あなたの武骨な手(妄想の世界)(企画参加)【音声と文章】
1380
※note毎日連続投稿1414日をコミット中1380日目。
※音声・文章、どちらでも楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
あなたの武骨な手(妄想の世界)(企画参加)
をお伝えいたします。
**ここから**
大手スーパーで働く私は事務係、あきらさんは婦人服売り場だった。
午前11時と午後3時は「レジの両替」の時間だ。
透明な板で仕切られ、A4の用紙が通るくらいの四角い仕切りがあり、相手の口元あたりに穴が丸く点々とあった。
2階のフロアの両替が来た。
首にメジャーをぶら下げ売り出しのはんてんを着たあきらさんがやってきた。
「おはようございます」
「おはようございま~す」
社内で挨拶する時は午後でも夜中でも「おはようございます」という決まりがあった。
彼が私の目をまっすぐ見る。私はその目をしっかり受け止め、でも、恥ずかしくてすぐに頬のあたりに目をそらす。
あきらさんがお札をトレーに入れて窓口に差し出す。大きな手。
彼は男性としては小柄な方だが、いろいろな手作業をしている手だ。
私はそんな武骨な手に惹かれる。
私は両替票の縦計をチェックしてからトレーに入っている金額を数える。最後にお札をピンと打つ。
机の上には万券から五百円札までそれぞれのお札の木箱があり、金種ごとにそれに入れる。
左側のキャビネットを引くと金種ごとの棒金の箱がある。
私は五千円、千円、五百円をトレーに入れ、その上に棒金をのせて、1円の棒金を両替票の上に乗せて相手に渡す。
「201番さ~ん。お待たせしました~」
彼の手が再び窓口に見える。誠実で人の悪口を言わない彼を私は密かに慕っていた。
彼の人格もさることながら、私はあなたの野性的な手に毎回、ときめいていた。
「ありがとう。じゃぁ」
数台分の両替が終わりあきらさんは去っていった。
ふ~。
周りの同僚たちに気づかれないように心の中で溜息をついた。
午後にもあきらさんだったらいいなと私は心の中で祈った。
その後、あなたは同じ売り場の女性と結婚し、他店へ異動していかれ、お子様が生まれたという噂を耳にした。
お互い還暦を過ぎ、どうされていらっしゃるのだろうか。
今もあの太くて大きい手は健在だろうか。
**ここまで**
#ほしかったラブレター
今回、山根あきらさんのこちらの企画に参加させていただきました。
800文字という制限を楽しみました。
ありがとうございます。
https://note.com/piccolotakamura/n/n9ee5fc3ab48d
はるかぜるりいさんの記事で企画を知りました。
ありがとうございます。
https://note.com/springgale/n/n851409867db5
今回は
あなたの武骨な手(妄想の世界)(企画参加)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
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