【読書メモ】『サラブレッドはどこへ行くのか 「引退馬」から見る日本競馬』(著:平林健一)
ターフを去った競走馬は、その後どこへ行くのかー。
引退馬を追った映画「今日もどこかで馬は生まれる」を企画・監督した平林健一さんが、サラブレッドの等身大の生と死を書いた新刊『サラブレッドはどこへ行くのか 「引退馬」から見る日本競馬』。問題の前進を目指して、前例のない中で支援の在り方を模索してきたある開拓者の姿を、本書から抜粋して公開します。
(「 NHK出版デジタルマガジン」2024年12月27日)
競馬産業にまつわるここ数年の大きなトピックの一つに、実在の競走馬をモデルに擬人化したキャラクター「ウマ娘」がレースで競う合う世界を描いたメディアミックスプロジェクト「ウマ娘 プリティーダービー」の登場がある。このコンテンツが一大ブームとなり、そのユーザーたちが、作中に登場する馬を現実でも応援しようとする動きが、実は引退馬支援の大きな波となっている。
その影響が最もよく見てとれるのは、認定NPO法人引退馬協会が主催する「ナイスネイチャ・バースデー(メモリアル)ドネーション」だろう。
(「 NHK出版デジタルマガジン」2024年12月27日)
まず感じたのが、ここまで既存オールドメディアがダイレクトに「ウマ娘」の影響を打ち出しているのも珍しいのではないかな、との点。私は「X(旧:Twitter)」のTLに流れてきたポストで知って(福永さん推奨!との帯にも惹かれて)手に取ってみたのですが、なかなかに読み応えのある内容となっていました。
なおこちらの「ナイスネイチャ・バースデードネーション」は2017年からスタートしています。その年(2017年)は「19万」でしたが、翌2018年が「67万」、2019年が「108万」、2020年が「173万」と緩やかな伸びであったのですが、、
2021年に「3,582万」、2022年が「5,412万」、2023年が「7,402万」と、尋常でない伸び幅となっていて、、これはウマ娘のリリース(2021年2月リリース)の影響がダイレクトに出ていた形で毎年話題になっていました(主にインターネットメディアで)。
また2024年は実馬であるナイスネイチャが2023年に旅立っていたことから、「ナイスネイチャ・メモリアルドネーション」として開催されたのですが、「7,488万」とさらに伸ばしています。
引退馬支援とは、いったい何をすればいいのか。「自分ができることをやる」というスタンスがベースとなる
ちょうど昨年(2024年)の春先に拝読した『セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅』とは「競馬」や「競走馬」との関わり方やそのアプローチの仕方は異なっているようですが、それでも行きついた先は同じご様子。
結局は「競走馬」に関わる一人一人が当事者意識をもっていくのが先ずは大切なのだろうとあらためて実感させてくれたなぁ、と個人的には。
インターネットの情報をシェアしたり、SNSにアップされた愛らしい引退競走馬の写真や動画に”いいね”を押したりするだけでも社会に影響を与えることはできる。引退競走馬支援について、家族や友人に話すことも実は立派な支援活動だ。寄付や一口馬主も支援方法のひとつだが無理は禁物で、できないことに罪悪感を抱く必要はない。
これまでは、競馬ファンからしか引退馬に関心を持ってもらえる人を掘り起こせないと思っていました。でもウマ娘によって、ゲームをする方々が活躍した競走馬に興味を持ち、その馬たちの引退後のことまで考え、応援しようという気持ちになってくださったのは、素直に嬉しかったですね
(「 NHK出版デジタルマガジン」2024年12月27日)
引退競走馬支援の存在を知ったときにまず感じたのは、この世界に注目することで“社会が良い方向へ変化する過程”をリアルタイムで追うことができるはず、という大きな期待だった。
私自身、高校の途中から結婚するまでは東京競馬場がある府中に住んでいたことや、父親(数年前に競馬引退宣言していましたが)が好きだったことからも、競馬は身近な存在でしたし、親しんできたコンテンツです(東京競馬場まで自転車で行けてましたし)。
恩返しか、罪滅ぼしか、表現に迷う。
いい思い出(推し馬の活躍、友人との観戦、家内との出会い、息子を連れてのダービー観戦等)もよくない思い出(推し馬のケガや予後不良等)もいろいろと経験させていただいていますが、個人的には「恩返し」との表現を使いたいところです。
引退した競走馬の多様な利活用による社会貢献等の観点からも命ある馬が可能な限り充実したセカンドキャリアを送ることができるようにすることの重要性に鑑み、こうした取組に対する競馬関係者による支援の拡充を促し、取組内容の充実が図られるよう指導すること。
(参議院ホームページ、第210回国会(臨時会)議案情報より)
その上で思うのはやはり、2022年11月に競馬法が改正されたことが現実世界でも時計の針を進めることの大きな転換点となったのかなぁ、と。もちろん、ウマ娘などからの間口の広がりがそれを後押しもしたと思います。
またJRAさん自体、前年比でも「売得金(売上)」「総合参加数」「入場者数」ともに上がっており、社会的な認知度が上がっていっているのも見てとれるだけに、それだけに、、今までは蓋をされていた雑音等々の部分についても、きちんと是正していってほしいなぁ、と思います。
特に今年は「若手騎手」だけがやり玉に挙げられているようにも見えて仕方が無かっただけに、「厩舎関係者」、どんなもんなんですかねぇ。その後の情報等々、探してみるかなぁ。
なんて考えながら、何はともあれ「自分にできる範囲」で何かしらの支援をしていけたらなぁ、とあらためて思い出させてくれた一冊でした。
と、そうそう、昨日にちょうど、2024年のJRA各賞が発表されていました。
全11部門の受賞馬と各票数(投票総数256票)は以下の通り
◆年度代表馬
ドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎、父ハーツクライ)236票
◆最優秀2歳牝馬
アルマヴェローチェ(牝2歳、栗東・上村洋行厩舎、父ハービンジャー)255票
◆最優秀2歳牡馬
クロワデュノール(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父キタサンブラック)249票
◆最優秀3歳牡馬
ダノンデザイル(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎、父エピファネイア)144票
◆最優秀3歳牝馬
チェルヴィニア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎、父ハービンジャー)190票
◆最優秀4歳以上牡馬
ドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎、父ハーツクライ)256票
◆最優秀4歳以上牝馬
スタニングローズ(牝5歳、栗東・高野友和厩舎、父キングカメハメハ)138票
◆最優秀スプリンター
ルガル(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎、父ドゥラメンテ)197票
◆最優秀マイラー
ソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎、父ルーラーシップ)182票
◆最優秀ダートホース
レモンポップ(牡6歳、美浦・田中博康厩舎、父レモンドロップキッド)160票
◆最優秀障害馬
ニシノデイジー(牡8歳、美浦・高木登厩舎、父ハービンジャー)237票
◆特別賞
フォーエバーヤング(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎、父リアルスティール)
武豊騎手(55)=栗東・フリー=
(「UMATOKU」2025年1月7日)
個人的にドウデュースさんの受賞は非常に嬉しいですが、特別賞の武さんの名前だけ並べるのはちょっと、、せっかくなら「MVJ(Most Valuable Jockey)」の戸崎さんなどもお名前を挙げて欲しかったなぁ、なんて。
