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女性の9割は「性犯罪者は死刑か無期懲役にしろ」と思っている

という背景について。

前提として、犯罪の多くは「不可逆性」を持ってる。
たとえば、知り合いに刺されて大怪我負ったけれども、何とか社会に戻って来れた人がいるとする。
犯人が捕まって実刑が決まり、民事で慰謝料を獲得したとしても、元には戻らない。
量刑は犯罪に対する刑の重さを決めているけれども、それは「犯罪行為」に対してであって「被害」を補償するものではない。
民事で慰謝料を支払わせることもあるけれど、その金額は「被害」そのものをなかったことにできるわけじゃない。
知人に刺されるという恐怖、失った社会や他人への信頼。
暴力を受けた痛み、その回復にかかった時間と苦痛。
入院や裁判にかかる時間とストレス。
赤の他人の勝手な憶測や中傷。
そして、すべて終わってもなお残るかもしれない後遺症。
これらすべてが「犯罪」がなければ起きなかったことで、加害者の責になる。
「犯罪」以前には戻れない。なかったことにはできない。もとの「自分」にはなれない。
そもそもが、そういう性質のものだ。

そのうえで、性犯罪者について、多くの女性は量刑に不満を感じていると思う。
「重くすべき」という部分ももちろんあるが、もっと根本的な問題として「自分の属する社会に存在して欲しくない」と感じているということだ。
そのための、合法的な手段が「死刑」か「無期懲役」しかないというだけで。
「殺せ!」よりも「消えろ!」がより正確だろう。
何故か?

ひとつめに、性犯罪は再犯率が高いことがある。
もともと、性犯罪は初犯で捕まることは少なく、過去に繰り返し同様の犯罪に手を染めている。
そういう人物が「罪は償った」からと、何事もなく社会に出てくる。
性犯罪の量刑は軽いので、犯人のダメージも「20年服役」などのように重いものではない。
再犯率が高い犯罪の「更生」はほかのものより厳しい目で見られるべきだが、そのための仕組みは日本にはない。
つまり、「また性犯罪を犯すかもしれない、その可能性の高い人間」が身近にいるかもしれない。
そんな状況を喜ぶ人間はいないだろう。

ふたつめ、性犯罪に遭うのはほとんどが女性だということ。
「刑を終えたのだから社会復帰させるべき」「仲間に加えるべき」
これは、被害者になる可能性の低い人間が言っていい言葉ではない。
「ズートピア」みたいな世界で、ライオンがウサギを食べた虎について「ウサギの村に受け入れてあげなきゃだめだよ。彼は刑を終えたんだから」ってしたり顔で言ってるのと同じ。
アホかと。バカかと。
って思うでしょ。
当然、女性の方が拒否反応は強くなる。他人ごとではないから。

これらは社会が性犯罪を軽く考えるている(男性に多くみられる)ゆえの現象でもある。
性犯罪における事件後の被害とはどういうものか。
それは「自分の属する社会の安全性が損なわれる」ことだ。
学校や勤務先に行くために使っていた交通機関。
そこにいた顔も名前も知らない、近隣の人たち。
意識することもなく通り過ぎていった街角。
あるいは、情報収集に使っていた単なるSNS。
そういうものが悪意と害意が存在する、信用のおけないものになる。
私たちが武装していないのは、相互に安全を保障しているからでもある。
もし、駅に行くまでの道のりで、いつ暗がりに引きずりこまれるかわからないなら、私たちはそのための準備をしなければならない。
性犯罪とは、被害者にそういう恐怖と不信感を植え付ける。
それを無くすためには「あの犯人は二度とそんなことをできない」と社会が言ってやらなければならない。

ここまでやっていたら、少しは安全も安心も取り戻せるのかもしれない。
しかし、現在はそうじゃない。
更生した、といって再度「漫画原作者」を別ペンネームで始めた人のケースでは、ざっくりこんな流れだ。

本人が余罪が多数あることも認めている。
この状態で「社会に出て元の仕事と同じことをやります」というのが通用するかどうか、という話。
再犯性の高い性犯罪を犯しておいて「更生した」は本人が言っているだけで(心理士はそんなことを保証はしない。できないからだ)、社会が監視する仕組みもない。
せめて名前が以前と同じであれば、性加害のサバイバーたちが避けたり、衆人環視もできるかもしれないが、それもない。
この状態で「刑期を終えて、更生したと本人が言っているのだからいいだろう」といえるのは他人事だからだ。
無差別が多い性犯罪は、女性であれば誰でも被害者になる可能性がある。
性犯罪者は必ずしも特定の女性やタイプに限って、加害性を発揮するわけではない。

子どもたちが多く憧れる仕事である漫画製作という分野で「女子学生を狙って痴漢を繰り返した」人間をこの状態で起用するのは、どういう覚悟でやっていることなのか。
もし、これが万引き常習者が「刑期を終え、カウンセリングを終えて」小売業をしている店に「アルバイトしたい」と申し入れてきたら、経営者はどう思うのか。
アルコール中毒患者が「もう3年も飲んでいません。大丈夫です」と居酒屋のバイト募集に応募してきたら、どう考えるのか。
罪を憎むからこそ、誘惑が多く、再犯や二次被害の可能性が多い場所からは遠ざけるべきではないのか?

というのが、今回の主に女性たちによる強い拒絶反応の背景だろう。
それは、「あなたのような危険な人間とは、同じ社会で暮らしたくはない」という主張なのだ。

なお、チーズナンは美味しかったです。

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