希望が、胸の中で静かに響き合っていた。


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