『進め!海パンビキニ探検隊。ベトナム謎の暗闇洞窟で純白おむすびを探すのだ(後編)』【1000日おむすびハンターシリーズ❷】
(前編)
1.一睡もできなかったベトナム統一鉄道
2.解放されたドンホイの朝
3.世界一の洞窟銀座「ホンニャ・ケバン」
4.世界でいちばん美しい洞窟
5.天国洞窟はハリーポッターの世界
6.暗黒洞窟の入口はエメラルドグリーンの湖
7.滑空せよ。水泳せよ。

いよいよ、出発の時間がやってきた。
待合室からひとりひとり順番を呼ばれ、崖の上にある出発台へ進んでいく。
ギャアアア。
湖のほうから悲鳴みたいな声が次々と聞こえてきた。なんで洞窟に入るのにそんな悲鳴が必要なのだ。お化け屋敷でもあるまいし。
出発台の階段を上る時にその理由が分かった。この崖の上からジップラインで湖を一気に渡るらしいのだ。
出発台の上に立つと、付けていたハーネスによってロープがつながれた。それにしても高い。エメラルドグリーンの水面までは50mぐらいあるのではないだろうか。体が小刻みに震えているのがわかった。
スリー、ツー・・
いきなりカウントダウンが始まった。
待て待て、まだ気持ちの整理がついていない。
ワン、GO!
そんなことはおかまいないしに、一気に空中へ解き放たれた。
ウフョオオオオ
ものすごい風圧だ。ものすごい加速だ。
崖の上からエメラルドグリーン色の湖に向かって一気に飛んでいく。
浮遊しているというよりも、下に落ちていく感じかもしれない。
しかも、距離が長い。湖を横断というよりも、縦方向に縦断しているようだ。
ようやく水面に設けられた、大きな浮きみたいなものが見えてきた。あそこが終点だろう。足をくの字にしないとケガをするとレクチャーを受けたので、必死にくの字にする。
ガタガタン。
どうやら対岸についたようだ。
ふう。ようやく一息できそうだ。
ジャンプ!ジャンプ!
突然、湖に飛び込むようにガイドに言われる。早く飛び込まないと、次の人のジップラインが突っ込んでくるらしい。
バシャン。
湖の前の方を見ると、多くの人が列をつくるように泳いでいる。
そうなのだ。飛び込むだけでなく、ここから洞窟の入り口まで泳がないといけないらしいのだ。
一応、ライフジャケットをつけているので沈むことはないらしい。ただエメラルドグリーン色の湖は濁っていて、透明度がほとんどない。深さがどれくらいあるのかわからないし、ワニとか大きな魚がいてもまったくわからない。これは恐怖だ。
しかも、かなり冷たい。ここから抜け出したい一心で、必死に手足をバタバタさせる。
10分ぐらいかけて、桟橋に到着する。なんとか泳ぎ切ったみたいだ。
先についた人たちもグッタリしている。でも疲れている場合じゃない。この桟橋の向こうにある横穴が暗闇洞窟。そうなのだ。ここから本当の冒険が始まるのである。
8.各国から集結、海パン&ビキニ探検隊

20分くらい桟橋で待っただろうか。
ようやく後発の人たちも揃ったので、暗闇洞窟に進むようだ。ここからは、光のない暗闇の世界。道にはぐれないように、この15人が隊を作って進んでいくことになる。
この隊はかなりバラエティ豊富なメンバーで構成されていた。日本人は自分たちだけ。他はアメリカ人、スペイン人、フランス人、オランダ人、ニュージランド人、イギリス人、スウェーデン人と、みんなバラバラな国から来ていた。しかも若い人から年配の方までいる。欧米系の人が多いようで、ガイドの説明にもノリがよく大きな反応をしている。
ガイドが隊の前方と後方に位置し、その間に15人のメンバーが1~2mくらいの間隔を持って進んでいくことになった。進むときは、間隔を空けすぎてはいけないし詰め過ぎてもいけないらしい。
それぞれが持つ装備はヘッドライトがついたヘルメットだけ。ヘッドライトを当てた場所だけ何があるか、誰がいるのかがわかる状態だ。それ以外の場所は漆黒の闇の中。その場所が広いのか狭いのかもまったくわからない。
靴ははいていないので、全員裸足だ。
洞窟はとにかくヌルヌルしていて滑りやすかった。
すべって転ぶことも多く、固い岩に足や腰をぶつけながら進んでいく。
洞窟の半分くらいは水の中だった。
胸まであるような深い水たまりもあったし、すべり台みたいに滑って降りていく壁もあった。人がぶつかるのがいちばん危ないらしく、前の人と間隔を詰め過ぎず、開きすぎずを保ちながら慎重に進んでいく。
洞窟の壁は、音をすべて反射させているようだった。いろいろな国の言葉やウォー、キャーと悲鳴が響き渡っている。この隊はかなりにぎやかなようだ。
9.暗黒の地底湖で泥パック

暗闇洞窟を進んで、30分くらい経った。
これまで進んでいた通路のような穴がどんどん大きく広がっていき、天井が高く左右にも大きく広がった空間にたどり着いた。
少し先の方まで目を凝らしてみる。地面に反射したヘッドライトの光がユラユラ揺れているようにも見える。
水たまり?いやもっと大きい。
もしや、地底湖?
そうなのだ。ここが目指していた目的地。漆黒の闇にたたずむ幻の地底湖だったのだ。
バシャン。
ガイドがこの地底湖に飛び込んだ。どうやら、この地底湖に飛び込めということらしい。はあ、また泳がされるのか。でも、今回はライフジャケットはつけていない。溺れたらどうしよう。
しかし、ガイドの話によるとこの地底湖は溺れないらしい。
なぜなら、この地底湖は泥の湖。その泥の密度がかなり濃いため、中に入ると体が自然と浮いてしまうらしいのだ。しかも、この地底湖の泥はお肌にとてもいいらしく、この泥を体や顔に塗るとスベスベ艶々になるらしい。
地底湖での滞在時間は20分ほどだった。
各国から集まった海パンやビキニ姿の冒険者たちは、頭から足まで湖に浸かり、湖の底に溜まった泥を掻き出して体に塗りたくったり、暗闇の中をプカプカ浮いたりしていた。
謎の暗闇洞窟探検のゴールは、全身泥パックができる地底湖に浸かることだったのだ。
【暗闇洞窟の探検の様子は同行していたガイドが、GoProで撮影したものを共有してもらってます】
行く道があったのならば、当然、帰りもある。
体中に泥を塗りたくったせいか、行きよりも滑りやすい。行きよりも時間をかけて慎重に慎重に歩きながら、ようやく洞窟を出ることができた。
洞窟の篭った空気からの解放。生ぬるいジャングルの風が心地よく感じる。
しかしホッとできたのはつまの間だった。まだまだ試練はつづいていた。目の前にある湖を渡らないと元の場所に戻れないのだ。行きはジップラインで滑空できたけれど、高低差がありすぎて帰りにはないらしい。
その代わりに用意されていたのは、カヤックだった。
このカヤックを漕いで広い湖を渡って元の場所に帰るのだ。行きは5分で滑空してきた湖を30分ぐらいかけて渡り切った。
ジップライン、水泳、洞窟探検、泥の湖、そしてカヤック。なんというアトラクションの数なんだろう。もう全身ヘトヘトだ。
それでも、湖をカヤックで渡り切った泥だらけの海パン&ビキニの仲間たちは、みんなニコニコしていた。
刺激的で神秘的な、ここだけしかできない特別な体験をしてきたのだから。
10.ご褒美はワイルドな洞窟料理

レイクサイドの建物に戻ってシャワーを浴びると、オープンエアなテラスへ案内をされた。これから名物にもなっている洞窟料理を食べるらしい。
テラスの中央に座ると、バナナの葉が大皿代わりになった料理が次々と運ばれてきた。バナナの葉のうえには炭火で焼かれた豚肉や鶏肉がこんもりと盛られていた。もやしやきゅうり、パクチーなどの生野菜やお米で作ったビーフンみたいな麺もあった。卵焼きやナッツなども盛られている。
さっきまで行っていた洞窟探検を表すようなワイルドな料理だ。
どうやらライスペーパーに具材を包んで食べるスタイルらしい。赤色、黄色、白色のおこわ風のごはんもある。写真には写っていないけれど、この横に普通のご飯もあったりもするので、ちょっとしたお米祭りである。
スウェーデンから来たという女性のバックパッカーのグループと同じテーブルで食べることになった。ちょっと緊張してしまう。片言の英語しか話せないけど、その中で住んでいる国の話や暗闇洞窟の感想を話しあった。
相手の方々も、スリリングな洞窟探検でテンションも上がっているみたいだで、たくさん話をしてくれた。こういった人との交流も旅の魅力かもしれない。
11.米のライスペーパー包みは純白おむすび

大きなバナナの葉に盛りつけられたお米は、もち米を混ぜて蒸したおこわタイプだった。本来、東南アジアのお米は日本のお米に比べて粘りが少なく、おむすびに向かない。その点、おこわのモチモチな粘り気はおむすびに向いていそうだ。
ライスペーパーに、そのおこわを乗せて、炭火焼チキンと卵焼きを巻いてみる。日本の海苔というわけじゃないけど、その姿は白いおむすびにも見えないことはない。
今回の冒険のもうひとつの目的は、そこでしか食べられない謎のおむすび探し。ベトナムのダナンやホイアン、フエなどの街中ではおむすびの姿は見つからなかったけれど、この洞窟料理の中でついにその姿を発見することができた。
ニョクマムのタレを少しつけて、かじってみる。
パリッ。ふにゅ。不思議な食感と、野趣あふれる味わいが口の中に広がっていった。
きっと爪の間に残っている泥が、いいスパイスになっていたことだろう。
エピローグ

あれから4年が経った。
あの冒険の記憶は、今でも美しい色として残っている。寝台列車の中からみた黄金色の朝焼け。パール色に輝く天国洞窟。ジップラインの上から見たエメラルドグリーン色の湖。漆黒の闇に包まれた洞窟。そして真っ白いおむすび。
海パンとビキニの探検隊。
今の状況から考えると、人と人との距離がかなり密だったなとか、あの泥の湖は衛生的に本当に大丈夫だったのかなど、いろいろ思うところが出てくる。
世界を脅かしていた状況が終息し、ようやく以前みたいに海外旅行にも行けるようになってきた。
キラキラ輝くような冒険の世界へ。
おむすびハンターの旅は、続いていく。
『進め!海パンビキニ探検隊。ベトナム謎の暗闇洞窟で純白おむすびを探すのだ』終
次の冒険へ続く。
※写真は、自分で撮影したものです。(暗闇洞窟とジップラインはスマホ持ち込み禁止だったので、ガイドさんが撮ったものを使わせてもらっています)
※こちらの旅行記は、「1000日間で1000のおむすびを食す男」の特別編として、2019年8月~9月に書いた記事を元に、追記編集、再構成して書き上げたものになります。
※毎日、おむすびの食リポをしていますので、よろしければ読んでみてくださいね。↓
#日記#エッセイ#フードエッセイ#グルメ#料理#おむすび#おにぎり#毎日更新#1000日チャレンジ#コラム#フード#1000のおむすびを食す男
#世界でいちばんおむすびを語れる男
いいなと思ったら応援しよう!
ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。
おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり…
みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。
皆さんと、いろいろなコラボをしたいです!
ぜひぜひご連絡ください!