🌙光の行方⑦ フローラの森に住む住人たち
この物語は、チュチュ・テイルの世界を旅する記録です。
シルエットで描かれた猫たちや動物たちが暮らす、やさしい世界✨️
白いうさぎの旅人 エトワール の旅日記として綴っています。
はじめての方は、ぜひ固定記事からご覧ください🌙
ナッツとピピと別れたあとも、ぼくの中には、あのやさしい光の気配が静かに残り続けていました。
「春のめぐみ祭」——
その言葉を思い返しながら、ぼくはもう少しだけ、この森を歩いてみることにしました。
森を抜けると、視界がゆっくりとひらけていきます。
そこには、フローラの森に暮らす住人たちの
“まち”が広がっていました。

昼の光の中で、まちはやわらかくにぎわい、あちこちにあたたかな気配が満ちています。
少し歩いたところで、ぼくは小さな食事処に入りました。
木の香りがただよう、落ち着いた空気の場所です。
カウンター席について、静かに昼の食事をとっていると、お店の店主がやわらかな声で話しかけてくれました。
「このあたりは、はじめてかい?」
ぼくは、小さくうなずきます。
「それなら、この森のいちばん奥にある場所を、見ておくといいよ」
「大きなガラスのテラスがあってね、この森を見守るように建っているんだ」
その言葉に、ぼくは静かに耳を傾けます。
「そこは、植物園なんだ。フローラの森の中心みたいな場所でね」
「フェアリーキャットさまのお館も、そこにある」
フェアリーキャット——
その名前を聞いたとき、以前この森で出会った、あのやわらかな笑顔の方のことが静かによみがえりました。
ぼくは言葉を返さず、ただ小さくうなずきます。
「春のめぐみ祭の夜にはね」
その人は、窓の外に目を向けながら続けました。
「ピピの歌にあわせて、フェアリーキャットさまが舞うんだ」
「すると、光が舞いはじめて——
森じゅうに、やさしい光が広がっていく」
その言葉を聞きながら、ぼくは、あの小さな芽のことを思い出していました。
あの光も、どこかでつながっている。

食事を終えて、ぼくは静かに店をあとにします。
外に出ると、まちの様子はさっきよりも少しだけにぎやかになっていました。
通りには、春の実や花で編まれた飾りが並び、やわらかな色が広がっています。
歩いている人たちも、花冠をつけたり花飾りを身につけたりして、特別な時間をまとっているようでした。

ぼくは、人の流れから少し離れて、その景色をしばらく眺めていました。
あの芽に出会ったことも、ナッツやピピと話したことも、すべてがこの時間へと静かにつながっているような気がします。
にぎやかなはずなのに、このまちには静かなやさしさが流れていました。

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